白の甘美な恩返し 〜妖花は偏に、お憑かれ少女を護りたい。〜

魚澄 住

文字の大きさ
上 下
50 / 50
第11章 白の誓いは芳しい

49話

しおりを挟む

 厘の意識を取り戻そうと、奮闘していたあのとき。
 記憶が飛ぶほど懸命に、向日葵を注ぎ込んでいた。朦朧とした意識のなか、ようやく鈍色の瞳が覗いたときには、安堵した。呼吸を忘れていたことさえも忘れていて、だから吐いた瞬間、思わず零れてしまった。

「うぅ……」

 岬は後頭部を抱えながら、机に額をすり寄せる。新学期を迎え、新しい教室にも穏やかな風が吹き込むなか、早々塞ぎ込んでしまっていた。想いの籠った「好き」はきっと、遊園地の時のようには誤魔化せない。———それに、

「あんなキスまで……」

 思い返す。向日葵の精気を確実に注ぎ込むため、押し込んだ。あのとき触れた、薄い舌の感触。

「キスがどうしたの?」

「……へ?」

 不意を突いた声掛けに、腑抜けた返事で顔を上げる。正面で首を傾げているクラスメートを見つめ、岬は目を丸くする。高校に入って久しく、生徒から声をかけられた。

「花籠さん?」

「あっ……えぇっと、何でもない、です」

 しどろもどろ。それでも、精一杯の誠意。
 前のクラスでも、その前のクラスでも。新学期となれば後ろ指を差され、『あれが例の花籠岬だ』と気味悪がられることが常だったからだ。
 岬は緊張の糸を張ったまま、彼女から視線を逸らす。そしてもう一度、下からこっそり垣間見る。

「ふぅん、そっか」

 気味悪がる素振りもなく、まっすぐこちらを見据える瞳に、思わず期待を寄せたくもなる。しかし、よりにもよってこんな独り言を聞かれるなんて……。岬は自分の言動を悔んだ。

「あ。それよりさ、あっちで伊藤くんが呼んでるんだけど」

「伊藤……くん?」

 誰のことだろう。
 首を傾げながら、彼女の指が差す先を見据える。直後、お礼を言い終えて、扉の前に立つの元へ駆け寄った。
 苗字で呼んだことがないので、すっかり抜けてしまっていたけれど、学内で彼は “伊藤庵” で通っていたっけ。

「どうしたの?庵。珍しいね」

 隣のクラスになった、と聞いてはいたけれど、登校初日に顔を出してくれるとは思いもよらず。岬は自然と笑みを溢した。

「へぇ……前とは少し空気が違うな」

 庵は腕を組みながら俯瞰するように、一通り教室内を見渡す。

「え……前?」

「来い、岬。朝のホームルームとやらまで、まだ時間はあるのだろう」

 言いながら、彼は少し強引に手を引く。廊下を行くと、周りのざわめきが耳に入る。新入生の目は一層好奇心を含み、彼の金髪を眺めていた。

「あ、庵……?」

 顔を熱しながら、岬は顔を俯かせる。
 庵?庵、だよね……?
 逞しい背中も、朝日を反射する金色の髪も、間違いなく彼のもので合っているはずなのに。どうして違和感を覚えてしまうのだろう。……たぶん、なにかが違う。

 連れられたのは、人通りの少ない廊下に並んだ進路資料室。まるで最初から行き先は決まっていたかのような素振りで、庵はなんの躊躇いもなく扉を開いた。
 まさか、進路の相談とか———?

「どうしたの?庵」

 赤の背表紙が陳列する棚。図書室とは違い、ほとんど出入りがなく埃っぽい室内。岬は扉を閉めた庵を見据え、首を傾げた。

「答えてほしいか?」

 進路の相談という推測は、どうやらお門違いらしい。岬は振り向いたその妖艶な笑みに、思わず一歩後ずさる。なぜか背筋がゾクリと呻いた。

「う、うん……」

 頷きながら、背に当たる本の感触。気付けば後ろは行き止まり。
 ……やっぱり、なにかがおかしい。庵が庵でないような———。思い伏せながら、一文字に口を結ぶ。直後、穏やかながらも冷えた風が、窓の隙間から吹き込む。金色の髪が綺麗に靡いて、その束に目を奪われる。
 変化が及んだのはほんの一瞬だった。
 毛先に向かって色が抜けていく。ムラのない金髪から、糸のような白髪へ変わっていく。

