77 / 339
第14章
異世界の告白は突然です(2)
しおりを挟む
オレは内心で焦りながら、乾いた笑顔で対応する。
「もしかして、ひとりでは怖くて眠れませんか?」
「ひぃ……っ!」
もう少しで持っていたティーカップを落とすところだった。
フレドリックくんの洞察力の方が怖いんですけど……。
「勇者様、そんなに驚かれなくても大丈夫ですよ。『不可思議怪奇奇譚』は、かなりキテる全集です。騎士たちの間では、胆力の測定に、全集の何巻まで読めるか、ということをやるくらいですから……」
「えええ! 読書で、騎士たちの胆力測定をする?」
異世界の発想やばすぎる。
っていうか、オレがイメージしている騎士って、脳まで筋肉っぽい人種で、読書とは無縁な職業なのだが……。
こっちの世界の騎士はちがうのだろうか?
「六冊目辺りから、ひとりで夜は眠れないと訴え、添い寝を希望する騎士がでてきます」
「へ……え……っ。そ、添い寝、ねぇ……」
声が裏返ってしまったよ。
騎士ですらビビる本って……。
オレってば、なんて……物騒な本を引き当ててしまったんだろう。
嫌な汗が背中をじっとりと濡らす。
ウロチョロしている王太子との鉢合わせを警戒して、オレは一歩も外に出ず、ずっと室内にいた。
オレは室内待機。
なので、フレドリックくんに頼んで、書庫から本を借りてきてもらうことにしたんだ。
借りてもらうときの手間を省くために、面白そうなタイトルで、そこそこのボリュームのある全集を指定したのだが……読んだ結果は、ちっとも面白くないことになっていたんだよね。
「ということは……フレドリックくんも、この……全集を読んだことがあるのか?」
もう、怖くて本のタイトルを口にするのも憚れる。
「はい。もちろんです。家の書庫にも初版本があります」
「初版……」
さすが、武闘派家門。
それを幼い頃からの愛読書にして、胆力を鍛えているフレドリックくんの姿がぼんやりと目に浮かんじゃったね。
「ちなみに、フレドリックくんは何巻まで読めたんだ?」
「五十巻です」
(やっぱり……)
強者はものすごく近くにいた。
六巻でひぃひぃ言っているオレはなんなんだ……と落ち込んでしまいそうである。
「ちなみに、リニーは五十一巻です」
「ごじゅういち?」
その数字にオレは首を傾げる。
全集は五十巻ではなかったのか?
「この『不可思議怪奇奇譚』は、ラグナークス家……宰相閣下の先祖が編纂者で、原本が宰相家の書庫に保管されているのです。ただ、五十一巻目は、あまりにもショッキングな内容となっており、発行を見合わせたという……幻の巻となっています」
「すっ……すごいな」
色々すごすぎて、言葉に詰まる。
だが、一番、すごいと思ったのが、五十一巻目をものすごく読みたそうに話しているフレドリックくんの胆力だろう。
「もしかして、ひとりでは怖くて眠れませんか?」
「ひぃ……っ!」
もう少しで持っていたティーカップを落とすところだった。
フレドリックくんの洞察力の方が怖いんですけど……。
「勇者様、そんなに驚かれなくても大丈夫ですよ。『不可思議怪奇奇譚』は、かなりキテる全集です。騎士たちの間では、胆力の測定に、全集の何巻まで読めるか、ということをやるくらいですから……」
「えええ! 読書で、騎士たちの胆力測定をする?」
異世界の発想やばすぎる。
っていうか、オレがイメージしている騎士って、脳まで筋肉っぽい人種で、読書とは無縁な職業なのだが……。
こっちの世界の騎士はちがうのだろうか?
「六冊目辺りから、ひとりで夜は眠れないと訴え、添い寝を希望する騎士がでてきます」
「へ……え……っ。そ、添い寝、ねぇ……」
声が裏返ってしまったよ。
騎士ですらビビる本って……。
オレってば、なんて……物騒な本を引き当ててしまったんだろう。
嫌な汗が背中をじっとりと濡らす。
ウロチョロしている王太子との鉢合わせを警戒して、オレは一歩も外に出ず、ずっと室内にいた。
オレは室内待機。
なので、フレドリックくんに頼んで、書庫から本を借りてきてもらうことにしたんだ。
借りてもらうときの手間を省くために、面白そうなタイトルで、そこそこのボリュームのある全集を指定したのだが……読んだ結果は、ちっとも面白くないことになっていたんだよね。
「ということは……フレドリックくんも、この……全集を読んだことがあるのか?」
もう、怖くて本のタイトルを口にするのも憚れる。
「はい。もちろんです。家の書庫にも初版本があります」
「初版……」
さすが、武闘派家門。
それを幼い頃からの愛読書にして、胆力を鍛えているフレドリックくんの姿がぼんやりと目に浮かんじゃったね。
「ちなみに、フレドリックくんは何巻まで読めたんだ?」
「五十巻です」
(やっぱり……)
強者はものすごく近くにいた。
六巻でひぃひぃ言っているオレはなんなんだ……と落ち込んでしまいそうである。
「ちなみに、リニーは五十一巻です」
「ごじゅういち?」
その数字にオレは首を傾げる。
全集は五十巻ではなかったのか?
「この『不可思議怪奇奇譚』は、ラグナークス家……宰相閣下の先祖が編纂者で、原本が宰相家の書庫に保管されているのです。ただ、五十一巻目は、あまりにもショッキングな内容となっており、発行を見合わせたという……幻の巻となっています」
「すっ……すごいな」
色々すごすぎて、言葉に詰まる。
だが、一番、すごいと思ったのが、五十一巻目をものすごく読みたそうに話しているフレドリックくんの胆力だろう。
11
数々の作品あるなか、ご訪問ありがとうございます。
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
拾った駄犬が最高にスパダリ狼だった件
竜也りく
BL
旧題:拾った駄犬が最高にスパダリだった件
あまりにも心地いい春の日。
ちょっと足をのばして湖まで採取に出かけた薬師のラスクは、そこで深手を負った真っ黒ワンコを見つけてしまう。
治療しようと近づいたらめちゃくちゃ威嚇されたのに、ピンチの時にはしっかり助けてくれた真っ黒ワンコは、なぜか家までついてきて…。
受けの前ではついついワンコになってしまう狼獣人と、お人好しな薬師のお話です。
★不定期:1000字程度の更新。
★他サイトにも掲載しています。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる