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謎の転入生
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最近よく下僕に学校に連れて来られている吾輩だにゃ、モフられるのはいいのだけど……..尻尾を掴まれると困るのだ。
「あぁーもうっ!離すにゃ」
吾輩がジタバタ暴れるとようやく解放された。
「ごめんなさい、つい可愛くて…………」
どうやらわざとではないらしい。
この人間は少し苦手なのだけど、悪い人間ではなさそうだし、何より下僕のお友達だから邪険にも出来ないのだ。
「ん?そういえば、今日はカレンちゃん来てないんだね?」
そうなのにゃ、白濱カレンは今日は学校をお休みなのにゃ、熱が出て動けないにゃ。
下僕が白濱カレンが寝込んでいることを友達に説明をしているにゃ、
「そっか……早く元気になると良いね」
吾輩達がそんな話をしていると、授業開始のチャイムが鳴った。
「じゃあ、また放課後に来るからね」
吾輩達に手を振って教室を出ていく人間。
ふぅ~やっと行ったにゃ……
今日もシャワーとブラッシングされるにゃ、 たまに下手くそがいて毛が絡まって痛い時があるにゃ、あの人間がしてくれるなら問題無いんだけどにゃ。
今日はいつもより念入りにすると言っていたので、きっと時間掛かるだろうなと思った吾輩だった。
さて、なんだにゃ新入りが居るにゃ。
まぁ、どうせ直ぐに居なくなると思うけどにゃ。
「えっと……はじめまして、私の名前は橘結衣と言います。宜しくお願いします」
ペコリとお辞儀をする橘結衣と名乗った人間。
吾輩は知ってるにゃ、こいつはブラッシングが苦手にゃ、後お尻に棒を刺すにゃ、あれは痛いにゃ、でも我慢するしかないにゃ。
「私は皆さんと同じ1年生です。まだ右も左も分からない状態ですが、仲良くして下さいね」
橘結衣は自己紹介を終えると、クラスメイト達に囲まれていた。
女子生徒達はキャッキャ言いながら質問攻めにしている。
男子生徒達はチラチラと見つめているだけだった。
やはり人間は可愛いものに弱いようだ。
吾輩も猫の中ではトップクラスだと思うけど、人間の美少女には敵わないにゃ。
「ねぇねぇ、彼氏とかいるの?」
いきなりストレート過ぎる質問を投げ掛ける女生徒。
「えっ!?……いえ、今は居ませんよ」
橘結衣は少し顔を赤らめて答えた。
「好きな人はいるんですか?」
「気になる人くらいはいます」
その後も質問が続き、その全てに笑顔で答える橘結衣。
そして何故か男子生徒達の視線が鋭くなっていた。
「それじゃあ、席に戻りますね」
そう言って自分の席に戻って行く橘結衣。
すると入れ替わるように講師が入ってきた。
「ほら、お前らも早く座れー」講師の声を聞いて慌てて着席する生徒達。
「よし、じゃあ早速始めるぞ」
こうして今日の授業が始まった。
しかし、授業中もずっと後ろを振り向いて橘結衣を見続ける男子生徒が何人かいた。
あいつらはきっと変態だにゃ。
その後の授業も滞りなく進み、昼休みになった。
吾輩は昼食を食べる為に食堂に向かうことにした。
この学園では給食ではなく、弁当持参か学食での注文制になっている。
ちなみに吾輩の下僕は毎日手作りのお弁当を作ってくれるのだ。
とても美味しいにゃ!ほんとに美味しと、つい「ミャウミャウ」と言ってしまうにゃ!吾輩と下僕が教室を出る時にチラッと後ろを見たのだが、橘結衣は、そこにはいなかった。
吾輩達が食堂に着くと、そこは多くの学生達で賑わっていた。吾輩のお昼タイムみんなの注目の的なのにゃ、まぁ仕方ないにゃ、何故なら吾輩は美猫だからにゃ。
とりあえず席を確保する為、空いているテーブルを探す。
キョロキョロと辺りを見回していると、見知った顔を見つけた。
それは同じゼミの蔵田謙太だ、下僕はヤツの事ををケンと呼んでるにゃ。
「みゃ!」
声をかけてみる。
「ん?あぁ、ネコ吉か」
こちらに気付いたようで近寄ってくる。
「相変わらずモテてるな」
どうやら周りの目線は吾輩だけではなかったらしい。
「ケン?ここ空いてる?」
「あぁ、空いてる!」
「じゃあ一緒に食べるか」
「おう、いいぜ」
そうして吾輩たちとケンは2人1匹で食事を始めた。
しばらく食べ進めていると、ケンの隣に誰かがやって来た。「隣に座ってもいいかな?」
橘結衣だった。
「あぁ、良いぜ」
「ありがとう」
「あ、そうだ」
橘結衣が何かを思い出したのか、鞄の中をゴソゴソと探し始めた。
「はい、これ」
取り出したのはお弁当箱。
「良かったら使って」
「え?良いの?」
「うん、ちょっと作り過ぎちゃって……」
「ありがたく使わせてもらうよ」
「私、友達とお昼ご飯食べた事無くて……今日が初めてなの」
「そうなんだ……俺で良ければいつでも付き合うからさ」
「本当!?嬉しいっ」
吾輩そっちのけで話を進める2人。
まぁ別にいいけどにゃ。
それから橘結衣はケンと一緒にお昼を食べていた。
吾輩はというと、いつの間にか居なくなっていたケンを探しているうちに、他の生徒達にモフられてしまったのだった。
午後の授業が終わり放課後になると、また橘結衣の周りに人が群がりはじめた。
「ねぇねぇ、今度私とも遊んでよ」
「あっずるい!私が先だよ」
女子生徒達は橘結衣を独占しようと必死になっていた。
そんな時、橘結衣は困ったような表情を浮かべながら口を開いた。
「あの……ごめんなさい。実は用事があるので、もう行かないとダメなんです」
「え~!何それぇ」
女子生徒達はまだ諦めきれない様子だったが、「それじゃあ、失礼しますね」と言い残し、足早に立ち去って行った。
橘結衣が立ち去った後も、その場に残っている女子生徒達。
すると今度は男子生徒が声を掛けてきた。
「ねぇねぇ、よかったらこの後カラオケでもいかない?」
「うーん……私はパス」
「えー行こうよー」
「本当に無理なんだってば、それに私、彼氏いるからさ」
「あ、そういえば朝言ってたよね」
「うん、だからゴメンね」「分かったよ」
そう言って立ち去る男子生徒。
そしてその様子を見ていたケンがボソリと呟いた。
「リア充爆発しろ」
「ミャア」
吾輩も同感だと言わんばかりに鳴くのであった。
こうして、この日も無事に家に帰ることが出来た吾輩。
「ただいま!」
下僕が玄関を開けて帰宅を知らせる。
するとリビングの方からドタドタと走る音が聞こえてくる。
「おかえりーネコ吉」
そう言いながら飛び付いてくる人間。
それを受け止めたくない吾輩は避けるにゃ、何故こいつがここに居るにゃ。
「にゃー、なんで避けんだよぉー」
橘結衣は不満げに頬を膨らませている。
「何故ここに居るんだ?」
下僕が、かなりイラついた様子で問い詰めようとし始めた。
「おい、こら!無視すんじゃねえ!」
その言葉を聞いた橘結衣はビクッと肩を震わせた。
「えっと、その……今日は泊めさせて貰おうと思って……」
少し怯えたように答える橘結衣。
「は?」
下僕は呆気にとられているようだ。
「だから、今日は家に帰りたくなくて……」
と途中まで気の弱い喋りをしていた橘結衣の喋り方が急に変わった。
「とでも言うと思たの?受けるーバッカじゃないの?まだ気がつかない?」
急に下僕が白濱カレンが寝ている筈の部屋に飛び込んだ。
「やっぱりな!」
そこには誰も居なかった。
「あんたが帰って来る前に入れ替わっといたのよ」
ニヤリとした笑みを浮かべる橘結衣。
「お前、何の為に来たんだ?」
「決まってるじゃん、嫌がらせに来たのよ」
「白濱カレンが、どうなるかなー、無事戻れるかナぁ、アハ!」
「ふざけるな!」
そう叫んだ瞬間、下僕のスマホが鳴り響いた。
「もしもし」
電話に出ると、相手は警察だった。
『もし、こちら漣警察署の筌元ですが』
「はい、どうかしましたか?」
『実は、そちらのお宅の白濱カレンさんを保護をしましたので、来て貰えますか?」
「え?」
「どういう事ですか?」
『詳しくは署に来て頂いてから説明しますので、とりあえず来てください』『分かりました。すぐに行きます」
「という事だ」
「へぇ~、やるじゃん」
そう言って、楽しそうな表情を見せる橘結衣。
「という事らしいので、今すぐ帰れ」
「いやよ、私は今日は帰るつもりは無いわ」
