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ちびっ子は冒険者編(3)
で、ここはどこなんだ?
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冒険者登録を無事に終えた子どもたちは、まず、面倒くさい薬草摘みから片付けることにした。
場所の選定は、エルトにお任せ。
エルトが行ってみたいと思う場所に、ふたりは同行するつもりだった。
そして、転移先にエルトが選んだ場所は、美しい泉が湧き出る薬草の群生地だった。
泉の側には、輝きを放つ不思議な大樹が生えており、風がその葉を揺らすたびに、キラキラと光の粒子を散らしている。
「……で、ここはどこなんだ?」
リオーネの質問に、エルトは「知らない」と答えた。「帝都付近で薬草がいっぱい生えていそうなところに転移したの」と説明を加える。
「わからないなら、仕方がないな。嫌な感じはしないし……ま、いいか」
ギルド長がこの場にいたら「もっと気にしろ!」と激怒しただろうが、リオーネはあまり細かいことにはこだわらない。
ナニとエルトに危害が及ばなければ、たいがいのことは無条件で許してしまう。
というか、深くは考えない。
リオーネは周囲に注意を払いながら、光り輝く木の方へと近づいていく。
彼の後をナニとエルトが追うような形で、とことことついていく。
「それにしても、すっごくキレイな木だよな。こんなキレイな木、初めてみた」
「同意」
「リオにぃ、ナニねー。ここ……精霊の気配がいっぱいするよ」
「あー言われてみれば、そんな感じもするよな。空気が違うな」
子どもたちはキョロキョロと珍しそうに周囲を観察する。
「ようこそ。小さな客人たち」
「…………!」
不意に光り輝く大樹から涼やかな声が聞こえ、樹下に人が出現する。
それは人の形をしてはいるが、人ではない気配をまとっていた。
切れ長の目、高い鼻梁、形のよい唇、ひとつひとつが作り物のように完璧で、とても整った美貌の持ち主である。
艷やかな長い髪は白く輝き、ほっそりとした体躯はとても儚げで、男性なのか女性なのかよくわからない。
装飾の類は一切なく、一枚の長い布を、身体にまきつけるようにして、身につけているだけだった。
うっすらと、身体が透けてみえる。
「おおおっ!」
よほど驚いたのか、リオーネが飛び上がって反応する。
ナニとエルトはぽかんと口を開け、大樹の前に現れた、人のようなものを見つめた。
リオーネの派手な反応に、人のようなものは、面白そうな笑い声をたてた。
「今回の客人は、ずいぶん、小さく、賑やかだな……。実に面白い。古からの盟約により、ハーフエルフの子とその兄弟の来訪を歓迎しよう」
「木の精霊?」
ナニの質問に、人のようなものは「そのようなものだ」と頷く。
「失礼いたしました。寛大なこの地の守護者に感謝を」
ナニはフードをとると、両手でローブの裾を軽く持ち上げる。片足を斜め後ろに引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、丁寧にあいさつをする。
「感謝を」
「……感謝を」
エルトは懐からヘアピンをとりだして、長い前髪をかるくまとめた。
そして、リオーネと同じように右足を後ろに引きながら、右手を胸にあて、左手を後ろに回し、ゆっくりと腰を折る。
「うむ。なかなか礼儀正しい子らだな。しかも、いきなり、わたしがいるところまで一気に【転移】した、肝の座った者たちは初めてだ」
「……ありがとうございます?」
嫌味ではないだろうが、褒めてもらっていると受けとってもいいだろうか?
リオーネの疑問形の返答に、大樹の精霊は楽しそうに笑った。
場所の選定は、エルトにお任せ。
エルトが行ってみたいと思う場所に、ふたりは同行するつもりだった。
そして、転移先にエルトが選んだ場所は、美しい泉が湧き出る薬草の群生地だった。
泉の側には、輝きを放つ不思議な大樹が生えており、風がその葉を揺らすたびに、キラキラと光の粒子を散らしている。
「……で、ここはどこなんだ?」
リオーネの質問に、エルトは「知らない」と答えた。「帝都付近で薬草がいっぱい生えていそうなところに転移したの」と説明を加える。
「わからないなら、仕方がないな。嫌な感じはしないし……ま、いいか」
ギルド長がこの場にいたら「もっと気にしろ!」と激怒しただろうが、リオーネはあまり細かいことにはこだわらない。
ナニとエルトに危害が及ばなければ、たいがいのことは無条件で許してしまう。
というか、深くは考えない。
リオーネは周囲に注意を払いながら、光り輝く木の方へと近づいていく。
彼の後をナニとエルトが追うような形で、とことことついていく。
「それにしても、すっごくキレイな木だよな。こんなキレイな木、初めてみた」
「同意」
「リオにぃ、ナニねー。ここ……精霊の気配がいっぱいするよ」
「あー言われてみれば、そんな感じもするよな。空気が違うな」
子どもたちはキョロキョロと珍しそうに周囲を観察する。
「ようこそ。小さな客人たち」
「…………!」
不意に光り輝く大樹から涼やかな声が聞こえ、樹下に人が出現する。
それは人の形をしてはいるが、人ではない気配をまとっていた。
切れ長の目、高い鼻梁、形のよい唇、ひとつひとつが作り物のように完璧で、とても整った美貌の持ち主である。
艷やかな長い髪は白く輝き、ほっそりとした体躯はとても儚げで、男性なのか女性なのかよくわからない。
装飾の類は一切なく、一枚の長い布を、身体にまきつけるようにして、身につけているだけだった。
うっすらと、身体が透けてみえる。
「おおおっ!」
よほど驚いたのか、リオーネが飛び上がって反応する。
ナニとエルトはぽかんと口を開け、大樹の前に現れた、人のようなものを見つめた。
リオーネの派手な反応に、人のようなものは、面白そうな笑い声をたてた。
「今回の客人は、ずいぶん、小さく、賑やかだな……。実に面白い。古からの盟約により、ハーフエルフの子とその兄弟の来訪を歓迎しよう」
「木の精霊?」
ナニの質問に、人のようなものは「そのようなものだ」と頷く。
「失礼いたしました。寛大なこの地の守護者に感謝を」
ナニはフードをとると、両手でローブの裾を軽く持ち上げる。片足を斜め後ろに引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、丁寧にあいさつをする。
「感謝を」
「……感謝を」
エルトは懐からヘアピンをとりだして、長い前髪をかるくまとめた。
そして、リオーネと同じように右足を後ろに引きながら、右手を胸にあて、左手を後ろに回し、ゆっくりと腰を折る。
「うむ。なかなか礼儀正しい子らだな。しかも、いきなり、わたしがいるところまで一気に【転移】した、肝の座った者たちは初めてだ」
「……ありがとうございます?」
嫌味ではないだろうが、褒めてもらっていると受けとってもいいだろうか?
リオーネの疑問形の返答に、大樹の精霊は楽しそうに笑った。
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