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甘い侵略
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「佐々木っち、昨日はありがと~」
「……なにがだ?」
「ほらぁ~、アタシのために怒ってくれたじゃん?あれ嬉しかったよぉ~♪」
そう言って、俺の腕に絡みつく白濱カレン。
「でもさぁ~、あの時は助かったけど、あそこまでしなくても良かったんだよねぇ~。だって佐々木っち、まだ学生でしょ?アタシなんかよりもっと守るべきものがあるんじゃないのかなぁ~って」
「別に……」
「それにぃ~、あんまり目立っちゃうとマズいんじゃない?だってアタシたちって、ただのお友達だしぃ~」
「…………」
「だからさぁ~、もうあんなことしない方がいいと思うんだよね。特に女の子には優しくしないとダメだよぉ~。佐々木っちモテるみたいだしぃ~」
「……余計なお世話だ。お前こそ自分の心配をした方が良さそうだぞ。周りをよく見てみろ」
「えっ?それどういう意味―――あっ!」
「やっと気付いたようだな。
俺達の周りには今、白濱ファンクラブの会員たちが囲んでいるということを。」
「こいつ……!白濱さんと仲がいいからって調子に乗りやがって!!」
「おい!お前ちょっと、今日は仔猫を連れて来て目立ちやがって、羨ましすぎる」
「くそ!なんでこんな冴えない奴が白濱さんと仲良くしてんだよ!」
「ぶっ殺せぇ!!(怒)」
「「「「おー!!!」」」」
「ちょ、ちょっと待てみんな!?これは誤解なんだ!佐々木っちもなんとか言ってよ!」
「……」
「無言で目を逸らすなぁ!!!」
そんな感じで白濱ファンを敵に回した俺は、その後も白濱カレンと一緒に登校する羽目になった。
そして昼休み……。
「ねえねえ、佐々木っち。一緒にご飯食べようよぉ~♪」
そう言いながら弁当箱を持って俺の席まで来る白濱カレン。
「断る。というかなぜ毎日のように俺のところに来るんだ?」
「だってぇ~、せっかくできた友達を見捨てたりできないじゃ~ん♪」
「誰が友達だ!勝手に決めるな!」
「なら、恋人?」
「もっとありえないわ!!」
「ふぅ~ん。まっ、いっかぁ~」
そう言うと、白濱カレンは自分の席に戻っていった。
「あいつ、何考えてんだろうな……」
そんなことを呟きつつ、俺は教室を出た。
するとそこには、白濱ファンクラブ会員Aがいた。
「どうした?俺に何か用でもあるのか?」
「いや……その……お前に聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「お前って、白濱さんとはどういう関係なんだ?」
「ただのクラスメイトだが……」
「嘘つけ!だったらなんで朝一緒に学校に来てたんだよ!」
「それは……色々あったんだよ」
「ふざけんな!お前みたいな地味男が白濱さんと釣り合うわけないだろうが!」
「……確かにそうだな。お前の方が似合ってるんじゃないか?白濱ファンクラブの会長さん」
「なっ!?なんでそれを……!?」
「俺に喧嘩を売ってきた連中の中にいたからな。それで?結局お前は何を言いに来たんだ?」
「ぐぬぬ……!もういい!この野郎!!」
そう言って走り去って行く白濱ファンクラブ会長。
「けっ……くだらない」
その後、俺が屋上に行くとすでに白濱カレンの姿があった。
「おっす」
「おっすじゃないよ!佐々木っちのせいで大変なことになったじゃん!」
「自業自得だと思うが」
「もう知らない!それよりさぁ~、アタシのことカレンって呼んでもいいんだよぉ~♪」
「呼ばない」
「ぶぅ~……まあいっか。ところでさ、昨日のアレってなに?なんか、いきなりキレちゃったけど……」
「……お前はもう少し自分の身を案じろ。ただでさえ目立つ存在なんだからな」
「でもさ、あんな風に女の子を助けてくれる男の子っていないと思うんだよねぇ~。しかもそれがアタシのためとか……嬉しくなっちゃうっていうかさぁ~」
「別に大したことはしていない」
