不憫なΩが溺愛されるまで！オメガバースです

第一章 出会い

帝先生のこと嫌いです

「な、何であなたがいるんですか！」
「あなた、じゃないから。帝先生な」
「帝先生」
「はい、何ですか。雫」
「司さんがいなくなって僕は1人優雅に夜ご飯を食べる予定だったんです！だから出て行ってください」
「リオが来たらどうするんだ？」
「来ないでしょ」
「来たら？」
「来たら…追い返します」
「追い返せないだろうから俺がいるんだろ？」
「そ、それは…」
色々と言いたいことがあったが時間稼ぎをすることにした。考える時間稼ぎだ。
「ええーっと、帝先生は仕事とかないんですか？」
「仕事？」
冷たい瞳で見られて僕は少しずつ震えだした。自分では気づいていなかった。
「仕事かー。俺は英語の先生だからな。放課後は自習している奴らに英語を教えている」
「そうなんですねー。んー、僕も苦手だから今度教えてもらおうかなー、なんて」
冗談のつもりだったが
「それはいい案だな。お前も参加しろ。ほら、行くぞ」
扉を開けて手首を引っ張られる。まるで青春のように。
「おい、お前ら。こいつも英語苦手みたいだから一緒にこれから勉強する。いいな？」
「はい！」
「よろしくなー」
「よろしくお願いしますね」
「よろしく」
そこで唯一よかったことは
「私由紀って言います。よろしくお願いいたします」
とっても可愛い女の人が話しかけてくれたのだ！長髪で黒髪、整っている容姿、前髪を少し星のクリップで止めている。可愛すぎか！？それに何だかめっちゃ礼儀正しい…僕にも優しくしてくれそうだし…好きに…なっちゃいそうだな…。
「おい、おい！雫！話を聞け！」
「あ、す、すみません…」
「ははっ」
少し笑う由紀さん。可愛い…。
「由紀が可愛いからって狙ったりするなよ」
ぼそぼそぼそっと耳元で囁かれた。
「な、何言ってるんですか！するわけないでしょ！？」
「何のお話をされているんですか？」
「な、何でもないです！由紀さんも英語苦手なんですか？」
「いえ、私は得意な方ですね」
「え、じゃあ何で」
「帝先生に会いに来てるんです」
耳元で囁かれた。
「2人だけの秘密ですよ」
は？あの変態教師が好き？
「えっと、恋愛的な意味でですｋ…」
「おい、お前ら、集中しろ」
「あ、すみません、じゃ、またあとでね」
「あ、はい」
あの変態のキスしてきた教師が好き！？僕はもう頭がこんがらがって英語の勉強に集中することができなかった。
「キーンコーンカーンコーン」
「終わりだー」
「さ、皆片づけしろ。で、お前はちょっと来い」
その様子を由紀は見逃すことなく見つめていた。