幼馴染の御曹司と許嫁だった話

金曜日

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キスする前に出来ること【解決編】

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恋人の寝室に移動して30分。いまだに戻ってこない主を待ち続けながら、必死で彼の意図を考察する。




…ねぇ、なにこの状況。


おかしくない?







クリスマスに自分の寝室で恋人を待機させる……






そんなのその後の展開一択じゃん!!!!!

セックス以外ないじゃん!!!!!!!





「…いや、落ち着け俺……そんなはずないんだから」


思わず本音が口から漏れる。

そうだ、あり得ないんだ。だってかなはセックス出来ないんだから。なら一体なんの目的で寝室に待機させるんだ?それにさっき、『勃たせるために言った』って…


「あーもうっ!!わっかんねーーーー!!!かなの考えを俺なんかが読めるわけないじゃんっ!!!!!」
「…なにひとりで騒いでんのお前」
「…え………?」
「お待たせ」
「えっえっえっ……えええええええええええええええーーーーーーーーッ!!!!!!?」





自分でも引くほど、馬鹿でかい声が出た。


だけどこんなの…叫ぶなって言う方が無理だ。


寝室に入ってきたかなは…

黒いセクシーなレザーのボンテージにガーターベルト、下着が見えるか見えないかギリギリの丈のミニスカートと透け感のあるレースのニーハイソックスを身につけていた。おまけに派手なリップと黒のハイヒール…


まさしく俺の性癖ど真ん中だ。



っていうか…これって……




「それ俺がふざけて爽と暁人に送ったやつじゃん!!!!!!」
「知ってるっつの…俺とお前が付き合った後、わざわざ爽が俺に渡しにきたんだよ…」
「は!!?え!!?なんで!!?」
「『恭介の悪ふざけに付き合うのは癪だから』ってさ…お前これを親戚から手渡される俺の気持ち考えてみろよ…地獄だぞ?」


かなはクスクス笑いながらベッドまで来ると、俺の隣に腰掛ける。

そのあまりの美しさにもはや声も出ない。




俺の理想の女王様が………具現化してしまった。



「………っ…あ、あ…」
「……なんだよそれ、カオナシの真似?」
「…あ、いやっ、そうじゃなくてっ…!」
「えー?頑張って着たのに…感想言ってくんねぇの?」
「………エロすぎて……鼻血出そう…」
「ブハッ!!なら良かった…」
「でもかな…なんで…こんな格好…!」
「え、もしかしてマジでふざけてただけでコレお前の趣味じゃなかった?なんだよ…それなら着替え損じゃねーか…」
「いやいやいやいや!!最高に性癖です!!!俺の性癖ど真ん中どストレートの満塁場外さよならホームランです!!!!!!」
「ふはっ…!相変わらず意味不明なんだけど」
「…かな、ほんとに…この世のものとは思えないくらい…最高に綺麗……」
「ん、ありがと…」
「今全力で精子が製造されているのを感じます…」
「下品すぎだろ」


パコンッと優しくデコピンを受けて、ごめんごめんと手を合わせる。
予想していた展開とは少し違ったけど、恥ずかしがり屋のかなが俺のためにここまでしてくれるなんて…思ってもいなかった。


「…これ…靴はかなの自前?」
「あーうんそう…この格好でヒール無しはファッションを生業にしようって者として許されないだろ…?けど男のサイズのヒールで気に入ったのがなかなか見つからなくて…仕方ないからフランスから直輸入した」
「はぁ!!?」
「見ろよこのフォルム…最高に綺麗だと思わねぇ…?自分で履いたのはモデルやってた頃以来だけど…やっぱハイヒールはルブタンだよなぁ…」
「……え!!!?いや待って…情報が渋滞してる…!!!いやいやいやえっちょっと待って…かなってモデルしてたの!!?」
「…昔、おふくろに頼まれた時だけな?だからなんかこういう衣装っぽい服着るのはあんま抵抗ないんだよな…ちょっと懐かしい」


かなは長く美しい脚を伸ばして、俺に見せつける。わざわざ輸入してくれたのに申し訳ないけど…ハイヒールより、かなの足のフォルムが最高なんですけど……!!!!


「はーっ…はーっ……今度モデルしてた時の…写真見せて」
「いいけど…鼻息荒すぎてこえーよお前」


恋人の過去の写真に鼻息荒くしてなにが悪いんだ!!なんなら生まれた時からの写真全部欲しいっての!!!!
きっと生まれたてからありえないほど美形なんだろうなぁ…それがこんなエロくてセクシーでいい匂いのお兄さんになるなんて…育成成功もいいところだろう。

あーかわいい…

今のかなを写真に収めておけば一生おかずに困らないに違いない…

そんな邪な気持ちでベッドサイドに置いていた携帯に手を伸ばすと、すかさずかなに腕を掴まれた。そしてそのまま…後ろ手に縛られる。


「…えっ、な…なに!?なんで縛るの!?」
「恭介はさ…なんで俺がこんな格好したと思う?」
「へっ…?え………えっと…俺が喜ぶから…?」
「うん…つまり…?」
「え………あっ!!!!クリスマスプレゼント!!!?」
「せいかーい!!!あははっ…やっぱ元気な時のお前は勘いいな?」


かなはクスクス笑いながら、両手で俺の顔を包み込んだ。
普通の人がしたら浮いてしまいそうなビビットカラーのピンクのリップが、透けるような真っ白い肌に映える。


…死ぬほどエロい。


「だけど…プレゼントはこっからな?」
「…?え…?」
「なぁ恭介……」
「……な、…なに…?」
「俺たちはまだ……キスしたことすらないけど…」
「…?」








「"キスする前に出来ること"が…あると思うんだ」








かなのその言葉が、妙に頭の中に響く。

キスする……前に……?

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