不憫なΩが溺愛されるまで！オメガバースです

第一章 出会い

僕は幸せになれない

「よーし！今日から学校だ！」
僕は名門のお坊ちゃま、お嬢様が通う学校に通うことになっている。何故貧乏な僕がその学園に入れるかというと、成績が優秀だからだ。あの両親のもとに育ったせいで勉強だけが取り柄だ。僕はお嬢様と結婚して番になる夢を見て学園へと向かった。しかし考えが甘かった。
「なぁ、お前オメガだろ」
ざわつく周り。
「えっと、どちら様ですか？」
「俺様を知らないのか？」
「え？」
「嫌ですわね。ご冗談でしょう？このお方を知らないなんて」
「ええッと、本当に分からなくて…」
「おちょくってんのかてめえ！」
手を振りかざし、殴られる！そう思った、その時だった。
「やめろ、リオ」
「は？誰だよ、ってお前か」
「そんな雑魚にかまってる暇あったら追試の勉強でもするんだな」
「ちっ、わかったよ。今回だけは見逃してやる！帝先生に感謝するんだな」
帝って言うんだ。王様みたい…。かっこいい…でもその冷たいひとみ。あの人たちと一緒だ。
「あ、ありがとうございました。僕はこれで…」
「あ、おい！」
呼びかけられた気がしたけれど僕は逃げ出していた。あんな冷たい瞳を持つ人とこれ以上話していたらパニックに陥ってしまいそうだったからだ。
「入学式、入学式の会場はどこだ？」
「君、迷っているの？」
「え？」
び、美人さんだ…。こういう人と付き合いたいな…。ボーっと眺めていると
「どうかした？」
少ししゃがんで目線を合わせてくれた。
「あ、あの、入学式、行きたくて…」
「ああ、入学式ね。ここの道をまっすぐ行くと体育館があるから、そこから入れば大丈夫だよ。まだ間に合う」
「ありがとうございます！」
僕はお礼を言ってすぐに向かった。
「あの子…匂ってるけど気づいているのかな…」
「おい、どうかしたのか？考え込んで」
「あ、帝先生。実は1人新入生で気になる子がいまして…先ほど体育館に向かったんですけど」
「何が気になるんだ？」
「この学校って規則としてオメガは自衛のために番ってない場合チョーカーをするはずですよね？」
「まさか…」
「ええ、あの子ちょっと、匂ってました。危ないかもしれません」
「俺に任せろ。お前は生徒会長としてほかにチョーカーをしてない生徒がいないか巡回しろ」
「はい、兄さん」
まずいかもしれない。さっきリオに絡まれていた時にもしオメガだとばれていたら…
「急がないといけないな…」
俺は走り出した。