「仕方ない、じゃあ力ずくで警察に連れて行くか」
「出来るもんならやってみなよ」
こうして、2人のバトルが始まった。「にゃあ!」
吾輩は勢いよく飛びかかった。
「おらっ!」
しかし、あっさりと避けられてしまった。
「ふっ」
「ニャァ!」
またしても攻撃を避けられてしまう。
「まだまだぁ!」
「シャー!」
その後も何度も攻撃を仕掛けるが、ことごとく回避されてしまう。
「ほら、どうしたの?そんなものなの?」
余裕の表情を浮かべる橘結衣。
このままではマズイにゃ、何か策を考えないと……。
「ミャアアア!!」
「ん?何それ、ネコパンチ?そんなの効くわけないでしょ」
そう言って吾輩の攻撃を簡単に避ける橘結衣。
「そろそろいいかげん諦めたら?」
勝ち誇ったような顔をする橘結衣。
「くそ、何とかして隙を作るしかないのか……」
その時、吾輩はあることに気が付いた、下僕が後ろから近ずきつつある事に。
「これで終わりよ」
橘結衣の攻撃を避ける下僕。
「残念ね、もうあなたに打つ手はないみたいね」
勝利を確信している様子の橘結衣。
「それはどうかな?」
「え?」
突然、橘結衣の動きが止まった。
「な、なにこれ!?」
「やっと捕まってくれたな」
そう言って下僕は、橘結衣の首根っこを掴んだ。
「ちょっと離しなさいよ!」
ジタバタと暴れながら必死に抵抗する橘結衣。
「おい、大人しくしろ」
「嫌よ!絶対に!」
「いい加減にしろ!」
「痛いっ!叩かないでよ!」
下僕が怒鳴ると、橘結衣はビクリとして動きを止めた。
「はぁ……やっと静かになった」
「ミャア……」
吾輩は下僕に頭を撫でられながら、小さく鳴くのであった。
その後、橘結衣は無事に逮捕された。
そして、吾輩はと言うと……。
「シロー、何処行ったんだー!」
下僕が大声で叫びながら家中を探し回っている。しかたないのにゃ、吾輩は、ちょこんと下僕の肩に乗ったにゃ。
「おぉ!そこに居たか!」
吾輩を見つけた下僕は嬉しそうな声を上げた。
「よし、一緒に警察に行こう。白濱の体調も不安だし。」
「ミャウ!」
もう、下僕はツンデレさんだにゃ、白濱カレンに早く会いたいから慌ててるにゃ!
行ってくるにゃ!
「あぁーもうっ!離すにゃ」
吾輩がジタバタ暴れるとようやく解放された。
「ごめんなさい、つい可愛くて…………」
どうやらわざとではないらしい。
この人間は少し苦手なのだけど、悪い人間ではなさそうだし、何より下僕のお友達だから邪険にも出来ないのだ。
「ん?そういえば、今日はカレンちゃん来てないんだね?」
そうなのにゃ、白濱カレンは今日は学校をお休みなのにゃ、熱が出て動けないにゃ。
下僕が白濱カレンが寝込んでいることを友達に説明をしているにゃ、
「そっか……早く元気になると良いね」
吾輩達がそんな話をしていると、授業開始のチャイムが鳴った。
「じゃあ、また放課後に来るからね」
吾輩達に手を振って教室を出ていく人間。
ふぅ~やっと行ったにゃ……
今日もシャワーとブラッシングされるにゃ、 たまに下手くそがいて毛が絡まって痛い時があるにゃ、あの人間がしてくれるなら問題無いんだけどにゃ。
今日はいつもより念入りにすると言っていたので、きっと時間掛かるだろうなと思った吾輩だった。
さて、なんだにゃ新入りが居るにゃ。
まぁ、どうせ直ぐに居なくなると思うけどにゃ。
「えっと……はじめまして、私の名前は橘結衣と言います。宜しくお願いします」
ペコリとお辞儀をする橘結衣と名乗った人間。
吾輩は知ってるにゃ、こいつはブラッシングが苦手にゃ、後お尻に棒を刺すにゃ、あれは痛いにゃ、でも我慢するしかないにゃ。
「私は皆さんと同じ1年生です。まだ右も左も分からない状態ですが、仲良くして下さいね」
橘結衣は自己紹介を終えると、クラスメイト達に囲まれていた。
女子生徒達はキャッキャ言いながら質問攻めにしている。
男子生徒達はチラチラと見つめているだけだった。
やはり人間は可愛いものに弱いようだ。
吾輩も猫の中ではトップクラスだと思うけど、人間の美少女には敵わないにゃ。
「ねぇねぇ、彼氏とかいるの?」
