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ちびっ子は冒険者編(3)
大変なことになっちゃったなぁ……
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……というのが、ギルド長から聞かされたおおまかな流れだった。
(大変なことになっちゃったなぁ……)
フィリアは膝の上に座っている幼い冒険者を見下ろしながら、ため息をつく。
自身にも影響がでることなのだが、起こっていることが荒唐無稽過ぎて実感がわかない。
ただ、その調整役兼対応役となるルースギルド長には同情してしまう。
ちびっ子たちがゴブリンを求めて転移した砦は……。
王国規模のゴブリンの群れが住み着いていただけではない。
帝都ギルドの精鋭たちが調査した結果、「砦からはゴブリンキングや複数のクイーンの気配あり」という有り難くない報告が加わったらしい。
相手がゴブリンであろうとも、王国レベルの群れとなると、軍隊のような秩序ができあがり、ひとつのパーティでは対処できなくなる。
ご丁寧にも「スタンピードが起こってもおかしくないくらいに、群れの規模は膨れ上がっている」……と調査員は報告したらしい。
だから合同討伐案件になったのだ。
そういうことに関しては、ギルド長は抜かりない。いや、遠慮というものがない。
ギルド長は周囲がドン引きするくらいの、過剰ともいえる戦力を用意する。
そして、逃げ道を完全に塞ぎ、容赦なく徹底的に壊滅させる戦法を選択するのだ。
ルースギルド長が恐れられているのは、なにも個人の実力だけでなく、そういう苛烈な徹底殲滅作戦を好むところ。好戦的な性格であることも大きい。
今回の討伐においても、ギルド長は自ら複数のパーティを選抜し、合同討伐の依頼をかけていた。
パーティ間の顔合わせも終了し、それぞれの役割と連携も確認した。
準備も整い、討伐隊は明日に出発する予定だった。
(あの面子で、この規模の内容なら、楽勝だと思ったんだけどなぁ……)
ギルド長の作戦は完璧だった。
合同討伐に選ばれた面々を思い出す。
やっぱり今回も過剰といえるくらいの豪華なメンバーで、実力者揃いだった。
選抜メンバーのリストに目を通した時、「なにもそこまでしなくても……」と今回も思ったのは、フィリアだけではないだろう。
フィリアは心の中でこっそり、討伐されるゴブリンに同情したくらいである。
集められたほとんどのリーダーたちが、哀れみを帯びた微妙な表情を浮かべていた。
精鋭揃いの選抜メンバーの中には、気難しい性格で有名な冒険者もいたので、スケジュール調整という名のご機嫌取りも大変だっただろうな、とフィリアは思った。
ギルド長の作戦は完璧だった。
失敗するはずがなかった。
なのに、ちびっ子たちが乱入したことにより、危険をともなう合同討伐があっけなく終了することもあるんだ、と、フィリアは逆に驚いてしまった。
端的に言ってしまうと、子どもたちに『横から依頼を掠め取られた』ということになるのだが、『掠め取った』当人たちに悪意がないのはわかっている。
そもそも、名指し案件だったので、この依頼は一般には公開されていない。
見習い冒険者が知ることなどできない案件だ。
子どもたちは運悪く、たまたま名指し案件に遭遇してしまっただけである。
……まあ、普通ならば、倒そうということは考えずに撤退し、最寄りの冒険者ギルドに報告する。
もしくは、ゴブリンたちに殺られて、帰らぬ人となる……。それが普通の流れだ。
今回は、その普通の流れから、大きく逸脱してしまっただけだ。
そう、たった、それだけなのことなのだ。
(大変なことになっちゃったなぁ……)
フィリアは膝の上に座っている幼い冒険者を見下ろしながら、ため息をつく。
自身にも影響がでることなのだが、起こっていることが荒唐無稽過ぎて実感がわかない。
ただ、その調整役兼対応役となるルースギルド長には同情してしまう。
ちびっ子たちがゴブリンを求めて転移した砦は……。
王国規模のゴブリンの群れが住み着いていただけではない。
帝都ギルドの精鋭たちが調査した結果、「砦からはゴブリンキングや複数のクイーンの気配あり」という有り難くない報告が加わったらしい。
相手がゴブリンであろうとも、王国レベルの群れとなると、軍隊のような秩序ができあがり、ひとつのパーティでは対処できなくなる。
ご丁寧にも「スタンピードが起こってもおかしくないくらいに、群れの規模は膨れ上がっている」……と調査員は報告したらしい。
だから合同討伐案件になったのだ。
そういうことに関しては、ギルド長は抜かりない。いや、遠慮というものがない。
ギルド長は周囲がドン引きするくらいの、過剰ともいえる戦力を用意する。
そして、逃げ道を完全に塞ぎ、容赦なく徹底的に壊滅させる戦法を選択するのだ。
ルースギルド長が恐れられているのは、なにも個人の実力だけでなく、そういう苛烈な徹底殲滅作戦を好むところ。好戦的な性格であることも大きい。
今回の討伐においても、ギルド長は自ら複数のパーティを選抜し、合同討伐の依頼をかけていた。
パーティ間の顔合わせも終了し、それぞれの役割と連携も確認した。
準備も整い、討伐隊は明日に出発する予定だった。
(あの面子で、この規模の内容なら、楽勝だと思ったんだけどなぁ……)
ギルド長の作戦は完璧だった。
合同討伐に選ばれた面々を思い出す。
やっぱり今回も過剰といえるくらいの豪華なメンバーで、実力者揃いだった。
選抜メンバーのリストに目を通した時、「なにもそこまでしなくても……」と今回も思ったのは、フィリアだけではないだろう。
フィリアは心の中でこっそり、討伐されるゴブリンに同情したくらいである。
集められたほとんどのリーダーたちが、哀れみを帯びた微妙な表情を浮かべていた。
精鋭揃いの選抜メンバーの中には、気難しい性格で有名な冒険者もいたので、スケジュール調整という名のご機嫌取りも大変だっただろうな、とフィリアは思った。
ギルド長の作戦は完璧だった。
失敗するはずがなかった。
なのに、ちびっ子たちが乱入したことにより、危険をともなう合同討伐があっけなく終了することもあるんだ、と、フィリアは逆に驚いてしまった。
端的に言ってしまうと、子どもたちに『横から依頼を掠め取られた』ということになるのだが、『掠め取った』当人たちに悪意がないのはわかっている。
そもそも、名指し案件だったので、この依頼は一般には公開されていない。
見習い冒険者が知ることなどできない案件だ。
子どもたちは運悪く、たまたま名指し案件に遭遇してしまっただけである。
……まあ、普通ならば、倒そうということは考えずに撤退し、最寄りの冒険者ギルドに報告する。
もしくは、ゴブリンたちに殺られて、帰らぬ人となる……。それが普通の流れだ。
今回は、その普通の流れから、大きく逸脱してしまっただけだ。
そう、たった、それだけなのことなのだ。
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