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フィリア編(2)
まずいことになった
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こうしてフィリアたち『赤い鳥』のパーティーメンバーは、冒険者登録にやってきた三人の子どもとかかわっていくことになったのだ。
フィリアはちびっ子たちの冒険者登録に立ち会ったのだが、ギルがナニにボコられて心を砕かれたり、リオーネが流血事件を起こしたり、登録用紙に不備があったりと……。なかなか印象に残る出会いだった。
冒険者規則では、十歳から冒険者に登録はできる。
だが、リオーネとナニは十歳だろうが、エルトはどうがんばって贔屓目に見ても、十歳には見えない。
生き馬の目を抜くような帝都で、冒険者登録の段階で、流血事件を起こす保護者のいない子どもだけのパーティー……。
このようなとてつもなく危なっかしい『存在』を、フィリアはこのまま見過ごすことはできなかった。
自分が『貧乏くじパーティーのリーダー』と冒険者たちからからかわれているのは承知しているが、やはり、こういう場面に遭遇すると、見て見ぬ振りはできない。
独断にはなってしまったが、子どもたちの立会人になり、これからもかかわっていくきっかけを得ることには成功した。
他のメンバーからも特に反対意見はでなかったし、女性陣はかなり子どもたち(とくにリオーネ)を気に入ったようである。
子どもたちは冒険者カードを発行してもらい、上機嫌で冒険へとでかけた。
ちびっ子冒険者たちの誕生は、とても微笑ましい午前中の出来事だった。
次に会うのは、何日後だろうかと思っていたのだが、意外にも子どもたちとの再会は早かった。
なんと、数時間後という早さだったのだ。
****
その日の夕方前、『赤い鳥』のメンバーたちは、解体された素材を受け取ろうとしていたところ、採集クエストの査定に来た子どもたちとばったり会ったのである。
いや、出会ってしまった。
遭遇したのだ。
その後のことは、色々ありすぎて思い出すと頭が痛くなる。
「な、なんだ――っ! この焦げた耳の量は!」
「うっそ――。これ、全部、ゴブリンの耳ぃっ!」
「ゴブリンって、こんなに大量発生するものなのぉっ」
「これって薬草なのか? 雑草じゃないよな?」
「こ、こんなにたくさんの薬草……どこで……」
「どういうことだ! なにがおこった?」
「ありえない!」
子どもたちの持ち込んだ素材の質と量のハンパなさに、同席していたフィリアたちは大いに慌てた。
査定担当者からは、トンデモナイものを連れて来やがって……という目でフィリアたちが睨まれてしまう。
その場に居合わせた子どもたちを除く全員が、「まずいことになった」という表情になる。
そして、それは最終的にギルド長を巻き込む大騒ぎとなった。
挙句の果てには、当事者たちだけでなく、偶然居合わせてしまったフィリアたちも一緒にギルド長に連行されて、長々と事情聴取されることになり……。
査定受付カウンターに積まれた、こんもりともりあがった薬草の山、ほどよく黒焦げになったゴブリンの耳の山、大小様々な大きさが混在するゴブリンの魔物石の山……目を閉じれば、その光景がくっきりと蘇る。
忘れたくても忘れられない。
それらを見た直後であったから、フィリアたち大人は、子どもたちの荒唐無稽な話を素直に信じることができた。
信じないことには、あれだけの量の耳と草の理由を説明できなかったからだ。
子どもたちが語った薬草採取や、ゴブリン退治は、一般冒険者と比べ、スケールが違いすぎた。
見習い冒険者が最初に対処するグリーンクエストではなく、超級冒険者レベルのクエスト内容だった。
(なにもかもが普通じゃないよな……)
フィリアはちびっ子たちの冒険者登録に立ち会ったのだが、ギルがナニにボコられて心を砕かれたり、リオーネが流血事件を起こしたり、登録用紙に不備があったりと……。なかなか印象に残る出会いだった。
冒険者規則では、十歳から冒険者に登録はできる。
だが、リオーネとナニは十歳だろうが、エルトはどうがんばって贔屓目に見ても、十歳には見えない。
生き馬の目を抜くような帝都で、冒険者登録の段階で、流血事件を起こす保護者のいない子どもだけのパーティー……。
このようなとてつもなく危なっかしい『存在』を、フィリアはこのまま見過ごすことはできなかった。
自分が『貧乏くじパーティーのリーダー』と冒険者たちからからかわれているのは承知しているが、やはり、こういう場面に遭遇すると、見て見ぬ振りはできない。
独断にはなってしまったが、子どもたちの立会人になり、これからもかかわっていくきっかけを得ることには成功した。
他のメンバーからも特に反対意見はでなかったし、女性陣はかなり子どもたち(とくにリオーネ)を気に入ったようである。
子どもたちは冒険者カードを発行してもらい、上機嫌で冒険へとでかけた。
ちびっ子冒険者たちの誕生は、とても微笑ましい午前中の出来事だった。
次に会うのは、何日後だろうかと思っていたのだが、意外にも子どもたちとの再会は早かった。
なんと、数時間後という早さだったのだ。
****
その日の夕方前、『赤い鳥』のメンバーたちは、解体された素材を受け取ろうとしていたところ、採集クエストの査定に来た子どもたちとばったり会ったのである。
いや、出会ってしまった。
遭遇したのだ。
その後のことは、色々ありすぎて思い出すと頭が痛くなる。
「な、なんだ――っ! この焦げた耳の量は!」
「うっそ――。これ、全部、ゴブリンの耳ぃっ!」
「ゴブリンって、こんなに大量発生するものなのぉっ」
「これって薬草なのか? 雑草じゃないよな?」
「こ、こんなにたくさんの薬草……どこで……」
「どういうことだ! なにがおこった?」
「ありえない!」
子どもたちの持ち込んだ素材の質と量のハンパなさに、同席していたフィリアたちは大いに慌てた。
査定担当者からは、トンデモナイものを連れて来やがって……という目でフィリアたちが睨まれてしまう。
その場に居合わせた子どもたちを除く全員が、「まずいことになった」という表情になる。
そして、それは最終的にギルド長を巻き込む大騒ぎとなった。
挙句の果てには、当事者たちだけでなく、偶然居合わせてしまったフィリアたちも一緒にギルド長に連行されて、長々と事情聴取されることになり……。
査定受付カウンターに積まれた、こんもりともりあがった薬草の山、ほどよく黒焦げになったゴブリンの耳の山、大小様々な大きさが混在するゴブリンの魔物石の山……目を閉じれば、その光景がくっきりと蘇る。
忘れたくても忘れられない。
それらを見た直後であったから、フィリアたち大人は、子どもたちの荒唐無稽な話を素直に信じることができた。
信じないことには、あれだけの量の耳と草の理由を説明できなかったからだ。
子どもたちが語った薬草採取や、ゴブリン退治は、一般冒険者と比べ、スケールが違いすぎた。
見習い冒険者が最初に対処するグリーンクエストではなく、超級冒険者レベルのクエスト内容だった。
(なにもかもが普通じゃないよな……)
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