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例えば及ばぬ恋として【初夜編】

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ニチャニチャといやらしい音が部屋の中に響いて、興奮は増していく。


「あっあっ…!やだ、待って…!」
「ん…?」
「俺もするっ…!!俺にも、させてっ…!」
「え、いいけど…」


俺の膝の上で身を捩っていたあきは、呼吸を荒げたまま両手でお互いの性器を握った。

その慣れない手つきを、俺は黙って見守る。

オナニーを全然しないと聞いていただけのことはある。ぶっちゃけ、あきの手淫は死ぬほどド下手クソだった。


「…んっ、あっ……難しっ……」
「ン…ゆっくりでいーよ…?」
「あっ…、んっ……こう…?」
「うん…そう、もっと擦り合わせるように…」
「ひゃっ…!だめっ…!爽は触らないでってば!」
「…はいはい…じゃあ、もっと強めに握って?」
「ンっ…、わか、った…!」


同性のはずなのに、こんなにも男性器の快感のポイントがわからないなんて……あきはどこまで性に対して無頓着だったんだ……

と、思わず心の中で呟く。


だけど、視覚的には100点満点。

真っ白な肌の絶世の美少年が、頬をピンクに染めて手コキしてくれるんだ。もうこれだけで、正直俺は満足。出せって言われれば、いつだって出せる。


「アッ……はぁっ…、んっ…ねぇ、爽…?」
「ん?なに?」
「……爽のちんちん、やっぱりおっきすぎ、ない…?」
「…ダメか?」
「ダメじゃ、ないけどっ……俺の倍くらい太いんだもんっ……!こんなの、俺の中に入るかなぁ…」


真面目な顔で問いかけられて、笑いと共にムラムラと欲望が湧き上がる。



あきは間違いなく……



男を煽る天才だ。



「……まぁ、それは…俺の頑張り次第じゃね?」
「…え?」


俺は再びあきを押し倒し、上から見下す体勢に移る。突然のことにあきは口をポカンと開けて瞬きを繰り返す。


「……へ!?爽!?え、ちょっと…!俺まだ触り始めたばっかりだったのに…!」
「ダメ、おしまい」
「はぁ!?触っていいって言ったじゃん!」
「んー……まぁ、ぶっちゃけ…俺ももっとお前に触られたかったんだけど…」
「…へ?じゃあ、なんで…」
「ごめんな?早く入れたいから……慣らしたい」
「……!」
「我慢、出来ない…」


ちゅ、とかわいいリップ音を立てて触れるだけのキスを送ると、あきの瞳はまたとろりと溶け出す。


「………爽っ…強引すぎ…」
「……嫌い?」
「……っ」
「あき?返事は?」
「………好き…」
「ん、……お前は素直でかわいいね」
「……うー……爽の、ばかぁ…」


あきのかわいい悪態にケラケラと笑って、ベッドサイドに準備しておいたローションに右手を伸ばす。

あきはその様子を遠慮がちにチラチラと見守っていて、そのウブすぎる反応にまたしても胸がキュンとした。


「さて……、あきはここの準備上手くなったんだろ?」
「……あ、えっと……ハイ……」
「ふふっ…!俺の出した"宿題"はどのくらいの頻度でしたの?」
「…っ、……言わなきゃ、ダメなの…?」
「……一応、参考までに」


あきが恥ずかしがってまた顔を隠している間に、俺はローションのキャップを開けて中身をゆっくり手に馴染ませる。

ちなみにこのローション、お尻用。男女で使う普通のローションとは微妙に成分が違ってて、乾きにくさに特化してるらしい。男は女の子と違って自然に濡れたりしないから、摩擦で痛みを感じないようにちゃんとお尻専用のを選んだ。

思えば、セックスに対してここまで真剣に向き合ったのは初めてだったかもしれない。これも、あきが相手になったからこそだ。


「………ま、……毎日……したよ?」
「…エ!?マジで!!!?」
「だって…!!その方が、今日スムーズに出来るかなって…!!」
「………」
「………爽?」
「……お前は……いつも俺の予想を超えてくるね……」


いくらやれって言われたからって…そんな律儀に言いつけを守るなんて……

ってことはこいつ……俺の出張中毎日自分でしてたのかよ……?


興奮で自然と鼻息が荒くなる。
やばい、13年の片想いで拗らせまくったあきへの変態心が刺激されまくっている…!!


「あき……自分でして、気持ちよくなったの…?」
「へ……!?え…?」
「毎日射精した?」
「いや、出してはないよ!?」
「え!?射精してないの!?」
「……うん、一度も……」
「いっ…一度も!!!?」


意味のわからない返答に、俺は思わず手を止めてあきを見る。


「え……じゃあ、中慣らして…終わってたってこと?なんで!?」
「あ……えと…、なんかね……中、自分でしてもあんまり気持ちよくなくて……その、爽がしてくれた時みたいにならなくて……だから、慣らすことだけひたすら考えて……」
「……そんなん、オナニーじゃねぇじゃん……」
「だって……!俺は別に、オナニーしたかったわけじゃなくて……爽とえっちしたくて…そのために頑張ってたから………気持ちよくなくても、問題なくない?」
「………じゃあ、毎日するの…すげぇ辛かったろ…?ごめんなあき……」
「え!?いや、その……これは俺が下手なのが悪いし……それに、」
「……ん?」
「今日は………爽が、気持ちよくしてくれるんでしょ……?」


バサバサの長いまつ毛に縁取られた、グレーの瞳が揺れる。

なんて、綺麗なんだろう。


「………もちろん」
「……なら、よかった…!」
「"宿題"の成果……見せてね、あき」
「もぉ……、爽の言い回しっていっつもやらしいっ…!」


俺は手に馴染ませていたローションをそっとあきの入り口に押し付ける。中指と薬指で、クルクルと円を描くように周辺をなぞると、ピクピクと穴が収縮した。


「ンっ…!」
「…あれ?」
「…え?なぁに?」
「あき、お風呂で結構慣らした…?」
「えっ……ううん、今日は中綺麗にしただけで…なんもしてない、よ?…なんで……?」
「いや、なんか…入り口の時点で…結構柔らかいから……」


試しに中指を1本小さな窄まりに充てがうと、指先がキュッと締め付けられる。1週間前初めて触った時とは明らかに違う反応だ。まるで、自ら快感を求めるような…


「………マジ?1週間でこんな変わんの…?」
「えっ?え、なに?俺、変なの…?」
「ううん……、あきがほんとに頑張ってくれたのがよくわかっただけ……もう、指入りそう…入れていい?」
「ん…」
「そっか、じゃあ…ゆっくり入れるな?」
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