「またまたぁ~、照れなくてもいいんだよぉ~♪」
「……あと5分店を出るのが遅かったら、店長と取り巻き達に襲われる所だったんだぞ!それなのにヘラヘラしやがって……!」
「うん。だから助かったよ。ありがとね」
「っ……!」
「顔赤いけど大丈夫?熱あるんじゃない?」
そう言いながら、顔を近づけてくる白濱カレン。
彼女の吐息が俺の顔にかかる。
「ちょ、近い!離れろ!」
俺は慌てて彼女から離れる。
「ごめんねぇ~、つい癖でぇ~」
「はぁ……お前ってやつは」
「あははっ、怒っちゃヤダァ~」
「はぁ……疲れる」
こうして昼休みは終わりを告げた。
午後の授業が終わると同時に俺は帰宅しようと教室を出た。
「おい、ちょっと待てよ」
すると、後ろから誰かに声をかけられた。
「ん?俺に何か用か?」
「ああ、少し話があるんだがいいか?」
振り返ると、そこに立っていたのは白濱ファンクラブ会長だった。
「断っても無駄なんだろうな……」
「当たり前だ。とりあえず着いてこい」
俺は白濱ファンクラブ会長の後について行き、人気のない場所へと移動した。
「ここならいいだろう。早速だが聞かせてもらうぞ」
「なんの話だ?」
「とぼけるな!お前と白濱さんのことだ!お前と白濱さんの関係は一体なんなんだ!」
「ただのクラスメイトだと言っているだろう」
「そんなはずはない!だってあの時お前が助けたのは――」
その時、白濱ファンクラブ会長の背後から声がかかった。
「あれぇ~?こんなところに呼び出すなんて、もしかして告白かなぁ~?」
「えっ!?白濱さん!?」
そう。現れたのは白濱カレンだったのだ。
「おい白濱さん。今は大事な話をしてるんだ。後にしてくれないか?」
「だーめ。だって今アタシが話しかけてるのはこの人だもん」
「はぁ?何を言っているんだ?」
すると白濱カレンは俺の腕に抱きついてくる。
「ほら、見てこれ。これが証拠だよ」
「そ、それは……!」
「そう。佐々木っちは私の彼氏だから、昨日も佐々木っちの家でお泊まりだし、これからデートするんだよねぇ~♪」
「嘘……だろ……!?」
白濱ファンクラブ会長は膝から崩れ落ちるように倒れてしまった。
「あっ、気絶しちゃった……」
「そりゃそうだろ……。というか離せ」
「はぁ~い」
そう言うと彼女は素直に俺から離れた。
「それで?どうして白濱ファンクラブ会長がここにいるんだ?」
「それはこっちのセリフなんだけど……。アタシが放課後になってすぐに帰ろうとしたら、彼が待ち伏せしてたんだよ。それで色々聞こうと思ったわけ」
「なるほどな。それで、お前と白濱ファンクラブ会長の関係についてはどうなったんだ?」
「ん~……正直よくわからないんだよねぇ~。昨日までは普通に接してくれていたから、何か理由があるんじゃないかと思ってさぁ」
「ふむ。とりあえず事情を聞きたいところだが、こいつの場合は昨日もストーキングしてたんじゃないのか?」
「多分ね。昨日アタシが絡まれた時に、近くに隠れているのを見たから」
「となると、しばらくは目を覚まさないだろうな……」
「じゃあ、このまま放置しておくしかないねぇ~……」
「仕方ないな。それで、今日はどこに行くつもりなんだ?」
「佐々木っちの家♪」
「却下」
「ぶぅ~!アタシはもう決めたんだからぁ~!」
「はぁ……好きにしていいよ。その代わり、あまり変なことはするな」
「はぁ~い」
こうして俺は白濱カレンを連れて自宅へ帰ることにした。
帰る途中スマホがなり確認すると警察だった。確認の為に電話をする。
「はいもしもし」
『こんにちわ、警察の者ですが』
「何かありましたか?」
『実はですね、昨日の件なのですが不審者を無事逮捕することが出来ましたので、ご協力感謝いたします』
「あぁ、そうですか。良かったですね」
『はい。それでは失礼致しました』
「いえこちらこそ」
俺は電話を切り、白濱カレンの方を見る。
「何でニヤけてるんだ?」
「ううん!何でもないよぉ~♪」
「気持ち悪い奴だな……」
こうして俺は白濱カレンと一緒に家へと帰った。
「お邪魔しまぁ~す」
白濱カレンを家に上げる。リビングで彼女を待たせておいて、俺は自室へと向かった。
そして着替えて部屋を出ると、そこにはソファの上でだらけている姿の白濱カレンがいた。
「おまたせ」
「おっ、ようやく来たねぇ~。待ちくたびれたよぉ~」
「悪かったって。それで?何かしたいことでもあるのか?」
「ん~っとねぇ~……」
白濱カレンは少し考えるような仕草をした。
「とりあえずお腹減ったからご飯を作って食べたいなぁ~」
「わかった。適当にって作るのか?」
「佐々木っちも一緒にね~♬♡」
「はいはいわかりましたよ……」
「やったぁ~!それじゃあさっそくキッチンに行こ!」
俺達はキッチンへ移動した。
「ところで、料理はできるのか?」
「全然できないけど?」
「やっぱりな。まぁいいや、俺がやるからって、ちょっとくっつき過ぎだ」
白濱の顔が俺に近ずいてくる。
「だってこうした方が効率良いじゃん?」
「確かにそうかもしれないが、これは流石にまずいだろ……」
「えぇ~?アタシは気にしないのにぃ~?」
「俺が気になるんだ。とにかく離れてくれ」
「はぁ~い……」
渋々と言った様子で白濱は離れた。
(全く……油断も隙もあったもんじゃない……)
そんなことを思いながら、俺は夕飯を作り始めた。
「ねぇねぇ、今日の献立は何にするの~?」
「今日は肉じゃがにしようと思っている」
「おぉ~!美味しそう!」
「お前の口に合うといいんだがな……」
「大丈夫だって!アタシの味覚は佐々木っちと似てると思うし」
「はいはい」
「もうっ!信じてないなぁ~?」
「別にそういう訳じゃないさ。それより、そろそろ出来るから皿とか用意してくれないか?」
「はぁ~い」白濱は食器棚から人数分の箸と茶碗を取り出した。
それから数分後、完成した。
「出来たぞ」
「待ってましたぁ~!」
「それじゃあ食べるとするか」
「うん!いただきます」
「召し上がれ」
俺と白濱は食事を始めた。
「ん~!この味付けアタシ好みだよぉ~!凄いね佐々木っち」
「それは良かったよ。それで、何か聞きたいことはあるのか?」
「そうだねぇ~……。あ!そういえば昨日アタシを助けてくれた時さぁ……」
「あぁ……」
俺はあの時のことを思い出していた。
◆
玄関のドアの前に居た白濱を直ぐに部屋に入れ、少し前に知り合った刑事にアパート周辺にやばい不審者がいるから注意しろと言われていたことを伝えると、彼女は納得してくれた。
そのあと、俺は白濱から色々と質問を受けた。
「アタシが聞いた話だと、最近ここら辺で変な男を見かけたって話を聞いたんだけど、それって本当なのかなぁ?」
「あぁ。実際に見たわけじゃないが、噂によるとそうらしい」
「そうなんだ……でもどうしてアタシのことをつけてたんだろう?」
「わからない。ただ、俺が思うにストーカーという可能性はあると思う」
「やっぱりそうかなぁ~……」
「一応警察に通報しておいた方がいいんじゃないか?」
「それに関しては、しているし」
「そうか」
「ねぇ?佐々木っちは何か心当たりはないの?」
「あるにはあるけど、この前店で騒いでた店長の知り合い、アイツらが一番怪しいよな」
「あっ、わかる気がする~!」
「後は、白濱が抜けすぎ」
俺の言葉を聞き頬を膨らまし上目遣いに
「私そんなに抜けてないもん!」
「拗ねるなって。冗談だ」
「むぅ~!今度言ったら怒るからね!」
「わかったよ。それにしても、こんな時間までいていいのか?」
時刻は既に夜の10時過ぎだった。
「うん。親には友達の家に泊まるって言ってあるから」
「何処に?まさか俺の家とは言わないよな?」
「それはもちろん」
「おい……」
「あっ、心配しないで。ちゃんと帰るつもりだから週1で!」
「ちょい待て、住むき満々?」
「もちろん!」
「はぁー……。まぁいいや。とりあえず風呂に入ってこいよ。着替えは貸すから」
「ありがと~♪」
白濱は嬉しそうにお礼を言うと、浴室へと向かっていった。
(はぁ~……どうなる、地味に侵略されてるな俺って.......
「……なにがだ?」
「ほらぁ~、アタシのために怒ってくれたじゃん?あれ嬉しかったよぉ~♪」
そう言って、俺の腕に絡みつく白濱カレン。
「でもさぁ~、あの時は助かったけど、あそこまでしなくても良かったんだよねぇ~。だって佐々木っち、まだ学生でしょ?アタシなんかよりもっと守るべきものがあるんじゃないのかなぁ~って」
「別に……」
「それにぃ~、あんまり目立っちゃうとマズいんじゃない?だってアタシたちって、ただのお友達だしぃ~」
「…………」
「だからさぁ~、もうあんなことしない方がいいと思うんだよね。特に女の子には優しくしないとダメだよぉ~。佐々木っちモテるみたいだしぃ~」
「……余計なお世話だ。お前こそ自分の心配をした方が良さそうだぞ。周りをよく見てみろ」
「えっ?それどういう意味―――あっ!」
「やっと気付いたようだな。
俺達の周りには今、白濱ファンクラブの会員たちが囲んでいるということを。」
「こいつ……!白濱さんと仲がいいからって調子に乗りやがって!!」
「おい!お前ちょっと、今日は仔猫を連れて来て目立ちやがって、羨ましすぎる」
「くそ!なんでこんな冴えない奴が白濱さんと仲良くしてんだよ!」
「ぶっ殺せぇ!!(怒)」
「「「「おー!!!」」」」
「ちょ、ちょっと待てみんな!?これは誤解なんだ!佐々木っちもなんとか言ってよ!」
「……」
「無言で目を逸らすなぁ!!!」
そんな感じで白濱ファンを敵に回した俺は、その後も白濱カレンと一緒に登校する羽目になった。
そして昼休み……。
「ねえねえ、佐々木っち。一緒にご飯食べようよぉ~♪」
そう言いながら弁当箱を持って俺の席まで来る白濱カレン。
「断る。というかなぜ毎日のように俺のところに来るんだ?」
「だってぇ~、せっかくできた友達を見捨てたりできないじゃ~ん♪」
「誰が友達だ!勝手に決めるな!」
「なら、恋人?」
「もっとありえないわ!!」
「ふぅ~ん。まっ、いっかぁ~」
そう言うと、白濱カレンは自分の席に戻っていった。
「あいつ、何考えてんだろうな……」
そんなことを呟きつつ、俺は教室を出た。
するとそこには、白濱ファンクラブ会員Aがいた。
「どうした?俺に何か用でもあるのか?」
「いや……その……お前に聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「お前って、白濱さんとはどういう関係なんだ?」
「ただのクラスメイトだが……」
「嘘つけ!だったらなんで朝一緒に学校に来てたんだよ!」
「それは……色々あったんだよ」
「ふざけんな!お前みたいな地味男が白濱さんと釣り合うわけないだろうが!」
「……確かにそうだな。お前の方が似合ってるんじゃないか?白濱ファンクラブの会長さん」
「なっ!?なんでそれを……!?」
「俺に喧嘩を売ってきた連中の中にいたからな。それで?結局お前は何を言いに来たんだ?」
「ぐぬぬ……!もういい!この野郎!!」
そう言って走り去って行く白濱ファンクラブ会長。
「けっ……くだらない」
その後、俺が屋上に行くとすでに白濱カレンの姿があった。
「おっす」
「おっすじゃないよ!佐々木っちのせいで大変なことになったじゃん!」
「自業自得だと思うが」
「もう知らない!それよりさぁ~、アタシのことカレンって呼んでもいいんだよぉ~♪」
「呼ばない」
「ぶぅ~……まあいっか。ところでさ、昨日のアレってなに?なんか、いきなりキレちゃったけど……」
