129 / 339
第22章
異世界のケーキは絶品です(2)
しおりを挟む
この世界のマナーを尊重して、フレドリックくんとドリアが食べ終わって『無事』なのを確認してから、オレはチョコレートケーキに手を伸ばす。
オレが手にしたチョコレートケーキは、すごく繊細な飾りが施され、見た目からして楽しめる。
食べると、蕩けるように甘くて、ほんのり果物の味もした。
空腹が満たされるという感覚はよくわからないけど、甘くて美味しいものを食べたら、幸せな気分になれる。
こんな素晴らしいものを作れるパティシエさんに拍手を送りたい。
フレドリックくんもドリアも、一個でギブアップなようだが、この美味しさと大きさなら、五、六個は余裕でいけるね。
蜂蜜がたっぷりと入ったお茶も美味いよ。
数日前に、思わず美味しいと呟いてしまった菫の蜂蜜が再び登場していた。
オレが喜ぶと思って、手配してくれたのだろうね。
オレがお茶に蜂蜜を入れたのをみたドリアが、蜂蜜の小瓶へと手を伸ばす。
が、ドリアが小瓶を手に取るよりも、フレドリックくんの動きの方が素早かった。
小瓶を手にとると、そのままリニー少年に手渡す。
(あ……もっと、いれたかったのに……)
「王太子殿下は、蜂蜜は口にしてはならない、と医師から言われているではありませんか」
フレドリックくんの言葉に、リニー少年も大きく頷いている。
「また、倒れられたらどうなさるおつもりですか?」
「いや、でも、わたしは、マオと同じものを口にしたい……」
ドリアの言葉に、フレドリックくんはこめかみを抑え、リニー少年は表情を険しくする。
「発疹だらけで、腫れあがった面白い顔を、勇者様にお見せしたいのなら、ご自由にどうぞ。一週間、高熱にうなされるのがお好きなら、どうぞお使いください」
「い、いや、やっぱり、蜂蜜はやめておこう……」
慌てて頭を振ると、ドリアはお茶を飲む。
どうやら……ドリアは蜂蜜アレルギーのようだ。
そういえば、オレがこの世界に召喚された日の夜に、肉食花の蜜だらけのオレを抱きかかえたが、大丈夫だったのだろうか?
だから、必死の形相で蜜を洗い流していたのか……。
普通なら、ここで自分の身を顧みずオレを抱きかかえてくれたドリアには感謝しないといけないのだろうが、一国の王太子がそのような軽率な行動をとるとは、けしからん! とオレは思った。
リニー少年、もしくは、部屋の外で警護していた近衛騎士を呼ぶのが、王太子として正しい行動だ。
蜂蜜のやりとりでなんとなく、気まずい空気が漂う。
このままでは、ケーキを美味しくいただくことができないよ。
オレはこの場の雰囲気を変えるべく、リニー少年に用意してもらったお茶とお菓子の感想、そして、蜂蜜のお礼を伝えた。
オレが手にしたチョコレートケーキは、すごく繊細な飾りが施され、見た目からして楽しめる。
食べると、蕩けるように甘くて、ほんのり果物の味もした。
空腹が満たされるという感覚はよくわからないけど、甘くて美味しいものを食べたら、幸せな気分になれる。
こんな素晴らしいものを作れるパティシエさんに拍手を送りたい。
フレドリックくんもドリアも、一個でギブアップなようだが、この美味しさと大きさなら、五、六個は余裕でいけるね。
蜂蜜がたっぷりと入ったお茶も美味いよ。
数日前に、思わず美味しいと呟いてしまった菫の蜂蜜が再び登場していた。
オレが喜ぶと思って、手配してくれたのだろうね。
オレがお茶に蜂蜜を入れたのをみたドリアが、蜂蜜の小瓶へと手を伸ばす。
が、ドリアが小瓶を手に取るよりも、フレドリックくんの動きの方が素早かった。
小瓶を手にとると、そのままリニー少年に手渡す。
(あ……もっと、いれたかったのに……)
「王太子殿下は、蜂蜜は口にしてはならない、と医師から言われているではありませんか」
フレドリックくんの言葉に、リニー少年も大きく頷いている。
「また、倒れられたらどうなさるおつもりですか?」
「いや、でも、わたしは、マオと同じものを口にしたい……」
ドリアの言葉に、フレドリックくんはこめかみを抑え、リニー少年は表情を険しくする。
「発疹だらけで、腫れあがった面白い顔を、勇者様にお見せしたいのなら、ご自由にどうぞ。一週間、高熱にうなされるのがお好きなら、どうぞお使いください」
「い、いや、やっぱり、蜂蜜はやめておこう……」
慌てて頭を振ると、ドリアはお茶を飲む。
どうやら……ドリアは蜂蜜アレルギーのようだ。
そういえば、オレがこの世界に召喚された日の夜に、肉食花の蜜だらけのオレを抱きかかえたが、大丈夫だったのだろうか?
だから、必死の形相で蜜を洗い流していたのか……。
普通なら、ここで自分の身を顧みずオレを抱きかかえてくれたドリアには感謝しないといけないのだろうが、一国の王太子がそのような軽率な行動をとるとは、けしからん! とオレは思った。
リニー少年、もしくは、部屋の外で警護していた近衛騎士を呼ぶのが、王太子として正しい行動だ。
蜂蜜のやりとりでなんとなく、気まずい空気が漂う。
このままでは、ケーキを美味しくいただくことができないよ。
オレはこの場の雰囲気を変えるべく、リニー少年に用意してもらったお茶とお菓子の感想、そして、蜂蜜のお礼を伝えた。
12
数々の作品あるなか、ご訪問ありがとうございます。
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる