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「効率の良い勉強方法」
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「それじゃあ、勉強についての基礎的なことは理解できたと思うから、次はもっと深い内容を教えていくね。次は、「効率の良い勉強方法」を教えるね」
「対戦よろしくおねがいします」
「まず最初に、ここでの基本的な概念として書かずに勉強するって言うのがある」
恵里はそう言われ、驚いた顔をした。書かずに勉強するとはまったくもって理解できない。というか、書くのが勉強なのではないだろうか。
「勉強って、書かないと絶対にできなくない?」
「それがそうでもないんだな~。さっき私は恵里が本を見てた時に何をしてたか覚えてる?」
恵里は記憶をたどり、時間を巻き戻す。確か私の周りを回っていたはず。だけど、何をしていたっけ?あ、何か言ってたな。そうだ、英単語帳を読んでたんだ。
「英単語を勉強してた」
「そう。その時私は文字を書いてた?」
「そう言われると書いてなかったね。けど、英単語って書いて覚えるものじゃない?私は二十回ぐらい書いたら覚えられるよ」
里菜は英単語帳を広げた。そして、それを恵里に向けた。
「ここに単語が十個ぐらい載ってるでしょ?試しに書かないで覚えてみよっか」
「か、書かないで?出来るかな」
そういいつつ、恵里は広げられている単語帳に向かい合った。英単語を言い、その次に日本語を。それを何度も何度も繰り返し、十分程が経った。
「それじゃあ、そろそろテストしてみようか」
「わ、分かった」
恵里の方に向けていた英単語帳を里菜は自分の方に向けた。そして、適当に単語を選び、恵里に聞いた。
「問題。contributeの意味は?」
「た、確か、役に立つとかそういう感じだっけ?」
「まあ、正解だね。書かなくても覚えられるでしょ?」
「一応覚えられたけど、綴は覚えられなくない?書かないとそれは無理でしょ」
ちっちっちと、里菜が指を振った。
「実はスペルも書かなくても覚えられるんだよ」
「そんな訳ないじゃん」
「それじゃあ試しにcontributeって書いてみて」
そういい、里菜は恵里に紙とシャーペンを渡した。恵里は口に単語を出しながら書いた。
「こ、これで合ってる?」
「con-tri-bute。うん、合ってる。実は英単語って見ただけでも案外書けちゃうものなんだよ」
「けど、間違ってないか不安だったな」
そう言い、恵里は眉を下げた。
「そういう場合には、一回覚えているか確認するときに、紙に実際に書いておくと安心感は出るよ。ただ、今は短い時間しかやってないからそこまで記憶に残って無いから不安があるっていうのはある。だから、もう何周もすれば書かなくても自信を持って書けるようになるよ」
そういうと、恵里の肩の緊張が解けた。
「けど、普通に書いて覚えても良くない?」
「それはね、書くより見たほうが早いからだよ。同じ時間で多くの回数をこなせる。つまり、効率が上がるわけだ」
「なるほど、書かないで見ると効率が上がるのか……」
「これに基づいて、他の実例も教えよう。例えば、さっき私が見せた歴史の教科書。文に青いマーカーが引かれてたでしょ?」
恵里は頷く。
「何でこんなことをしてるか分かる?」
「えっと、重要なことに線を引いて分かりやすくするため?」
「そんな時間の無駄になることはしません」
恵里は驚いた顔をした。恵里の教科書には重要だと思った部分にラインがいっぱい引かれている。
「答えは、これだ」
そういい里菜は教科書の最後のページに挟まっていた赤シートを取り出した。そしてそれを本文に重ねると、青色の部分が真っ黒になった。
「青マーカーって、赤シート使えたんだ」
恵里が驚いた表情で言う。従来赤シートと併用されるのは、緑色のマーカーだからだ。
「そうなんだよね。青マーカーの方が、裸の時に読みやすい。だから私はこれを好んで使ってる」
「けど、赤シートってそんなに凄いもの?」
「とっても凄い。赤シートを使えば、教科書を使って擬似的に一問一答が出来るし、それはノートやプリントでも行える。とっても凄いものだ」
目を輝かせながら里菜はそういった。若干、恵里は引いている。
「実際に使ってみよう。本文を読みながら、途中で隠された単語が出てくる。ここ、ほら、分かる?」
里菜は興奮気味に恵里に問いかけた。
「え、えっと……墾田永年私財法」
「正解。さ、次のここは?」
「口分田……」
「その通り、次は分かる?」
「えっと……わ、分からないや」
「今みたいにもし分からない単語があったら一回赤シートを外して答えを見て確認する。そして、最初から今のをやり直す。すると、前の問題を解いていたことで頭から離れかけていた答えを一生懸命頭は引っ張り出そうとする。そうすると、より記憶に定着しやすくなるっていう寸法だ」
里菜の目はいつも通りに戻り、興奮は収まっていた。そして、説明口調かつ早口で流れるように言った。
「さ、最初からやり直すの?面倒臭いな」
「その最初からやり直したくないという緊張感が集中力を生むんだよ」
「なんか凄いプラスのことが次々と起きてくね。赤シートを使うだけで」
「私が命を削って、調べて試して、また調べてってやったからね。それだけ洗練されたものなんだよ」
