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Mission3 お祖母様を救え!
102.王子様が摘んだ花は
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「コラ、レーシア! 先生の邪魔をするんじゃない!」
慌てるライース兄様をデイラル先生は「よいのですよ」と優しい声で制止する。
「フレーシアお嬢様、わたくしがこの絵本を読めばよろしいのですかな?」
「はい! いますぐにです! お祖母様のごびょうきとそっくりなおはなしです!」
「ほう……。それは……」
あたしから絵本を受け取ると、デイラル先生はゆっくりとページをめくっていく。
最後まで読み終わると、デイラル先生は、とあるページを開いたまま、あたしに絵本を返してくれた。
そのページは、王子様が青い花を摘んでいるシーンだ。
デイラル先生は「よいしょ」という掛け声とともに、膝を折り、あたしの目線にしゃがみこむ。
そして、王子様が持っている花を指さした。
「フレーシアお嬢様、驚きました。この物語りにあるお姫様の状態と、氷結晶病の症状はとても似通っていますね」
「ですよね! ですよね!」
「絵本がですか?」
ライース兄様が絵本を覗き込む。
「デイラル先生! この青いお花の名前はなんというのでしょうか? このお花が、お祖母様のごびょうきをなおす、とっておきのおくちゅりになるとおもいます!」
「……………………」
デイラル先生は腕を組んで沈黙する。
「フレーシアお嬢様、残念ですが、これは絵本であって、薬学事典ではございません」
「どういうことですか?」
「この絵では、どのような薬草なのか、判別できません」
「うそです!」
いやいや、ゲームではお医者様がばしっと、宣言してましたよ?
もしかして、ゲームの医者はデイラル先生そっくりさんの、別の医者だったの?
ショックのあまりその場にへなへなと座り込むあたしを、デイラル先生は不安げな眼差しで見つめる。
「まあ、この花の絵の特徴からすると、おそらく、絵本に登場している花は『バーニラーヌ』の花かと思われます」
「バーニラーヌ!」
そうだ!
そうだった!
バなんとかっていう花は『バーニラーヌ』っていうんだった。
このイベントをプレイしてたとき、ものすごくバニラアイスを食べたくなったのを思い出した!
「バーニラーヌのお花がお祖母様のごびょうきをなおすのですね!」
あたしの嬉しそうな言葉に、デイラル先生とライース兄様は微妙な顔をする。
なんだろう。
ちょっと、嫌な雰囲気だ。
「フレーシアお嬢様、『バーニラーヌ』の花の色は、白でございます。このような、絵本のような青ではございません。ですので、この青い花は、別の花かもしれません」
「え…………」
そんなことはない。
間違いなく、氷結晶病を治す花は青い『バーニラーヌ』の花びらのしぼり汁だった。
そういう描写があった。
ヒロインが『バーニラーヌ』の花を摘み取ったときの静止画もあったけど、あれは、確かに青い花だった。
どういうことだろう……。
「変異種なのかもしれない。絵本のお話だからな」
静かになってしまったあたしにライース兄様の手があたしの背中をなでる。
「ライース坊ちゃまのおっしゃるとおり絵本のことではありますが、なにもしないよりは、色々と試した方がよいかとは思います」
「そうだな。デイラル先生のおっしゃるとおりだ。ちょうど、今は『バーニラーヌ』の花が開花する時期だ。急ぎ、取り寄せよう」
(え…………? どういうこと?)
決着がついた、と判断され、大人たちはお祖母様の部屋へと入っていく。
その中にはデイラル先生もいた。
「さあ、レーシアはお部屋に戻りなさい」
あたしはライース兄様に促され、お祖母様の部屋を離れた。
(どういうこと? どういうこと?)
ちょっとの違いはあったけど、ほとんどが本編通りのやりとりだった。
なのに、なのに、最後の最後で…………。
(ライース兄様のセリフが違うって、どいういうことなのぉっ!)
慌てるライース兄様をデイラル先生は「よいのですよ」と優しい声で制止する。
「フレーシアお嬢様、わたくしがこの絵本を読めばよろしいのですかな?」
「はい! いますぐにです! お祖母様のごびょうきとそっくりなおはなしです!」
「ほう……。それは……」
あたしから絵本を受け取ると、デイラル先生はゆっくりとページをめくっていく。
最後まで読み終わると、デイラル先生は、とあるページを開いたまま、あたしに絵本を返してくれた。
そのページは、王子様が青い花を摘んでいるシーンだ。
デイラル先生は「よいしょ」という掛け声とともに、膝を折り、あたしの目線にしゃがみこむ。
そして、王子様が持っている花を指さした。
「フレーシアお嬢様、驚きました。この物語りにあるお姫様の状態と、氷結晶病の症状はとても似通っていますね」
「ですよね! ですよね!」
「絵本がですか?」
ライース兄様が絵本を覗き込む。
「デイラル先生! この青いお花の名前はなんというのでしょうか? このお花が、お祖母様のごびょうきをなおす、とっておきのおくちゅりになるとおもいます!」
「……………………」
デイラル先生は腕を組んで沈黙する。
「フレーシアお嬢様、残念ですが、これは絵本であって、薬学事典ではございません」
「どういうことですか?」
「この絵では、どのような薬草なのか、判別できません」
「うそです!」
いやいや、ゲームではお医者様がばしっと、宣言してましたよ?
もしかして、ゲームの医者はデイラル先生そっくりさんの、別の医者だったの?
ショックのあまりその場にへなへなと座り込むあたしを、デイラル先生は不安げな眼差しで見つめる。
「まあ、この花の絵の特徴からすると、おそらく、絵本に登場している花は『バーニラーヌ』の花かと思われます」
「バーニラーヌ!」
そうだ!
そうだった!
バなんとかっていう花は『バーニラーヌ』っていうんだった。
このイベントをプレイしてたとき、ものすごくバニラアイスを食べたくなったのを思い出した!
「バーニラーヌのお花がお祖母様のごびょうきをなおすのですね!」
あたしの嬉しそうな言葉に、デイラル先生とライース兄様は微妙な顔をする。
なんだろう。
ちょっと、嫌な雰囲気だ。
「フレーシアお嬢様、『バーニラーヌ』の花の色は、白でございます。このような、絵本のような青ではございません。ですので、この青い花は、別の花かもしれません」
「え…………」
そんなことはない。
間違いなく、氷結晶病を治す花は青い『バーニラーヌ』の花びらのしぼり汁だった。
そういう描写があった。
ヒロインが『バーニラーヌ』の花を摘み取ったときの静止画もあったけど、あれは、確かに青い花だった。
どういうことだろう……。
「変異種なのかもしれない。絵本のお話だからな」
静かになってしまったあたしにライース兄様の手があたしの背中をなでる。
「ライース坊ちゃまのおっしゃるとおり絵本のことではありますが、なにもしないよりは、色々と試した方がよいかとは思います」
「そうだな。デイラル先生のおっしゃるとおりだ。ちょうど、今は『バーニラーヌ』の花が開花する時期だ。急ぎ、取り寄せよう」
(え…………? どういうこと?)
決着がついた、と判断され、大人たちはお祖母様の部屋へと入っていく。
その中にはデイラル先生もいた。
「さあ、レーシアはお部屋に戻りなさい」
あたしはライース兄様に促され、お祖母様の部屋を離れた。
(どういうこと? どういうこと?)
ちょっとの違いはあったけど、ほとんどが本編通りのやりとりだった。
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