「え……」

 ふわり。取り入れ慣れた香りが鼻腔を刺激する。目の前に立っていたのは庵だった、はずなのに。

「あいつにしては、空気の読めたタイミングだな」

 窓の外を見やると同時、彼は満足げな笑みを浮かべる。見慣れた表情で、見慣れない制服を纏った姿。そこに居たのは、厘だった。

「ど、どうして……」

 白髪が扇のように靡く。
 一瞬にして消え去った庵の残像。もとより、庵はここにはいなかったのかもしれない。これまでの言動すべてが厘のものだとしたら、覚えていた違和感ともすべて辻褄が合う。

「どうした、と俺に問うていたな」

「へ……」

「今、ここで答えよう」

 だからほら。逃げるなよ———?
 澄んだ鈍色の瞳は、暗にそう紡いでいるような気がしてならない。堪らず目を逸らそうとするが、しかし、それは叶わなかった。

「……っ?!」

「俺を見ろ。岬」

 厘の細長い指が、器用に顎を捉える。鋭い爪先を肌に及ばせない仕草も、間違いなく厘の配慮だ。今度こそ紛い物ではないと、岬は確信した。
 あれから、ずっと避けてきた。厘の反応が怖くて、ずっと逃げてきた。だから、近くで彼の視線と交わるのは久しく、落ち着かない。それに———。
 岬はネクタイの結び目に視線を落とす。まるでその風貌は、同じ学校で時を共にする同級生。あやかしと人、という隔たりを忘れていまいそうになる。

「……ずるい」

 心の内で呟いたはずの言葉は、無意識にも零れ落ちた。
 何がずるいって? と言いたげな厘は、やけに愉しそうにこちらを見下ろしながら、距離を詰める。そして本棚に押し当てた片腕で、退路を完全にった。逃げ果せることは不可能だ。

「ああ。確かに。庵の妖術を使ったのは、少々狡猾だったかもな」

「庵の術……?」

「周りの人間に庵である、と思わせていた。お前にも、抜かりなくな」

 そっか、だから……。「ずるい」の意味は違うけれど、ようやく腑に落ちた。庵は初めから居らず、初めから厘であったということだ。

「適当に術を解いてくれ、と頼んでいた。二人きりになる瞬間を待ってからな」

「でも、どうして、」

「ああ。だからそれを、今から答えると言っている」

 不機嫌で、かつ高揚を含んだ声色。矛盾したその様子。何がそうさせているのか、未だ解らない。しかし後に続いた言葉は、簡単に紐を解いた。

「俺に惚れているのかと、訊きに来た」

「惚、れ……っ」

 体が、みるみるうちに熱を持つ。首から頬に掛けて真っ赤に染めあがる自分の様が、鏡なしにも分かってしまった。

「それとも、訊くまでもないか?」

 嬉しそうに笑みを零す厘。反応が素直すぎるのも、玉に瑕だ。

「な、ななっ……なんでそんな、」

 慌てふためき泳ぐ瞳を、真っすぐ捉える鈍色。髪を優しく掻き分ける骨ばった手。顎を竦めると、彼の瞳がゆったり細まる。
 唇に、彼の唇が及ぶまでは、まるでスローモーションだった。精気を注ぐ、という目的を失ったキスは、触れるだけの優しいキス。しかし瞼を持ち上げると、半分開いた彼の瞳は、今まで以上に熱を持っていた。

「これで分かるだろう」

 しかし、当然のように言われても、思い当たる節がない。岬は呆けたまま、「やれやれ」と息を吐く厘を見上げた。未だ、思考回路はふやけたままだ。

「ジレンマだと思った」

「……?」

「お前のが閉じ、平和な日常にも文句はない。……が。キスを交わす口実も悉く、消え失せてしまったからな」

 言いながら、ばつが悪そうに視線を逸らす厘。同時に、意味を理解した岬はさらに頬を紅潮させた。つまり———、と脈が荒いだ。

「厘は……私のこと、好き……ですか」

 期待を込めて、横目を配った彼を見上げる。

「……何を言う」

「え……あ、ごめ、」

 どうしよう、違った。ごめんなさい。
 綴ろうとした言葉は、彼の腕の中で易々呑まれる。普段より少し高い体温のなか、岬は身体を強く締め付けられる。首筋に及んだ彼の吐息が熱く、おかげで血管が破裂しそうだ。

「いつまで我慢したと思っている」

「え……?」

「今日、お前が帰ってくるまでも待てないほどに……もう、限界だ」

 ——— “愛している。この世に生ける、何よりも”

 告げられた刹那、生温かい雫は頬を伝い、彼のシャツに痕を残す。そんな些細な交わりにさえ、心臓は高鳴りを覚えた。

「私も大好き……大好きです、厘」

 厘よりもずるいのは、私の方だ。
 岬は背に手を回しながら顧みる。少しは強くなることが出来たと思っていたけれど、恋愛においては初心の同然。一緒に居られるだけでいい、と唱え続けていた建前は、この場で崩れ去った。

 今もきっと、母がどこかで見守ってくれているのだろうか。
 初めて出来た、母ではない居場所。心から愛を誓える、大切な人。もう、生きる意味がないなんて思わない。きっと、厘が傍にいるのなら。

「ところで岬。あのとき、どうやって俺に精気を及ぼしたんだ?」

 うっ、と条件反射に肩が跳ね、恐る恐る彼を見上げる。しかし疑問はあってないようなもの。悪戯を仕掛けた厘の唇は、やんわりと弧を描いた。

「わ、分かってるくせに……厘のばか」

「へぇ……お前に罵られるのなら、悪くない」

「ひゃっ……!?」

 喉を鳴らした彼に、岬は耳を甘噛みされる。同時に後ろ首へと回された手は、蒸気した体の熱を吸った。あまりにも、刺激が強い。

「悪いが、これから容赦はしないぞ」

「う、」

 どうやら、放たれる以上に彼の辛抱は底を尽きていたらしい。悟ったのは、もう一度唇を重ねられた直後。摂り込むのは、精気でも香りでもない。ただ愛を確かめ合うだけの、甘美な口づけ。

「俺と共に、生きてくれ」

「はい」

 たとえ、呪いが体を蝕もうとも。いつか、絶望に苛まれても。やがて、障害が現れようとも———今度は私が、手を引いてみせるから。

 だって、生きていきたい。そうきっと、あなたとなら。


           <完>
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜

瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。 大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。 そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。 第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~

ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。 「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。 世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった! 次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で 幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──! 「この世に、幽霊事件なんてありえません」 幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!

【完結】キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?

なか
恋愛
「キズモノのお前とは婚約破棄する」 顔にできた顔の傷も治らぬうちに第二王子のアルベルト様にそう宣告される 大きな傷跡は残るだろう キズモノのとなった私はもう要らないようだ そして彼が持ち出した条件は婚約破棄しても身体を寄越せと下卑た笑いで告げるのだ そんな彼を殴りつけたのはとある人物だった このキズの謎を知ったとき アルベルト王子は永遠に後悔する事となる 永遠の後悔と 永遠の愛が生まれた日の物語

神の居る島〜逃げた女子大生は見えないものを信じない〜

(旧32)光延ミトジ
キャラ文芸
月島一風(つきしまいちか)、ニ十歳、女子大生。 一か月ほど前から彼女のバイト先である喫茶店に、目を惹く男が足を運んでくるようになった。四十代半ばほどだと思われる彼は、大人の男性が読むファッション雑誌の“イケオジ”特集から抜け出してきたような風貌だ。そんな彼を意識しつつあった、ある日……。 「一風ちゃん、運命って信じる?」 彼はそう言って急激に距離をつめてきた。 男の名前は神々廻慈郎(ししばじろう)。彼は何故か、一風が捨てたはずの過去を知っていた。 「君は神の居る島で生まれ育ったんだろう?」 彼女の故郷、環音螺島(かんねらじま)、別名――神の居る島。 島民は、神を崇めている。怪異を恐れている。呪いを信じている。あやかしと共に在ると謳っている。島に住む人間は、目に見えない、フィクションのような世界に生きていた。 なんて不気味なのだろう。そんな島に生まれ、十五年も生きていたことが、一風はおぞましくて仕方がない。馬鹿げた祭事も、小学校で覚えさせられた祝詞も、環音螺島で身についた全てのものが、気持ち悪かった。 だから彼女は、過去を捨てて島を出た。そんな一風に、『探偵』を名乗った神々廻がある取引を持ち掛ける。 「閉鎖的な島に足を踏み入れるには、中の人間に招き入れてもらうのが一番なんだよ。僕をつれて行ってくれない? 渋くて格好いい、年上の婚約者として」 断ろうとした一風だが、続いた言葉に固まる。 「一緒に行ってくれるなら、君のお父さんの死の真相、教えてあげるよ」 ――二十歳の夏、月島一風は神の居る島に戻ることにした。 (第6回キャラ文芸大賞で奨励賞をいただきました。応援してくださった方、ありがとうございました!)

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

処理中です...