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第7章

異世界の朝は衝撃です(2)

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 三十五回も勇者に倒されて、三十六回も復活するということを繰り返していると、ちょっと、新しい『刺激』が欲しくなる。

 そのことを、勇者召喚の責任者である、聖なる女神ミスティアナに話した結果が、コレである。

 初対面の男にぐちゃぐちゃ、メロメロになるまで抱かれる『刺激』なんて、オレは決して求めていなかった。

 ……不本意だ。

 しかも、媚薬の影響もあったのだろうが……エルドリア王太子はそちらの教育もしっかり受けてらしたようで、ものすごく……よかった。
 
 もう、一方的に、わけもわからずオレは啼かされてばかりいた。

 異世界のレベルの高さに、オレは抵抗すらできずに一晩中、翻弄されっぱなしだった。

 前戯の風呂から、メインの寝台に場所を移動した後は、本格的な濡れ濡れシーンに突入したのだが……。

 はっきりいって、王太子のテクに意識がぶっ飛んでしまって、断片的な記憶しか残ってない。

 オレがナニを口走って、ナニをされたか……なんて、覚えていない。

 うん、すこしも覚えていないね。

 もっともっと……とか、すごくいい……とか、やめないで……とか、うん……あれは違う。

 ……そう。思い出さないほうが、オレ的にはいいような気がしてきた。

 ただただ、王太子との行為はものすごく気持ちよかった……という、記憶だけが、くっきりと残っている。

 アレは全くもって不本意な、封印すべき事故だ。

 恥ずかしい。

 恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい……というか、もう、さっさと元の世界に戻りたい。

 寝台の中で悶々としていたら、その気配をリニー少年に悟られてしまった。

 うん、もぞもぞ、バタバタしてたら、起きてるってばれちゃうよね。
 うかつだった。

「勇者様、お目覚めですか?」

 ああ、無邪気なリニー少年の声が、オレの心に突き刺さる……。

 ふたりぶんの気配が、こちらに近づいてくるのがわかった。

(逃げたい!)

 だが、腰が痛くて、逃げるどころか、寝返りすらできないオレは、ただ、布団の中で固まることしかできない。

(た、頼むから、王太子はこっちに来ないでくれ……)

 枕に顔を埋めながら、オレは心のなかで女神に必死に祈った。

「マオ、昨日は無理をさせてしまったな。今日はゆっくりと身体を休めてくれ」

「…………」

 オレのささやかな願いは、女神には聞き届けてもらえなかったようである。いつものことである。

 エルドリア王太子は寝台の側で屈み込むと、オレの方へと顔を近づけてきた。

 なんか、その気配だけで、身体の奥がじわりと熱くなり、前とか後ろとかがきゅんとくる。変になってしまいそうである。

 まさか、まだ媚薬効果がつづいているのか……?

 落ち着いてくれ!

 オレの下半身!

 エルドリア王太子の言葉に反応はしなかったが、オレが起きているのは、ふたりにバレバレである。

「マオ、素敵な夜をありがとう」

(いや、やめて! そ、そん、ん、なああ、恥ずかしくて腐ったセリフはやめて! 頼むから、やめてくれ!)
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