いきなりストレート過ぎる質問を投げ掛ける女生徒。
「えっ!?……いえ、今は居ませんよ」
橘結衣は少し顔を赤らめて答えた。
「好きな人はいるんですか?」
「気になる人くらいはいます」
その後も質問が続き、その全てに笑顔で答える橘結衣。
そして何故か男子生徒達の視線が鋭くなっていた。
「それじゃあ、席に戻りますね」
そう言って自分の席に戻って行く橘結衣。
すると入れ替わるように講師が入ってきた。
「ほら、お前らも早く座れー」講師の声を聞いて慌てて着席する生徒達。
「よし、じゃあ早速始めるぞ」
こうして今日の授業が始まった。
しかし、授業中もずっと後ろを振り向いて橘結衣を見続ける男子生徒が何人かいた。
あいつらはきっと変態だにゃ。
その後の授業も滞りなく進み、昼休みになった。
吾輩は昼食を食べる為に食堂に向かうことにした。
この学園では給食ではなく、弁当持参か学食での注文制になっている。
ちなみに吾輩の下僕は毎日手作りのお弁当を作ってくれるのだ。
とても美味しいにゃ!ほんとに美味しと、つい「ミャウミャウ」と言ってしまうにゃ!吾輩と下僕が教室を出る時にチラッと後ろを見たのだが、橘結衣は、そこにはいなかった。
吾輩達が食堂に着くと、そこは多くの学生達で賑わっていた。吾輩のお昼タイムみんなの注目の的なのにゃ、まぁ仕方ないにゃ、何故なら吾輩は美猫だからにゃ。
とりあえず席を確保する為、空いているテーブルを探す。
キョロキョロと辺りを見回していると、見知った顔を見つけた。
それは同じゼミの蔵田謙太だ、下僕はヤツの事ををケンと呼んでるにゃ。
「みゃ!」
声をかけてみる。
「ん?あぁ、ネコ吉か」
こちらに気付いたようで近寄ってくる。
「相変わらずモテてるな」
どうやら周りの目線は吾輩だけではなかったらしい。
「ケン?ここ空いてる?」
「あぁ、空いてる!」
「じゃあ一緒に食べるか」
「おう、いいぜ」
そうして吾輩たちとケンは2人1匹で食事を始めた。
しばらく食べ進めていると、ケンの隣に誰かがやって来た。「隣に座ってもいいかな?」
橘結衣だった。
「あぁ、良いぜ」
「ありがとう」
「あ、そうだ」
橘結衣が何かを思い出したのか、鞄の中をゴソゴソと探し始めた。
「はい、これ」
取り出したのはお弁当箱。
「良かったら使って」
「え?良いの?」
「うん、ちょっと作り過ぎちゃって……」
「ありがたく使わせてもらうよ」
「私、友達とお昼ご飯食べた事無くて……今日が初めてなの」
「そうなんだ……俺で良ければいつでも付き合うからさ」
「本当!?嬉しいっ」
吾輩そっちのけで話を進める2人。
まぁ別にいいけどにゃ。
それから橘結衣はケンと一緒にお昼を食べていた。
吾輩はというと、いつの間にか居なくなっていたケンを探しているうちに、他の生徒達にモフられてしまったのだった。
午後の授業が終わり放課後になると、また橘結衣の周りに人が群がりはじめた。
「ねぇねぇ、今度私とも遊んでよ」
「あっずるい!私が先だよ」
女子生徒達は橘結衣を独占しようと必死になっていた。
そんな時、橘結衣は困ったような表情を浮かべながら口を開いた。
「あの……ごめんなさい。実は用事があるので、もう行かないとダメなんです」
「え~!何それぇ」
女子生徒達はまだ諦めきれない様子だったが、「それじゃあ、失礼しますね」と言い残し、足早に立ち去って行った。
橘結衣が立ち去った後も、その場に残っている女子生徒達。
すると今度は男子生徒が声を掛けてきた。
「ねぇねぇ、よかったらこの後カラオケでもいかない?」
「うーん……私はパス」
「えー行こうよー」
「本当に無理なんだってば、それに私、彼氏いるからさ」
「あ、そういえば朝言ってたよね」
「うん、だからゴメンね」「分かったよ」
そう言って立ち去る男子生徒。
そしてその様子を見ていたケンがボソリと呟いた。
「リア充爆発しろ」
「ミャア」
吾輩も同感だと言わんばかりに鳴くのであった。
こうして、この日も無事に家に帰ることが出来た吾輩。
「ただいま!」
下僕が玄関を開けて帰宅を知らせる。
するとリビングの方からドタドタと走る音が聞こえてくる。