「それは誠にありがとうございます」
「ここで私の勉強法を学んでって、ぜひ役立ててってください」
「対戦よろしくおねがいします」
「まず最初に、ここでの基本的な概念として書かずに勉強するって言うのがある」
恵里はそう言われ、驚いた顔をした。書かずに勉強するとはまったくもって理解できない。というか、書くのが勉強なのではないだろうか。
「勉強って、書かないと絶対にできなくない?」
「それがそうでもないんだな~。さっき私は恵里が本を見てた時に何をしてたか覚えてる?」
恵里は記憶をたどり、時間を巻き戻す。確か私の周りを回っていたはず。だけど、何をしていたっけ?あ、何か言ってたな。そうだ、英単語帳を読んでたんだ。
「英単語を勉強してた」
「そう。その時私は文字を書いてた?」
「そう言われると書いてなかったね。けど、英単語って書いて覚えるものじゃない?私は二十回ぐらい書いたら覚えられるよ」
里菜は英単語帳を広げた。そして、それを恵里に向けた。
「ここに単語が十個ぐらい載ってるでしょ?試しに書かないで覚えてみよっか」
「か、書かないで?出来るかな」
そういいつつ、恵里は広げられている単語帳に向かい合った。英単語を言い、その次に日本語を。それを何度も何度も繰り返し、十分程が経った。
「それじゃあ、そろそろテストしてみようか」
「わ、分かった」
恵里の方に向けていた英単語帳を里菜は自分の方に向けた。そして、適当に単語を選び、恵里に聞いた。
「問題。contributeの意味は?」
「た、確か、役に立つとかそういう感じだっけ?」
「まあ、正解だね。書かなくても覚えられるでしょ?」
「一応覚えられたけど、綴は覚えられなくない?書かないとそれは無理でしょ」
ちっちっちと、里菜が指を振った。
「実はスペルも書かなくても覚えられるんだよ」
「そんな訳ないじゃん」
「それじゃあ試しにcontributeって書いてみて」
そういい、里菜は恵里に紙とシャーペンを渡した。恵里は口に単語を出しながら書いた。
「こ、これで合ってる?」
「con-tri-bute。うん、合ってる。実は英単語って見ただけでも案外書けちゃうものなんだよ」
「けど、間違ってないか不安だったな」
そう言い、恵里は眉を下げた。
「そういう場合には、一回覚えているか確認するときに、紙に実際に書いておくと安心感は出るよ。ただ、今は短い時間しかやってないからそこまで記憶に残って無いから不安があるっていうのはある。だから、もう何周もすれば書かなくても自信を持って書けるようになるよ」
そういうと、恵里の肩の緊張が解けた。
「けど、普通に書いて覚えても良くない?」
「それはね、書くより見たほうが早いからだよ。同じ時間で多くの回数をこなせる。つまり、効率が上がるわけだ」
「なるほど、書かないで見ると効率が上がるのか……」
「これに基づいて、他の実例も教えよう。例えば、さっき私が見せた歴史の教科書。文に青いマーカーが引かれてたでしょ?」
恵里は頷く。
「何でこんなことをしてるか分かる?」
「えっと、重要なことに線を引いて分かりやすくするため?」
「そんな時間の無駄になることはしません」
恵里は驚いた顔をした。恵里の教科書には重要だと思った部分にラインがいっぱい引かれている。
「答えは、これだ」
そういい里菜は教科書の最後のページに挟まっていた赤シートを取り出した。そしてそれを本文に重ねると、青色の部分が真っ黒になった。
「青マーカーって、赤シート使えたんだ」
恵里が驚いた表情で言う。従来赤シートと併用されるのは、緑色のマーカーだからだ。
「そうなんだよね。青マーカーの方が、裸の時に読みやすい。だから私はこれを好んで使ってる」
「けど、赤シートってそんなに凄いもの?」
「とっても凄い。赤シートを使えば、教科書を使って擬似的に一問一答が出来るし、それはノートやプリントでも行える。とっても凄いものだ」
目を輝かせながら里菜はそういった。若干、恵里は引いている。
「実際に使ってみよう。本文を読みながら、途中で隠された単語が出てくる。ここ、ほら、分かる?」
里菜は興奮気味に恵里に問いかけた。
「え、えっと……墾田永年私財法」
「正解。さ、次のここは?」
「口分田……」
「その通り、次は分かる?」
「えっと……わ、分からないや」
「今みたいにもし分からない単語があったら一回赤シートを外して答えを見て確認する。そして、最初から今のをやり直す。すると、前の問題を解いていたことで頭から離れかけていた答えを一生懸命頭は引っ張り出そうとする。そうすると、より記憶に定着しやすくなるっていう寸法だ」
里菜の目はいつも通りに戻り、興奮は収まっていた。そして、説明口調かつ早口で流れるように言った。
「さ、最初からやり直すの?面倒臭いな」
「その最初からやり直したくないという緊張感が集中力を生むんだよ」
「なんか凄いプラスのことが次々と起きてくね。赤シートを使うだけで」
「私が命を削って、調べて試して、また調べてってやったからね。それだけ洗練されたものなんだよ」
「それは誠にありがとうございます」
「ここで私の勉強法を学んでって、ぜひ役立ててってください」
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