不憫なΩが溺愛されるまで！オメガバースです

第一章 出会い

僕の生い立ち

「うえぇえーん…！」
僕は独りぼっちだった。
「おかあさんなんでいなくなっちゃうの…？」
「私はもう嫌なのよ！子供の子守なんて！」
「ああ？じゃあ俺に育てろって言うのかよ！」
この馬鹿Ωが！
「ぱーん」
凄い音がして僕は叩かれてしまう。そう、なぜ未来がわかるかというと夢だからだ。
「あんたななんて産まなきゃよかった…」
「ごめんなさい、ごめんなさい！もう殴らないで！おとうさん！」
「おとうさん、だ？」
「え…？」
「お父さんじゃねえよ！俺はお前の父親じゃない！馬鹿言うなよ、気持ち悪いなぁあ！」
ばんっと音がして今度は蹴られた。
「や、やだ！やめて！もう、もうゆるしてください…」
「じゃあ次のテストは絶対いい点数とれよ？」
「はい…」
「ちっ」
舌打ちをして消える父親ではないαの男性。
「もし、もしもあんたがαだったらよかったのに…！」
その後散々殴られ蹴られ、次の日学校に行くと
「どうしたの！？雫君！」
先生が近寄ってきた。僕は涙ぐみながら話した。
「そう…そうなの…あなたオメガなの？」
「え？先生…？」
「汚い子」
「え？」
僕は今でも覚えている。先生の軽蔑した目。
「汚くないよ？おふろはいってるよ？」
僕は頑張って弁明する。
「そういうこと言ってんじゃないのよ！」
先生はαだったのだ。この世界ではΩは軽蔑されている。ただの産む道具としか思われていない。だからしょうがなかったんだ。自分に言い聞かせる。そしてオメガの男は少ないのだ。だから
「あなたこれからいい人生なんておくれないわ。かわいそうに」
「何言ってるの？せんせい」
「あなたは道具でしかないの。知らないおじさん達に回されて汚い子になるのよ」
「や、やだよ、ぼく、ぼくは幸せになるんだ！」
「うるさい！」
ぱーんっと廊下で音が響き渡る。ビンタされたのだ。
「あなたみたいな可愛くもなくてかっこよくもない平凡なオメガは誰にも愛されず幸せになんてなれないのよ！」
はははっと笑っていると騒ぎを聞きつけた先生たちが集まってきた。
「雫君！？顔どうしたの！？」
「こけちゃったみたいで…」
先生は嘘を言う。
「そうなの。保健室に行こうね」
周りは見ていたはずなのに誰も擁護してくれなかった。そして保健室に行くと他にも傷があることがわかり、大問題となった。母親と父親ではない交際相手の男は逮捕された。
ぴぴぴぴー
「もう、こんな時間か…」
また同じ夢を見てしまった。辛いな。
「よーし、今日から初めての高校生活だ！張り切っていこう！」