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フィリア編(3)
13.損害はおまえの報酬から差し引くから
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そして、最後の一枚は、偽造登録用紙。
ランクの上限はない。
さらに、この登録用紙で登録すれば、冒険者カードに表示されるステータスを偽ったり、冒険者カードを複数作成できたりするようになる。
聖銀を紙状に加工したものが使用される。
ルースは言わなかったが、ちびっ子たちの登録用紙は偽造登録用紙なので、最初から聖銀を紙状に加工したものを使っている。
「おまえの羊皮紙製の登録用紙は、白銀を加工したものではなく、偽造登録用紙の方に転写する」
「偽造って……」
響きからして、聞いてはいけないことを聞いてしまったようである。
「このような形になってしまったのは、わたしの見通しが甘かったからだな。すまないな。許せ……」
トン、トン、トンと指先で机を叩きながら、ルースがぽつりと小さな声で呟く。
その表情はルースのようで、ルースではない別の人のようであった。
バキッツ!
突然、乾いた音を立てて、フィリアの装備が砕け散る。
「う、うわっ」
破片がはじけ飛び、フィリアは両手をあげて顔をかばう。
「はじまったか……」
「な、なにがですか! ……っていうか、そ、装備が! ぼくの装備が粉微塵になってしまったぁぁっ!」
魔力を帯びた籠手や胸当て、肩当てなどがなくなっていた。
新品とはいえないが、まだ購入してそんなに使い込んでいない。経年劣化は早すぎる。
そして、また、変な音がして、魔力が込められた外套がびりびりに破れてしまう。
「え? え? え?」
どうして装備が壊れてしまったのか、フィリアには全くわからない。
狼狽えるフィリアと違い、ルースは落ち着き払っていた。
「剣を抜いてみろ」
ルースに言われ、フィリアは腰の剣を抜きはらう。
と、刀身がボロボロと崩れ落ち、束も同じく崩れて塵となってしまった。
「え? えええ? け、剣が! ギルド長! ぼくの剣が消えた! 消えました! この剣、めちゃくちゃ高かったんですよ! 買い換えたばかりなのに!」
「消えたのではない。お前がさっきからずっと垂れ流している魔力に耐え切れず、劣化したんだ」
「それって、どういう……」
背後でパキン、パキンと、なにかが壊れる音がした。
フィリアとルースの視線が、魔道具を保管している棚に向く。
いくつかの魔道具にヒビが入り、爆発していた。
「ついに魔道具が壊れはじめたか……」
ルースはいまいましげに舌打ちする。
「お前の剣とは比べものにならないくらい貴重で、高額なものばかりだ。一点ものもあるのに、どうしてくれる? 損害はおまえの報酬から差し引くから、そのつもりでな」
「な、……なんで?」
話の筋が全く見えない。
フィリアが呆然としている間にも、またひとつ、魔道具が派手に爆発する。
爆発はするが、戸棚の防壁が健在なので、破片が室内に飛び散ることはない。
だが、棚の耐久度も限界に近づいてきている。
「こっちが聞きたいくらいだ。なんで、なにも気づいていないんだ? よく平気で立っていられるよな?」
「さっきから、なにをおっしゃっているのかよくわからないのですが?」
「……今のお前は、魔力で溢れかえって、ダダ漏れ状態なんだよ。それも、かなりの濃度の量がとどまることなく溢れ出ている。それこそ、災害級の魔物が放つ瘴気のようにな」
「へ…………」
嘘か冗談かと思いたいが、ルースの深刻そうな顔を見ていると、彼が冗談を言っているとは思えなかった。
受付で冒険者たちが怯えていたり、魔術師や、回復術師が倒れてしまったのは、フィリアの駄々洩れ魔力が原因だったようである。
こいつが平気でいられるのは、耐久力、精神力、体力のステータスが爆上がりしたからか? とルースはブツブツと呟く。
ランクの上限はない。
さらに、この登録用紙で登録すれば、冒険者カードに表示されるステータスを偽ったり、冒険者カードを複数作成できたりするようになる。
聖銀を紙状に加工したものが使用される。
ルースは言わなかったが、ちびっ子たちの登録用紙は偽造登録用紙なので、最初から聖銀を紙状に加工したものを使っている。
「おまえの羊皮紙製の登録用紙は、白銀を加工したものではなく、偽造登録用紙の方に転写する」
「偽造って……」
響きからして、聞いてはいけないことを聞いてしまったようである。
「このような形になってしまったのは、わたしの見通しが甘かったからだな。すまないな。許せ……」
トン、トン、トンと指先で机を叩きながら、ルースがぽつりと小さな声で呟く。
その表情はルースのようで、ルースではない別の人のようであった。
バキッツ!
突然、乾いた音を立てて、フィリアの装備が砕け散る。
「う、うわっ」
破片がはじけ飛び、フィリアは両手をあげて顔をかばう。
「はじまったか……」
「な、なにがですか! ……っていうか、そ、装備が! ぼくの装備が粉微塵になってしまったぁぁっ!」
魔力を帯びた籠手や胸当て、肩当てなどがなくなっていた。
新品とはいえないが、まだ購入してそんなに使い込んでいない。経年劣化は早すぎる。
そして、また、変な音がして、魔力が込められた外套がびりびりに破れてしまう。
「え? え? え?」
どうして装備が壊れてしまったのか、フィリアには全くわからない。
狼狽えるフィリアと違い、ルースは落ち着き払っていた。
「剣を抜いてみろ」
ルースに言われ、フィリアは腰の剣を抜きはらう。
と、刀身がボロボロと崩れ落ち、束も同じく崩れて塵となってしまった。
「え? えええ? け、剣が! ギルド長! ぼくの剣が消えた! 消えました! この剣、めちゃくちゃ高かったんですよ! 買い換えたばかりなのに!」
「消えたのではない。お前がさっきからずっと垂れ流している魔力に耐え切れず、劣化したんだ」
「それって、どういう……」
背後でパキン、パキンと、なにかが壊れる音がした。
フィリアとルースの視線が、魔道具を保管している棚に向く。
いくつかの魔道具にヒビが入り、爆発していた。
「ついに魔道具が壊れはじめたか……」
ルースはいまいましげに舌打ちする。
「お前の剣とは比べものにならないくらい貴重で、高額なものばかりだ。一点ものもあるのに、どうしてくれる? 損害はおまえの報酬から差し引くから、そのつもりでな」
「な、……なんで?」
話の筋が全く見えない。
フィリアが呆然としている間にも、またひとつ、魔道具が派手に爆発する。
爆発はするが、戸棚の防壁が健在なので、破片が室内に飛び散ることはない。
だが、棚の耐久度も限界に近づいてきている。
「こっちが聞きたいくらいだ。なんで、なにも気づいていないんだ? よく平気で立っていられるよな?」
「さっきから、なにをおっしゃっているのかよくわからないのですが?」
「……今のお前は、魔力で溢れかえって、ダダ漏れ状態なんだよ。それも、かなりの濃度の量がとどまることなく溢れ出ている。それこそ、災害級の魔物が放つ瘴気のようにな」
「へ…………」
嘘か冗談かと思いたいが、ルースの深刻そうな顔を見ていると、彼が冗談を言っているとは思えなかった。
受付で冒険者たちが怯えていたり、魔術師や、回復術師が倒れてしまったのは、フィリアの駄々洩れ魔力が原因だったようである。
こいつが平気でいられるのは、耐久力、精神力、体力のステータスが爆上がりしたからか? とルースはブツブツと呟く。
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