217 / 339
第37章
異世界の脳内会議はグダグダです(4)
しおりを挟む
フレドリックくんの短い謝罪。
なにに対して謝っているのかをわざとぼかしているのが、なんともやるせない。
「本当に、大丈夫だから!」
オレは必死に否定するが、フレドリックくんは寂しそうに口元を緩めただけだった。
ものすごく誤解させてしまったよ……。
(なにやってんだ――)
口を開けば、開くほど、フレドリックくんが遠くの存在になっていくようだ。
お互い無言で、それぞれ違う意味で、後悔のドツボに落ち込んでしまった。
いや、実際、言葉のとおりオレは絶好調だよ。
かつてないほどに絶好調なんだよ。
魔素をゲンカイまでにぱつんぱつんに取り込んで、勇者対決直前にまで成長しきったときよりも、正体不明のナニかが体内に漲っている。
今なら、小国なら一瞬で滅ぼせる隕石系の魔法を連続で五十発くらいは余裕で発動できそうだった。
それくらい、元気だよ。
心身ともに……と言い切れないのが残念だが、『心』は落ち込んでいても『身』の方はいたって元気だ。むしろ元気すぎる。
神々の控えの間に喚ばれて目覚めた直後は、とてもじゃないが、疲労困憊して立っているのもしんどかったからね。
禁書庫の禁書に魔力をごっそり奪われたときの感覚と似ているかな。
いや、ほぼ同じ状態で、これは、回復するのに仮死状態になって、魔素と時間がそれなりに必要……っていう状態だった。
だから簡単に、オレよりも華奢な聖女様に動きを封じられ、寝台に投げ飛ばされ、魅惑の魔法抵抗に失敗もした。
アノ時なら、勇者じゃなくても、そこらの通りすがりの一般人であっても、オレを簡単にペチっと虫を踏み潰すくらいの感覚で討伐できただろう。
それくらいオレは弱っており、無力だったよ。
オレがこちらの世界では弱くなった……とか、回復に時間がかかる……とか感じるのは、魔素をオレの元いた世界から補充しているからかもしれないね。
あちらの世界では同時回復、即時回復だったのが、こちらの世界の魔素はあるにはあるが、微々たるものだったので、必要量を確保することが難かしい。
魔素が希薄だったから、オレは無意識のうちに元の世界から魔素を補充していたんだろうな。
距離、次元、時間軸、そういった複数の障がいに妨げられて、補充スピードが落ちているからだ、と、オレは結論づけた。
だったら、元の世界の補充ルートをしっかり繋いで、太いものにして、オレがガンガン魔素を消費したら、元の世界が魔素過多になることもない……ということか。
その推理が当たっているのか、外れているのかは……あのポンコツ女神たちに確認するしかないだろう。
まあ、無駄に危険を犯してまで接触して、あえて答え合わせをしたいとは思わないけどな。
そして、よくわからんが、わかりたくもないが……。
――運命の番と魔王ちゃんが交わると、アタシの世界の魔素が、魔王ちゃんに使われるようになった……みたいなの――
という女神の解説を全面的に信じるのなら、どうやら『運命の番』とその……大人な関係をがっつり愉しめば、『補充ルートがしっかり繋って、太いものになって』元の世界の魔素がガンガン消費されるというわけだ。
なにに対して謝っているのかをわざとぼかしているのが、なんともやるせない。
「本当に、大丈夫だから!」
オレは必死に否定するが、フレドリックくんは寂しそうに口元を緩めただけだった。
ものすごく誤解させてしまったよ……。
(なにやってんだ――)
口を開けば、開くほど、フレドリックくんが遠くの存在になっていくようだ。
お互い無言で、それぞれ違う意味で、後悔のドツボに落ち込んでしまった。
いや、実際、言葉のとおりオレは絶好調だよ。
かつてないほどに絶好調なんだよ。
魔素をゲンカイまでにぱつんぱつんに取り込んで、勇者対決直前にまで成長しきったときよりも、正体不明のナニかが体内に漲っている。
今なら、小国なら一瞬で滅ぼせる隕石系の魔法を連続で五十発くらいは余裕で発動できそうだった。
それくらい、元気だよ。
心身ともに……と言い切れないのが残念だが、『心』は落ち込んでいても『身』の方はいたって元気だ。むしろ元気すぎる。
神々の控えの間に喚ばれて目覚めた直後は、とてもじゃないが、疲労困憊して立っているのもしんどかったからね。
禁書庫の禁書に魔力をごっそり奪われたときの感覚と似ているかな。
いや、ほぼ同じ状態で、これは、回復するのに仮死状態になって、魔素と時間がそれなりに必要……っていう状態だった。
だから簡単に、オレよりも華奢な聖女様に動きを封じられ、寝台に投げ飛ばされ、魅惑の魔法抵抗に失敗もした。
アノ時なら、勇者じゃなくても、そこらの通りすがりの一般人であっても、オレを簡単にペチっと虫を踏み潰すくらいの感覚で討伐できただろう。
それくらいオレは弱っており、無力だったよ。
オレがこちらの世界では弱くなった……とか、回復に時間がかかる……とか感じるのは、魔素をオレの元いた世界から補充しているからかもしれないね。
あちらの世界では同時回復、即時回復だったのが、こちらの世界の魔素はあるにはあるが、微々たるものだったので、必要量を確保することが難かしい。
魔素が希薄だったから、オレは無意識のうちに元の世界から魔素を補充していたんだろうな。
距離、次元、時間軸、そういった複数の障がいに妨げられて、補充スピードが落ちているからだ、と、オレは結論づけた。
だったら、元の世界の補充ルートをしっかり繋いで、太いものにして、オレがガンガン魔素を消費したら、元の世界が魔素過多になることもない……ということか。
その推理が当たっているのか、外れているのかは……あのポンコツ女神たちに確認するしかないだろう。
まあ、無駄に危険を犯してまで接触して、あえて答え合わせをしたいとは思わないけどな。
そして、よくわからんが、わかりたくもないが……。
――運命の番と魔王ちゃんが交わると、アタシの世界の魔素が、魔王ちゃんに使われるようになった……みたいなの――
という女神の解説を全面的に信じるのなら、どうやら『運命の番』とその……大人な関係をがっつり愉しめば、『補充ルートがしっかり繋って、太いものになって』元の世界の魔素がガンガン消費されるというわけだ。
2
数々の作品あるなか、ご訪問ありがとうございます。
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

拾った駄犬が最高にスパダリ狼だった件
竜也りく
BL
旧題:拾った駄犬が最高にスパダリだった件
あまりにも心地いい春の日。
ちょっと足をのばして湖まで採取に出かけた薬師のラスクは、そこで深手を負った真っ黒ワンコを見つけてしまう。
治療しようと近づいたらめちゃくちゃ威嚇されたのに、ピンチの時にはしっかり助けてくれた真っ黒ワンコは、なぜか家までついてきて…。
受けの前ではついついワンコになってしまう狼獣人と、お人好しな薬師のお話です。
★不定期:1000字程度の更新。
★他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる