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Mission2 げきまじゅおくちゅりを克服せよ!
43.カルティの変化
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従者として働いているとはいえ、カルティはあたしより二つ年上……八歳のオコチャマなんだから、仕草が可愛くて当然だ。
「お嬢様……いかがなされましたか?」
ものすごくガン見していたんだろう。
カルティが食器を片付ける手を止め、あたしに質問してくる。
なにか欲しいものがあると思ったにちがいない。
「あ……とくに……。ちょっと、カルティが変わったなあ……って思って」
「変わった?」
カルティ、そして、ライース兄様も首を軽く傾けて不思議そうな顔をする。
部屋にはちょうど、朝の柔らかな光が入ってきていた。
その光の中でふたりは逆光の位置に立っており、神々しい輝きに包まれている。
朝からとても眩しく、尊すぎるツーショットに、あたしは心のなかで腐女神に感謝の祈りを捧げる。
「カルティは、いい方向に変わったよ。前は、ずっと……暗い顔で地面ばかりみていたけど、今は、まっすぐ前を向いているでしょ?」
興味津々といった風な表情で、ライース兄様から煎じ薬が注がれたコップを渡される。
あたしはコップを受け取ると、それをベッドトレイの脇に追いやり、とまどっているカルティをのぞきこむ。
「…………」
「表情も……ちょっと柔らかくなって……前よりも、だんぜんよくなったと思う」
「は、はあ……?」
あたしの言葉に、カルティは目をぱちぱちさせて驚いている。
あたしの口からそんなセリフがでるとは思ってもいなかったんだろう。
ライース兄様も一緒になって驚いているのはなぜ?
「いい方向に変わった……ですか?」
「うん」
そう。
ここ数日でのカルティの変化は、とても大きい。
本人に自覚がないようなので、言葉を慎重に選びながら説明する。
褒めるって、大事だからね。
ダメダメな後輩を指導するときに、先輩としてどうやって指導していったらいいか、必死になってネットで調べたんだよ。
まあ、後輩はイマイチな感じだったけど、カルティは違う……と信じたい。
せっかく、カルティがいい感じになっているんだから、荒んだ大人にならないよう注意が必要だ。
カルティがひねくれることなく、素直な子に育ってくれたら、この先、アドルミデーラ家に降りかかる災難の半分、いや、四分の一くらいは減るんじゃないだろうか?
「カルティ……。いつも、いつも、下ばかり見ていても楽しくないでしょ? ちゃんとしっかり前を見て。うん、そう。前をしっかり見ているカルティは、とても仕事ができるオトナな男に見えて、素敵だよ。きっと、お祖母様も安心するし、喜ぶと思う」
最後の一言が効いたんだろう。
カルティの顔が一気にボフッと真っ赤になった。
幼いからか、すごくわかりやすい反応だった。
恥ずかしそうに下を向くが……。
「イタっ!」
「コラ! レーシアが下を向くな、と言った直後に下を向くやつがいるか!」
「お嬢様……いかがなされましたか?」
ものすごくガン見していたんだろう。
カルティが食器を片付ける手を止め、あたしに質問してくる。
なにか欲しいものがあると思ったにちがいない。
「あ……とくに……。ちょっと、カルティが変わったなあ……って思って」
「変わった?」
カルティ、そして、ライース兄様も首を軽く傾けて不思議そうな顔をする。
部屋にはちょうど、朝の柔らかな光が入ってきていた。
その光の中でふたりは逆光の位置に立っており、神々しい輝きに包まれている。
朝からとても眩しく、尊すぎるツーショットに、あたしは心のなかで腐女神に感謝の祈りを捧げる。
「カルティは、いい方向に変わったよ。前は、ずっと……暗い顔で地面ばかりみていたけど、今は、まっすぐ前を向いているでしょ?」
興味津々といった風な表情で、ライース兄様から煎じ薬が注がれたコップを渡される。
あたしはコップを受け取ると、それをベッドトレイの脇に追いやり、とまどっているカルティをのぞきこむ。
「…………」
「表情も……ちょっと柔らかくなって……前よりも、だんぜんよくなったと思う」
「は、はあ……?」
あたしの言葉に、カルティは目をぱちぱちさせて驚いている。
あたしの口からそんなセリフがでるとは思ってもいなかったんだろう。
ライース兄様も一緒になって驚いているのはなぜ?
「いい方向に変わった……ですか?」
「うん」
そう。
ここ数日でのカルティの変化は、とても大きい。
本人に自覚がないようなので、言葉を慎重に選びながら説明する。
褒めるって、大事だからね。
ダメダメな後輩を指導するときに、先輩としてどうやって指導していったらいいか、必死になってネットで調べたんだよ。
まあ、後輩はイマイチな感じだったけど、カルティは違う……と信じたい。
せっかく、カルティがいい感じになっているんだから、荒んだ大人にならないよう注意が必要だ。
カルティがひねくれることなく、素直な子に育ってくれたら、この先、アドルミデーラ家に降りかかる災難の半分、いや、四分の一くらいは減るんじゃないだろうか?
「カルティ……。いつも、いつも、下ばかり見ていても楽しくないでしょ? ちゃんとしっかり前を見て。うん、そう。前をしっかり見ているカルティは、とても仕事ができるオトナな男に見えて、素敵だよ。きっと、お祖母様も安心するし、喜ぶと思う」
最後の一言が効いたんだろう。
カルティの顔が一気にボフッと真っ赤になった。
幼いからか、すごくわかりやすい反応だった。
恥ずかしそうに下を向くが……。
「イタっ!」
「コラ! レーシアが下を向くな、と言った直後に下を向くやつがいるか!」
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