44 / 339
第8章
異世界の識字率にびっくりです(5)
しおりを挟む
と、ここで、リニー少年が誰かに似ていると思っていたのだが、この国の宰相に似ていたことに気づいた。
いや、気づくのが遅すぎたよね。
聞いてみると、リニー少年は、八人兄弟姉妹の末っ子だ。
ちなみに、フレドリックくんは、九人兄弟。ヤキュウチームができる人数である。
異世界って、子沢山なのだろうか……。
話が脱線してしまったが、三日目は、五男のフレドリックくんに城内を案内してもらった。
エルドリア王太子の話では、フレドリックくんがいれば、城内を歩き回る際、リニー少年がオレに同行する必要はない。
なのに、なぜかリニー少年もオレの王城見学にひょこひょことついてきた。
なんだか監視されているようで、ちょっぴり緊張する。
宝物庫、倉庫、武器庫、牢獄、謁見の間、行政官たちが詰めている棟、騎士団の棟、その他、使用人たちが働いている場所など、入室禁止のエリアは沢山あったが、この先にはどういった部屋があり、なぜ、立ち入り禁止なのかまで理由を教えられたので、オレに不満はない。
別に覗いてみたい部屋でもなかった。
城内で真面目に働く人々の邪魔をしてまで、足を踏み入れたい場所でもないからね。
一般書庫には問題なく入室できたよ。
高くそびえる本棚と、その中にびっしりと詰まっている本の数に、オレはただ圧倒されてしまった。
「す、すごい……」
オレは思わず感嘆の声をあげ、しばしその場で立ち尽くしていた。
調べものがある文官らしき人々が、静かに本棚を行き来している。
「書庫の本は誰でも読めるのか?」
質問する声が、緊張のあまりうわずっている。
「王城に出入りを許されている者であれば、許可証を発行してもらえば、本を読むことも、借りることもできます」
「す、凄い! 凄いじゃないか!」
素直なオレの賛辞に、フレドリックくんの表情が和む。
「本に興味があるのですか?」
「ああ! 大好きだ! すごく好きだ!」
オレはフレドリックくんに視線を戻し、大きく頷いた。
なぜか、フレドリックくんとリニー少年の顔が赤くなっている。
「オレも読んでいいのかな?」
「許可証があれば読めます。今日は書庫内の見学だけで我慢してください」
「わかった。一刻も早く、許可証を発行してもらいに行こう」
「わたくしの方で、許可証を発行してもらうよう申請しておきます。勇者様はこのまま書庫内の見学を続けてください」
フレドリックくんと頷きあうと、リニー少年はオレたちから離れていく。
よく気が利く子どもである。
「本当は、許可証の発行には数週間かかるのですが、リニーが行ったので、明日から書庫の本が読めるようになりますよ」
書庫の管理人たちがいるカウンターに向かうリニー少年を見送った後、フレドリックくんは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、そんなことを言った。
リニー少年は、宰相コネか、王太子権限を使うのだろう。
なかなかしっかりしているが、末恐ろしい子どもである。
宰相は子どもにどんな教育をしているのだろうか。
親子ともども、敵に回したくない存在だね。注意しておこう。
そんなことを考えながら、フレドリックくんの先導で、オレは書庫内を歩き回った。
資料室と禁書庫は、当然ながら立ち入り禁止だった。
いや、気づくのが遅すぎたよね。
聞いてみると、リニー少年は、八人兄弟姉妹の末っ子だ。
ちなみに、フレドリックくんは、九人兄弟。ヤキュウチームができる人数である。
異世界って、子沢山なのだろうか……。
話が脱線してしまったが、三日目は、五男のフレドリックくんに城内を案内してもらった。
エルドリア王太子の話では、フレドリックくんがいれば、城内を歩き回る際、リニー少年がオレに同行する必要はない。
なのに、なぜかリニー少年もオレの王城見学にひょこひょことついてきた。
なんだか監視されているようで、ちょっぴり緊張する。
宝物庫、倉庫、武器庫、牢獄、謁見の間、行政官たちが詰めている棟、騎士団の棟、その他、使用人たちが働いている場所など、入室禁止のエリアは沢山あったが、この先にはどういった部屋があり、なぜ、立ち入り禁止なのかまで理由を教えられたので、オレに不満はない。
別に覗いてみたい部屋でもなかった。
城内で真面目に働く人々の邪魔をしてまで、足を踏み入れたい場所でもないからね。
一般書庫には問題なく入室できたよ。
高くそびえる本棚と、その中にびっしりと詰まっている本の数に、オレはただ圧倒されてしまった。
「す、すごい……」
オレは思わず感嘆の声をあげ、しばしその場で立ち尽くしていた。
調べものがある文官らしき人々が、静かに本棚を行き来している。
「書庫の本は誰でも読めるのか?」
質問する声が、緊張のあまりうわずっている。
「王城に出入りを許されている者であれば、許可証を発行してもらえば、本を読むことも、借りることもできます」
「す、凄い! 凄いじゃないか!」
素直なオレの賛辞に、フレドリックくんの表情が和む。
「本に興味があるのですか?」
「ああ! 大好きだ! すごく好きだ!」
オレはフレドリックくんに視線を戻し、大きく頷いた。
なぜか、フレドリックくんとリニー少年の顔が赤くなっている。
「オレも読んでいいのかな?」
「許可証があれば読めます。今日は書庫内の見学だけで我慢してください」
「わかった。一刻も早く、許可証を発行してもらいに行こう」
「わたくしの方で、許可証を発行してもらうよう申請しておきます。勇者様はこのまま書庫内の見学を続けてください」
フレドリックくんと頷きあうと、リニー少年はオレたちから離れていく。
よく気が利く子どもである。
「本当は、許可証の発行には数週間かかるのですが、リニーが行ったので、明日から書庫の本が読めるようになりますよ」
書庫の管理人たちがいるカウンターに向かうリニー少年を見送った後、フレドリックくんは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、そんなことを言った。
リニー少年は、宰相コネか、王太子権限を使うのだろう。
なかなかしっかりしているが、末恐ろしい子どもである。
宰相は子どもにどんな教育をしているのだろうか。
親子ともども、敵に回したくない存在だね。注意しておこう。
そんなことを考えながら、フレドリックくんの先導で、オレは書庫内を歩き回った。
資料室と禁書庫は、当然ながら立ち入り禁止だった。
10
数々の作品あるなか、ご訪問ありがとうございます。
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
これもなにかの『縁』でございます!
お気に入り、ブクマありがとうございます。
まだの方はぜひ、ポチッとしていただき、更新時もよろしくお願いします。
ポチっで、モチベーションがめっちゃあがります。
↓別のお話もアップしています。そちらも応援よろしくお願いします。↓
転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす
生贄奴隷の成り上がり〜魂の片割れとの巡り合い〜
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる