幼馴染の御曹司と許嫁だった話

金曜日

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この先プラトニックにつき【準備編】

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「……はぁっ…ンッ…」
「あき…?」
「………っ…はっ……、」
「あき…大丈夫か?」
「……ん…」
「かわいい顔……気持ちよかった?」
「……ん……でも、…」
「……?」
「は……、恥ず…かしっ…」
「…………」
「………爽?」
「………なんか、あきがかわいすぎて…俺叫び出しそう……」
「…意味わかんないっ…」


爽はようやく俺の中から指を引き抜くと、お腹の周りに飛び散った俺の精液を丁寧に拭ってくれた。

……どうやら今日はこれで終わりらしい。


「……ハネムーンで……あきに入れるの楽しみすぎて死にそう」
「……俺も……楽しみだよ?」
「あきっ………」
「ん?」
「………ハーーーーッ…………ちんこ痛い…」


俺を起こしてギュッと抱きしめると、爽はため息を吐きながら蚊の鳴くような声で呟いた。


最初からずっと気づいてたよ…?

爽…ずっと俺で興奮してくれてたよね……?



「もう……頼むから褒めてくれ……」
「うんっ……、ヨシヨシ…よく我慢したね?」
「マジで、過去一……危なかった……!!俺の理性に乾杯…」
「あははっ」
「あきっ…俺、ほんとに…今週末…絶対何があってもお前のこと抱くから…」
「ふふっ…わかってるってばぁ…!なんか、俺ばっかり気持ち良くなってごめんね?俺…爽のためにも1人で頑張るから…!」
「それも…ほんとにごめん……俺も死ぬ気で全部の仕事片付けてくるから…!」
「うんっ!」


爽はこめかみにチュッと優しくキスをして、俺を抱え上げた。もちろん、お姫様だっこで。


「ひゃっ…!」
「お風呂、連れてくから…入っておいで…」
「ん、ありがと……あの……」
「なに…?」
「爽は…入らないの?」
「………あき、」
「ん?」
「トイレ行かせてくれ…さすがに」


少しだけ気まずそうに照れる爽に、やっと意味を理解して、ごめん!と呟く。

そっか……
そうだよね。ずっと我慢してたんだから…爽だってしたいよね……









それから宣言通り爽は俺をお風呂に届けてくれて、笑顔で去っていった。この後爽が何をするか知っているだけに、ちょっと恥ずかしかったけど…俺はゆっくりお風呂タイムを楽しんだ。






ローションとか体液とか…色々全部綺麗に洗い流し浴室から出て、バッチリ髪も乾かしてからリビングに戻るとダイニングのイスに爽が座っていた。
俺に気付くと、花が咲いたみたいにパッと微笑む我が家の王子様に再び胸がキュンと鳴る。


「あき……おかえり」
「た、ただいまっ……」
「ふっ……もしかしてまだ照れてんの?」
「ううーっ…照れさせたくないならそんなかっこいい顔で笑うなぁ…!」
「あはははっ!!お前マジ俺の顔好きだな!」


顔以外も好きだわ!ちくしょう!!!


…とは、調子に乗るから言わないけど。


「ほーらあきちゃーんこっちおいで~?お膝に座りなさーい」
「っ……爽はあきちゃんって呼ばないでっ!」


ムッとして強めに返すと、ご機嫌だった爽の顔色が変わる。この返事は、予想外だったみたい。


「え?…なんだよ……他にもそう呼ぶ奴いるじゃん」
「やだ!!!爽はだめ!!!」
「なんでだよ!!ちゃん付けかわいいじゃん!!」
「だって…!!!」
「だって?」
「………俺のこと、"あき"って呼ぶのは……爽だけだから……変えないで欲しいんだもん……」


