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第31章
異世界のオマケはてんこ盛りです(5)
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すっかり怯えてしまったナルクル少年に、オレはがんばって笑みを向ける。
今日は表情筋をいっぱい使った。明日、筋肉痛にならなければいいんだけど。
ナルクル少年の顔が赤くなっている。
ドリアに虐められたからだろう。可哀想に……。
「ナルクルは怯えなくていいよ。あとで、わたしが、あのおにーちゃんをしっかり注意しておくからね。ナルクルは少しも悪くはないからね。悪いのは、あのおにーちゃんだからね、そこは、間違えちゃだめだよ」
「マオ――」
隣で情けない声をだしているドリアは無視する。
無視したいのだが、ぎゅうぎゅう手を握ってこられたら、スルーというわけにもいかないだろう。
「ナルクル……通用門を開けてくれるかな?」
オレの言葉にナルクルは大きく頷くと、門に向かって、逃げるように一直線に走り出した。
「あ――あ、すっかり怯えちゃったじゃないか」
ドリアを軽く睨みつけるが、ドリアの方はというと「ひとしごとをやってのけた」というような、妙な達成感に満ち溢れた顔をしている。
「じゃあ、行くか……」
ドリアがさっそうと歩き始める。
手を握られているオレも歩きはじめると、それに付随して護衛のエリーさんとフレドリックくんも歩きはじめる。
ドリアが戻ることを悟った子どもたちから、一斉に、抗議の声があがる。
「もう帰っちゃうの?」
「このところ、ぜんぜん、来てくれなかったじゃないか」
「おにーちゃん、いつもみたいに、遊んでくれないの?」
「絵本、読んでくれるって約束したのに」
門の方へ向かいながら、ドリアはひとりひとりの子どもたちに笑顔を向ける。
「ごめんな。でも、約束があるんだよ。また来る。そのときは、もっと、たくさんのお土産を持ってくるからな!」
名残惜しそうにする子どもたちを上手にあしらいながら、それでもしつこく言い寄ってくる子どもたちにはエリーさんとフレドリックくんの大人げない本気のガチ睨みが、子どもたちを大人しくさせる。
子どもたちはそれぞれ勝手に、わいわいガヤガヤと口々に言っているので、うるさくてたまらない。
焼菓子の入った袋をかかえた院長先生が子どもたちに追いつき、彼になだめられてようやく子どもたちがしずかになる。
通用門を通り抜け、門の前に止めてあった馬車に乗り込むと、子どもたちが「またきてねー」と一斉に手をふりはじめた。
うん。なんとも微笑ましい光景だね。
市場のときもそうだったけど、ドリアは子どもたちに人気があるようだ。
ドリアは窓のカーテンを開け、にこやかに手をふって、子どもたちに次の訪問を約束していた。
馬車がゆっくりと動きはじめる。
ドリアは窓のそとに……身を乗り出して、手をふりはじめた。
孤児院が見えなくなるまでは、手をふるつもりなのだろう。
エリーさんは額に手をやり、難しい顔で考え込んでいる。
「時々、どんなに探してもお姿が見つからないときがあったのですが……孤児院にまでおでかけになられていたのですね……」
フレドリックくんの呟きが、妙に疲れた哀愁を帯びていて、オレは同情を禁じ得なかった。
今日は表情筋をいっぱい使った。明日、筋肉痛にならなければいいんだけど。
ナルクル少年の顔が赤くなっている。
ドリアに虐められたからだろう。可哀想に……。
「ナルクルは怯えなくていいよ。あとで、わたしが、あのおにーちゃんをしっかり注意しておくからね。ナルクルは少しも悪くはないからね。悪いのは、あのおにーちゃんだからね、そこは、間違えちゃだめだよ」
「マオ――」
隣で情けない声をだしているドリアは無視する。
無視したいのだが、ぎゅうぎゅう手を握ってこられたら、スルーというわけにもいかないだろう。
「ナルクル……通用門を開けてくれるかな?」
オレの言葉にナルクルは大きく頷くと、門に向かって、逃げるように一直線に走り出した。
「あ――あ、すっかり怯えちゃったじゃないか」
ドリアを軽く睨みつけるが、ドリアの方はというと「ひとしごとをやってのけた」というような、妙な達成感に満ち溢れた顔をしている。
「じゃあ、行くか……」
ドリアがさっそうと歩き始める。
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「ごめんな。でも、約束があるんだよ。また来る。そのときは、もっと、たくさんのお土産を持ってくるからな!」
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子どもたちはそれぞれ勝手に、わいわいガヤガヤと口々に言っているので、うるさくてたまらない。
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通用門を通り抜け、門の前に止めてあった馬車に乗り込むと、子どもたちが「またきてねー」と一斉に手をふりはじめた。
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数々の作品あるなか、ご訪問ありがとうございます。
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
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