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初めての放課後の授業

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 里菜は帰りの会が終わった後、恵里の所へ行った。恵里は自分の成績表を眺めながら、目に小さな水滴を浮かべていた。それを里菜はそっと優しく拭き取った。
「ほら、帰るよ」
 里菜がそう言うと、恵里はリュックを背負った。二人は教室のドアに歩いていった。
「今日さ、私の家来れる?」
 里菜がそう誘いかけた。恵里は親指を立てた。里菜は歩きながらずっと何かを呟いていた。恵里はそんな様子の里菜を今までに見たことが無く、少し恐怖を感じた。
「あのさ、恵里って、どんな風に勉強してる?」
「え、どんな風って。教科書にマーカー引いたり、まとめノート作ったり、英単語書いて覚えたりかな」
 理恵は一つずつ、思い出すように動作をしながら言葉に表した。それを聞き、里菜は軽く肩を落とした。まるで全てを理解しているかの様子で。
 恵里の勉強法は典型的なダメな勉強法だ。こんなにも綺麗な返答が返ってくるとは思わなかった。別に恵里の勉強法が必ずしもダメって訳ではないけど、あまりにも効率が悪い。これは、期待大だな。まず最初は勉強が何かを教えてあげなきゃね。
 里菜は考えがまとまったのか、軽く無言で頷いてから言葉を返した。
「恵里、恵里はしっかりした勉強方法を知れば、平均を越す……。いや、私を越すことも可能だと思う。だからまずは私が勉強の真髄を教えてあげる」
 恵里はその言葉に目を小さな子供のように輝かせた。そして少し目を瞑った後に、悪そうな笑みを浮かべた。
「よろしくおねがいします、師匠」
「うむ」
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