「……お前はもう少し自分の身を案じろ。ただでさえ目立つ存在なんだからな」
「でもさ、あんな風に女の子を助けてくれる男の子っていないと思うんだよねぇ~。しかもそれがアタシのためとか……嬉しくなっちゃうっていうかさぁ~」
「別に大したことはしていない」
「またまたぁ~、照れなくてもいいんだよぉ~♪」
「……あと5分店を出るのが遅かったら、店長と取り巻き達に襲われる所だったんだぞ!それなのにヘラヘラしやがって……!」
「うん。だから助かったよ。ありがとね」
「っ……!」
「顔赤いけど大丈夫?熱あるんじゃない?」
そう言いながら、顔を近づけてくる白濱カレン。
彼女の吐息が俺の顔にかかる。
「ちょ、近い!離れろ!」
俺は慌てて彼女から離れる。
「ごめんねぇ~、つい癖でぇ~」
「はぁ……お前ってやつは」
「あははっ、怒っちゃヤダァ~」
「はぁ……疲れる」
こうして昼休みは終わりを告げた。
午後の授業が終わると同時に俺は帰宅しようと教室を出た。
「おい、ちょっと待てよ」
すると、後ろから誰かに声をかけられた。
「ん?俺に何か用か?」
「ああ、少し話があるんだがいいか?」
振り返ると、そこに立っていたのは白濱ファンクラブ会長だった。
「断っても無駄なんだろうな……」
「当たり前だ。とりあえず着いてこい」
俺は白濱ファンクラブ会長の後について行き、人気のない場所へと移動した。
「ここならいいだろう。早速だが聞かせてもらうぞ」
「なんの話だ?」
「とぼけるな!お前と白濱さんのことだ!お前と白濱さんの関係は一体なんなんだ!」
「ただのクラスメイトだと言っているだろう」
「そんなはずはない!だってあの時お前が助けたのは――」
その時、白濱ファンクラブ会長の背後から声がかかった。
「あれぇ~?こんなところに呼び出すなんて、もしかして告白かなぁ~?」
「えっ!?白濱さん!?」
そう。現れたのは白濱カレンだったのだ。
「おい白濱さん。今は大事な話をしてるんだ。後にしてくれないか?」
「だーめ。だって今アタシが話しかけてるのはこの人だもん」
「はぁ?何を言っているんだ?」
すると白濱カレンは俺の腕に抱きついてくる。
「ほら、見てこれ。これが証拠だよ」
「そ、それは……!」
「そう。佐々木っちは私の彼氏だから、昨日も佐々木っちの家でお泊まりだし、これからデートするんだよねぇ~♪」
「嘘……だろ……!?」
白濱ファンクラブ会長は膝から崩れ落ちるように倒れてしまった。
「あっ、気絶しちゃった……」
「そりゃそうだろ……。というか離せ」
「はぁ~い」
そう言うと彼女は素直に俺から離れた。
「それで?どうして白濱ファンクラブ会長がここにいるんだ?」
「それはこっちのセリフなんだけど……。アタシが放課後になってすぐに帰ろうとしたら、彼が待ち伏せしてたんだよ。それで色々聞こうと思ったわけ」
「なるほどな。それで、お前と白濱ファンクラブ会長の関係についてはどうなったんだ?」
「ん~……正直よくわからないんだよねぇ~。昨日までは普通に接してくれていたから、何か理由があるんじゃないかと思ってさぁ」
「ふむ。とりあえず事情を聞きたいところだが、こいつの場合は昨日もストーキングしてたんじゃないのか?」
「多分ね。昨日アタシが絡まれた時に、近くに隠れているのを見たから」
「となると、しばらくは目を覚まさないだろうな……」
「じゃあ、このまま放置しておくしかないねぇ~……」
「仕方ないな。それで、今日はどこに行くつもりなんだ?」
