不憫なΩが溺愛されるまで!オメガバースです

雫@更新予定なし

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第一章 出会い

帝先生…

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「おい、お前ら何の用だよ!」
「何の用だ、って、お礼をしに行くと言っただろう?なぁ、さや」
「ええ、リオ様」
リオ?
「俺様を知らないお前に俺のことをわかってもらおうと思ってな」
「わかってもらう?」
「ああ。体でな」
「は?ちょっと待て!僕は…僕はαだ!」
「何を意味の分からないことを言っているんですの?匂っていることがわからないのかしら」
「匂う?」
僕にはわからなかった。抑制剤を飲んでいるはずだから発情しているはずはないんだけどな…。
「僕はαで抑制剤を飲んでいるから匂いがあるわけがない」
当然のように言うと
「はぁ?でも確かに匂ってるよな…?」
「ええ…」
困った顔をする二人。
「じゃあ、じゃあαだって言うなら証拠を見せろ!」
「そうですわ!αが匂いを出してそれに反応しなかったらαだと認めてあげますわ!」
だからさっきから匂い匂いって何なんだ?僕は幼いころから虐待を受けていた。そして勉強はできるがオメガバースについては全く知識がない。
「わかった」
「じゃあ、行くぞ!」
何だろう、甘いにおいがする気がする。くらっと倒れこみそうになったところを
「おい、お前ら!」
「何でですの?私達の邪魔をするなん、て…」
「何だよ、さや。固まって…」
「帝先生…」
「お前ら何してる!」
「何って…別に、なぁ?」
「少し遊んでいただけなんです」
こいつら帝先生が怖いのか。確かにこの先生瞳が暗いからな。
「なぁ、雫?」
合わせろ、という目をされて僕は面倒になり
「ええ、そうです」
「本当なのか?」
「はい」
「ええ、本当ですわ」
「ああ」
3人が目線で合図をした。
「あー、やばいー、入学式に遅れちゃうー」
1つ芝居をうつリオ。
「私も行かなくてわー」
続いてさやも芝居をうつ。最後に
「ああ、行かなくてわー」
僕が芝居をうつと
「お前ら二人はさっさと行け。ただしお前は残れ」
まるで居残りのように言われ少しムッとする僕。
「あのー、僕ちょっとお手洗いに」
「チョーカーは」
「え?」
2人がいなくなるといきなりそんな話をされた。
「チョーカーはと聞いているんだ。お前知らないやつに噛まれても平気だとでも思ってるのか?」
僕のことを心配しているかのような帝先生。それが嫌で
「あんたには関係ないだろ?」
「はぁ?」
踏んでいけないところを踏んでしまった気がしたのは気のせいだろうか?
「じゃあ俺が今発情してお前の首元を噛んでもそれを喜んで受け入れるってことか?あ?ちゃんと考えてから話せ」
「あんたには関係ない」
「まだわかんないのか?なら俺がお前を犯してやろうか?その可愛げのない感じじゃ誰も番になんてなってくれないぞ」
「だーかーらー!オメガじゃないってば!僕は!子供を作る機械になんてならない!」
「誰がそんな酷いことを言ったんだ…?」
「そ、それは…」
「ちょっと来い」
「え?」
手首をつかまれて無理やり保健室へと連れていかれた。
「ちょ、ちょっと!入学式が始まってる!」
「俺は先生だぞ。少しは敬意をもって敬語を使え」
「わかりました!入学式に行かせてください!」
「その下半身でか?」
「え?」
気が付かれていたか…。
「たってるだろ?」
「これは…」
「何をされた」
「?」
「リオに何をされたんだと聞いている」
「そ、それは…」
まさか発情するホルモンを出された何ていったらオメガだと認めるようなものだ。何故オメガだと言いたくないか、それは過去に関わってくる。昔オメガだと周りにばれた時の周りの目が怖かったからだ。
「何をされた」
「別に…」
「そうか、お前はすきがありすぎる」
「え?んん゛!」
キス、キス?キス!キスをされた…。
「な、何してんじゃこの馬鹿教師!」
「ただのキスだろ?キスされたのか?」
「ええっと…まぁ、キスぐらいは…」
もちろん嘘だ。ただいい言い訳が思いつかなかったのだ。
「そうか…」
「え、ああ、はい…」
気まずくなっていると
「じゃあもう一回キスしてもいいな?」
と言われまたキスをされた。
「おいおいおい!キスすんじゃねえって言ってんだよ!こんの、馬鹿教師がー!」
気が付いたらビンタしていた。そして急いでトイレに行き、抜いた。
「キーンコーンカーンコーン」
「鳴っちゃったよ…」
「どうかしましたか?」
綺麗な美人さん…あれ、さっきの人だ!さっき会った人にそっくりだ!
「あ、ちょっと色々あって入学式に出れなくて…」
「ああ、そうだったんですね。ああ、自己紹介をしていませんでしたね。私の名前は…」
「あ、お姉さん。僕から自己紹介を!多分僕のが若いと思うので」
「え?あら、私は男よ?」
ふふっと笑うお姉さん、いやお兄さん。
「おい、雫!」
「あ、兄さん」
「兄さん!?」
「間に合ったみたいでよかった」
「兄さんって…!?」
僕の頭は混乱していた。兄さん?男?そしてこの人はきっとαだ。そしてこのお兄さんこと、帝先生もきっとαだ。
「ああ、自己紹介をしていなかったな。俺は帝だ。でこいつは生徒会長の成だ」
「よろしくね、雫ちゃん」
「よろしくな、乱暴な雫」
「乱暴じゃないです!」
「聞いてくれよ成。さっきビンタさr…」
「やめてー!」
「え?今何言いかけたの?兄さん」
「何でもないです、何でもないです!」
そんなこんなで僕の入学式は終わりを迎えた。次話は遼生活の話です。多分。
お気に入りありがとうございます!お礼に小話をいつか書きたいと思っています!よろしくお願いします!
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