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冒険者ギルド編(1)
もっと近くでアレをよく視て下さいよ
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これは、「ちょっと、間違えちゃったよ。テヘ」とかいって、誤魔化せる物量ではない。
逆に、こういった状況で報告しなければ、人材を隠蔽しようとしていると、各国もろもろの機関に判断され、よからぬ干渉を受けてしまう。
情報を共有することによって、互いの不信感をなくす……という、ギルド創始者の考えが、この場合はやっかいな枷となってくる。
ここでモタモタしていればしているほど、あちこちから不審がられて、注目を浴びてしまい、ルースは不利な状況へと追い込まれていくだろう。
なにか反応を示さないと、問い合わせの嵐となるのは目に見えている。
(なんてコトをしてくれたんだ……)
必死に平常心を保とうとするが、ルースの心中は怒りで煮えたぎっていた。
その場にしゃがみこみたくなったのは……貧血のせいではないだろう。
これでは……偽造冒険者カードを作った意味がない。
むしろ、逆効果だ。
偽造冒険者カードを三人分も作っただけでも過敏に反応するやつらもいるというのに、即日で初級冒険者になり、それがまだ十歳の子どもとなると、誰もが注目する。
提供する話題が豊富すぎて思わず泣けてきた。
間違いなく、各国のギルドから「こいつら何者?」とちびっ子たちは、目をつけられるだろう。自分から注目してください、と大声で宣言しているようなものだった。
(こいつら、目立つな……という言葉の意味をちゃんと理解しているのか?)
ドヤ顔で待機しているちびっ子たちを、ルースは鋭い視線で睨みつける。
注目されるだけならまだよいのだが、この年齢だと、将来有望ということで、青田買いを狙うあちこちの組織から『ちょっかい』をだされるのは明白だった。
下手に冒険者経験を積んで、小賢しくなるよりも、まだ世間なれしていない段階で抱きかかえる方が、好みの色に調教するのにも便利だからだ。
フィリアとギルの『三日で初級冒険者にランクアップ』のときも対応が大変だったらしいが、今回のコレはあまりにも、常識から逸脱していた。
活動拠点の変更提案や、各国からの宮仕えのお誘いが殺到する未来がありありと見えた。
そして、その圧力に、防波堤として対応している自分のあわれな姿も……。
たしか、十二歳のフィリアとギルの場合は、前任のギルド長がついに面倒をみきれなくなって、帝都を離れる長期依頼案件をふたりに押しつけたと聞いている。
三日でそれなら、初日でさらに年齢の低い子どもたちの場合、どうなってしまうのだろうか……。
想定外の仕事が増えたことにうんざりしているルースに、査定責任者はさらなるトドメの一言を告げる。
「ギルド長、頭抱えてないで、もっと近くでアレをよく視て下さいよ」
顎でテーブルの上にあるモノをしめされる。
ルースは言われるがままにテーブルに近づき、薬草を数本手にとって眺めた。
例え『元』がついていても、ルースは伝説級冒険者にまで上り詰めた男である。
わざわざ生命を削って【鑑定】魔法を発動させなくとも、帝都近辺に生育している薬草知識ならある。
薬草は根っこから丁寧に採取され、葉の傷みもなく、とても綺麗な状態だった。
子どもの作業とは思えないくらいの、クオリティの高さだ。
さらに【空間収納】のレベルが高いのか、鮮度も『たった今、採取したばかりの採れたてピチピチですよ』と言葉を添えたくなるくらい、珍しく生き生きとした瑞々しい薬草である。
(これはとてもいい値段がつきそうだ。……ということは、査定評価が大きくプラスされる?)
他の薬草も見てみるが、品質がとてもよく、また、薬草の種類も豊富である。
(品質がよい……? 種類も豊富……?)
ルースの中でなにかが引っかかった。
手にとった薬草は薬草なのだが、なにかがおかしい。
違和感がある。
【鑑定】魔法を発動させればそれもわかるだろうが、今はまだ使うときではない……というか、今日はもう魔法は勘弁して欲しい。
逆に、こういった状況で報告しなければ、人材を隠蔽しようとしていると、各国もろもろの機関に判断され、よからぬ干渉を受けてしまう。
情報を共有することによって、互いの不信感をなくす……という、ギルド創始者の考えが、この場合はやっかいな枷となってくる。
ここでモタモタしていればしているほど、あちこちから不審がられて、注目を浴びてしまい、ルースは不利な状況へと追い込まれていくだろう。
なにか反応を示さないと、問い合わせの嵐となるのは目に見えている。
(なんてコトをしてくれたんだ……)
必死に平常心を保とうとするが、ルースの心中は怒りで煮えたぎっていた。
その場にしゃがみこみたくなったのは……貧血のせいではないだろう。
これでは……偽造冒険者カードを作った意味がない。
むしろ、逆効果だ。
偽造冒険者カードを三人分も作っただけでも過敏に反応するやつらもいるというのに、即日で初級冒険者になり、それがまだ十歳の子どもとなると、誰もが注目する。
提供する話題が豊富すぎて思わず泣けてきた。
間違いなく、各国のギルドから「こいつら何者?」とちびっ子たちは、目をつけられるだろう。自分から注目してください、と大声で宣言しているようなものだった。
(こいつら、目立つな……という言葉の意味をちゃんと理解しているのか?)
ドヤ顔で待機しているちびっ子たちを、ルースは鋭い視線で睨みつける。
注目されるだけならまだよいのだが、この年齢だと、将来有望ということで、青田買いを狙うあちこちの組織から『ちょっかい』をだされるのは明白だった。
下手に冒険者経験を積んで、小賢しくなるよりも、まだ世間なれしていない段階で抱きかかえる方が、好みの色に調教するのにも便利だからだ。
フィリアとギルの『三日で初級冒険者にランクアップ』のときも対応が大変だったらしいが、今回のコレはあまりにも、常識から逸脱していた。
活動拠点の変更提案や、各国からの宮仕えのお誘いが殺到する未来がありありと見えた。
そして、その圧力に、防波堤として対応している自分のあわれな姿も……。
たしか、十二歳のフィリアとギルの場合は、前任のギルド長がついに面倒をみきれなくなって、帝都を離れる長期依頼案件をふたりに押しつけたと聞いている。
三日でそれなら、初日でさらに年齢の低い子どもたちの場合、どうなってしまうのだろうか……。
想定外の仕事が増えたことにうんざりしているルースに、査定責任者はさらなるトドメの一言を告げる。
「ギルド長、頭抱えてないで、もっと近くでアレをよく視て下さいよ」
顎でテーブルの上にあるモノをしめされる。
ルースは言われるがままにテーブルに近づき、薬草を数本手にとって眺めた。
例え『元』がついていても、ルースは伝説級冒険者にまで上り詰めた男である。
わざわざ生命を削って【鑑定】魔法を発動させなくとも、帝都近辺に生育している薬草知識ならある。
薬草は根っこから丁寧に採取され、葉の傷みもなく、とても綺麗な状態だった。
子どもの作業とは思えないくらいの、クオリティの高さだ。
さらに【空間収納】のレベルが高いのか、鮮度も『たった今、採取したばかりの採れたてピチピチですよ』と言葉を添えたくなるくらい、珍しく生き生きとした瑞々しい薬草である。
(これはとてもいい値段がつきそうだ。……ということは、査定評価が大きくプラスされる?)
他の薬草も見てみるが、品質がとてもよく、また、薬草の種類も豊富である。
(品質がよい……? 種類も豊富……?)
ルースの中でなにかが引っかかった。
手にとった薬草は薬草なのだが、なにかがおかしい。
違和感がある。
【鑑定】魔法を発動させればそれもわかるだろうが、今はまだ使うときではない……というか、今日はもう魔法は勘弁して欲しい。
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