勇者召喚された魔王様は王太子に攻略されそうです〜喚ばれた先は多夫多妻のトンデモない異世界でした〜

のりのりの

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第33章

異世界の女神サマは◯◯◯です(7)

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 突然湧き上がった不安にぞっとする。

「そんなことないよ!」

 ミスティアナの両腕に力が入る。

「魔王ちゃんは、今までがんばってくれたもん! どこにいたって、魔王ちゃんは、アタシの魔王ちゃんなの! だから、ちょっと……悔しいケド……アナスティミアちゃんが管轄するこの世界で、すこしくらい、魔王の役目をお休みして、好きなヒトをたくさんつくってみて?」
「ミスティアナ……」
「大事なヒトを想いつづける魔王ちゃんは素敵よ。でもね、それを枷にしないで? 大事なヒトはひとりである必要なんて、全くないのよ? とくに、アナスティミアの世界はとってもおおらかなの。もっと、もっと、自分のコトを大事にして? 心を大事にしてあげて?」

 オレはどう返事をしていいのかわからなかった。
 急にそんなことを言われても……困る。
 ミスティアナはその言葉を残して、霧となってオレの前から消えてしまった。

 残ったアナスティミアに視線を移す。
 彼女もまた、ゆっくりと霧と同化しはじめていた。
 なんとも無責任でいい加減な姉妹だ。
 
「姉サマの魔王ちゃんには、異世界召喚特典で、アタイからとっておきのスキルをプレゼントしてやったかな。ちゃんと使ってもらわないと困るぞ!」
「それって、ハラミバラとかいうスキルですよね?」
「お! わかってるじゃん!」

 いやいや……。
 異世界に召喚された次の日、念のためステータスを閲覧して、スキルチェックしたのだが、『ハラミバラ』とかいう、勇者たちの好きな焼肉メニューみたいな謎なスキルが増えていたんだよ。

 が、まだ使用条件が満たされていなかったのか、説明欄は空白だったので、そのまま放置していたんだけどね。

 それがアナスティミアの仕業だとすると……あまりいい予感はしないね。
 いい予感どころか、不吉な予感がプンプンするよ。

「アタシとの対面を終えたら使えるようになるから、戻ったらステータス画面を忘れずにチェックするんだよ」
「……わかりました」

 何度も言うが、上位存在に逆らうことはできないんだよ。
 心の底から忘れてしまいたいと思ったけれど、オレはしぶしぶ頷いてみせる。

「姉サマが用意した『刺激』もこれからだし、アタイもちょっとした『サプライズ』を用意した」
「ええええ????」

 ミスティアナが用意した『刺激』って、オレが異世界召喚されることじゃなかったの!

 そういえば……あの召喚は、手違いだとか、無効だとか、叫んでたような?
 衝撃的な情報量が多すぎて、うっかり聞き逃してしまっていたよ。

「アタイの魔王!」

(いや、オレはどっちの女神の魔王にもなった覚えはないんだが……)

「また、会おう! それまで、しっかり、やりまくれ!」
「なにをだ!」

 霧の中から豪快な笑い声が聞こえた。
 その言葉が最後となり、オレは神々の控えの間から追い出された。
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