俺……爽に呼ばれるときの、甘くて優しい"あき"って響きが大好き……それだけで"暁人"って名前に生まれてよかったーって毎日思うの。

だから、

唯一無二で特別な、恋人からのあだ名を奪われるのは…何があったってごめんだ。


「あき……」
「………なに?」
「お前ってほんと……かわいさのステータス振り切って生まれてきたんだなぁ……」
「………はい?」
「いや、他の部分も100点だけどな?かわいさに関しては飛び抜けすぎてもはや異次元」
「…………ねぇ……俺時々爽の言ってることよくわかんない…」
「わかんなくていい…褒めてるから」


爽はイスから立ち上がると俺の前まで歩いてきて、"もう一生あきって呼ぶ!"って叫びながら抱きしめてくれた。予想外に結構力が強くて、俺は爽の身体にすっぽり包まれる。同時にズシっと頭に重みを感じて少しだけ見上げると、爽が俺の頭に顎を乗せていた。
…まぁ、こうなるよね?俺たち20cm近く身長差があるから。男としてはちょっと複雑だけど…ま、いっか……爽にこうされるのは……心地いいから。


………けど、ちょっと長い。


「爽~苦しい~っ」
「今充電中~明日からあき不足が決定してるから」
「…こんなので充電になるの?」
「なるに決まってんだろ?お前の癒し効果は軽くチワワ越え」
「…チワワの立ち位置がよくわかんないんですけど」


爽は相変わらず俺の頭にすりすりと頬を擦り付けて、たまにスンスンと匂いを嗅いで喜んでいる。…爽の方が犬みたい。


「あーーーーー…離れたくねぇー!!!一生抱きしめてたいっ!!!!」
「も~…」


ほんと、うちの王子様には困っちゃうよ。
普段は非の打ち所がないほど完璧なのに、俺に甘えるスイッチが入ると途端に子供っぽくなっちゃうんだから。

こっちこそ、爽がかわいすぎて困ってるんだからね?


「爽…?」
「んー……?放せって言うなら答えはノーだぞ……」
「…じゃなくて……」
「……?なに?」
「………今日……爽のベッドで一緒に寝ていい…?」
「…………えっ!!!?」


爽は驚いてやっと俺の身体を放す。
普段じゃありえないくらい見開かれた綺麗な瞳に、なぜか笑いが込み上げる。

爽、めっちゃ動揺してるじゃん。


「だって…週末まで会えないんでしょ?俺たち………なら、一緒に寝よ?」
「………は?いや、それは…やっぱ…」
「もー!!!!ここまで我慢したんだから大丈夫!!!爽の理性は鬼です!!!!」
「いや、マジでクソキツかったからな!!!?」
「わーかったってば!!てかお腹空かない?俺なんか作るから爽は待ってて~」
「いや腹は減ってるけど……って、待て待て待てっ!!!そりゃ、一緒に寝たいに決まってるけど…!俺マジで、手出さない自信が…!」
「大丈夫!!!!爽が暴走したらビンタするから!!!!」
「は!?おい要みたいなこと言うなあき!あ、待てっ!」


焦る爽の腕からスルリと抜けるとキッチンに向かって歩く。

なんだかんだ、爽と同じベッドに寝るのは初めてかも……なんかお泊まり会みたいでドキドキしそう。楽しみ…!






キッチンでエプロンをつけようとしていると不意に携帯が震え出す。すぐにポケットから携帯を取り出して画面を見ると、


【結城 要】


と表示されていた。


ドキッとしてすぐに通話ボタンを押す。
状況を察した爽も、緊張した顔で見守ってくれた。



「もしもし!?要…!?」
『あ……………暁人………?』
「………うん……」
『あの………さ、』



親友の柔らかい声を聞いて、思わず笑顔が溢れる。俺もついに声色で要の気持ちがわかるくらいになったかと、なんだか感慨深かった。




よかった……




これはたぶん…………、






俺の笑顔を見た爽は、自分の指と俺の指を絡めてギュッと握りしめてから小声で一言呟いた。




"……な?言ったろ?"













…To be continued.
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