「おかえりーネコ吉」
そう言いながら飛び付いてくる人間。
それを受け止めたくない吾輩は避けるにゃ、何故こいつがここに居るにゃ。
「にゃー、なんで避けんだよぉー」
橘結衣は不満げに頬を膨らませている。
「何故ここに居るんだ?」
下僕が、かなりイラついた様子で問い詰めようとし始めた。
「おい、こら!無視すんじゃねえ!」
その言葉を聞いた橘結衣はビクッと肩を震わせた。
「えっと、その……今日は泊めさせて貰おうと思って……」
少し怯えたように答える橘結衣。
「は?」
下僕は呆気にとられているようだ。
「だから、今日は家に帰りたくなくて……」
と途中まで気の弱い喋りをしていた橘結衣の喋り方が急に変わった。
「とでも言うと思たの?受けるーバッカじゃないの?まだ気がつかない?」
急に下僕が白濱カレンが寝ている筈の部屋に飛び込んだ。
「やっぱりな!」
そこには誰も居なかった。
「あんたが帰って来る前に入れ替わっといたのよ」
ニヤリとした笑みを浮かべる橘結衣。
「お前、何の為に来たんだ?」
「決まってるじゃん、嫌がらせに来たのよ」
「白濱カレンが、どうなるかなー、無事戻れるかナぁ、アハ!」
「ふざけるな!」
そう叫んだ瞬間、下僕のスマホが鳴り響いた。
「もしもし」
電話に出ると、相手は警察だった。
『もし、こちら漣警察署の筌元ですが』
「はい、どうかしましたか?」
『実は、そちらのお宅の白濱カレンさんを保護をしましたので、来て貰えますか?」
「え?」
「どういう事ですか?」
『詳しくは署に来て頂いてから説明しますので、とりあえず来てください』『分かりました。すぐに行きます」
「という事だ」
「へぇ~、やるじゃん」
そう言って、楽しそうな表情を見せる橘結衣。
「という事らしいので、今すぐ帰れ」
「いやよ、私は今日は帰るつもりは無いわ」
「仕方ない、じゃあ力ずくで警察に連れて行くか」
「出来るもんならやってみなよ」
こうして、2人のバトルが始まった。「にゃあ!」
吾輩は勢いよく飛びかかった。
「おらっ!」
しかし、あっさりと避けられてしまった。
「ふっ」
「ニャァ!」
またしても攻撃を避けられてしまう。
「まだまだぁ!」
「シャー!」
その後も何度も攻撃を仕掛けるが、ことごとく回避されてしまう。
「ほら、どうしたの?そんなものなの?」
余裕の表情を浮かべる橘結衣。
このままではマズイにゃ、何か策を考えないと……。
「ミャアアア!!」
「ん?何それ、ネコパンチ?そんなの効くわけないでしょ」
そう言って吾輩の攻撃を簡単に避ける橘結衣。
「そろそろいいかげん諦めたら?」
勝ち誇ったような顔をする橘結衣。
「くそ、何とかして隙を作るしかないのか……」
その時、吾輩はあることに気が付いた、下僕が後ろから近ずきつつある事に。
「これで終わりよ」
橘結衣の攻撃を避ける下僕。
「残念ね、もうあなたに打つ手はないみたいね」
勝利を確信している様子の橘結衣。
「それはどうかな?」
「え?」
突然、橘結衣の動きが止まった。
「な、なにこれ!?」
「やっと捕まってくれたな」
そう言って下僕は、橘結衣の首根っこを掴んだ。
「ちょっと離しなさいよ!」
ジタバタと暴れながら必死に抵抗する橘結衣。
「おい、大人しくしろ」
「嫌よ!絶対に!」
「いい加減にしろ!」
「痛いっ!叩かないでよ!」
下僕が怒鳴ると、橘結衣はビクリとして動きを止めた。
「はぁ……やっと静かになった」
「ミャア……」
吾輩は下僕に頭を撫でられながら、小さく鳴くのであった。
その後、橘結衣は無事に逮捕された。
そして、吾輩はと言うと……。
「シロー、何処行ったんだー!」
下僕が大声で叫びながら家中を探し回っている。しかたないのにゃ、吾輩は、ちょこんと下僕の肩に乗ったにゃ。
「おぉ!そこに居たか!」
吾輩を見つけた下僕は嬉しそうな声を上げた。
「よし、一緒に警察に行こう。白濱の体調も不安だし。」
「ミャウ!」
もう、下僕はツンデレさんだにゃ、白濱カレンに早く会いたいから慌ててるにゃ!
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