「佐々木っちの家♪」
「却下」
「ぶぅ~!アタシはもう決めたんだからぁ~!」
「はぁ……好きにしていいよ。その代わり、あまり変なことはするな」
「はぁ~い」
こうして俺は白濱カレンを連れて自宅へ帰ることにした。
帰る途中スマホがなり確認すると警察だった。確認の為に電話をする。
「はいもしもし」
『こんにちわ、警察の者ですが』
「何かありましたか?」
『実はですね、昨日の件なのですが不審者を無事逮捕することが出来ましたので、ご協力感謝いたします』
「あぁ、そうですか。良かったですね」
『はい。それでは失礼致しました』
「いえこちらこそ」
俺は電話を切り、白濱カレンの方を見る。
「何でニヤけてるんだ?」
「ううん!何でもないよぉ~♪」
「気持ち悪い奴だな……」
こうして俺は白濱カレンと一緒に家へと帰った。
「お邪魔しまぁ~す」
白濱カレンを家に上げる。リビングで彼女を待たせておいて、俺は自室へと向かった。
そして着替えて部屋を出ると、そこにはソファの上でだらけている姿の白濱カレンがいた。
「おまたせ」
「おっ、ようやく来たねぇ~。待ちくたびれたよぉ~」
「悪かったって。それで?何かしたいことでもあるのか?」
「ん~っとねぇ~……」
白濱カレンは少し考えるような仕草をした。
「とりあえずお腹減ったからご飯を作って食べたいなぁ~」
「わかった。適当にって作るのか?」
「佐々木っちも一緒にね~♬♡」
「はいはいわかりましたよ……」
「やったぁ~!それじゃあさっそくキッチンに行こ!」
俺達はキッチンへ移動した。
「ところで、料理はできるのか?」
「全然できないけど?」
「やっぱりな。まぁいいや、俺がやるからって、ちょっとくっつき過ぎだ」
白濱の顔が俺に近ずいてくる。
「だってこうした方が効率良いじゃん?」
「確かにそうかもしれないが、これは流石にまずいだろ……」
「えぇ~?アタシは気にしないのにぃ~?」
「俺が気になるんだ。とにかく離れてくれ」
「はぁ~い……」
渋々と言った様子で白濱は離れた。
(全く……油断も隙もあったもんじゃない……)
そんなことを思いながら、俺は夕飯を作り始めた。
「ねぇねぇ、今日の献立は何にするの~?」
「今日は肉じゃがにしようと思っている」
「おぉ~!美味しそう!」
「お前の口に合うといいんだがな……」
「大丈夫だって!アタシの味覚は佐々木っちと似てると思うし」
「はいはい」
「もうっ!信じてないなぁ~?」
「別にそういう訳じゃないさ。それより、そろそろ出来るから皿とか用意してくれないか?」
「はぁ~い」白濱は食器棚から人数分の箸と茶碗を取り出した。
それから数分後、完成した。
「出来たぞ」
「待ってましたぁ~!」
「それじゃあ食べるとするか」
「うん!いただきます」
「召し上がれ」
俺と白濱は食事を始めた。
「ん~!この味付けアタシ好みだよぉ~!凄いね佐々木っち」
「それは良かったよ。それで、何か聞きたいことはあるのか?」
「そうだねぇ~……。あ!そういえば昨日アタシを助けてくれた時さぁ……」
「あぁ……」
俺はあの時のことを思い出していた。
◆
玄関のドアの前に居た白濱を直ぐに部屋に入れ、少し前に知り合った刑事にアパート周辺にやばい不審者がいるから注意しろと言われていたことを伝えると、彼女は納得してくれた。
そのあと、俺は白濱から色々と質問を受けた。
「アタシが聞いた話だと、最近ここら辺で変な男を見かけたって話を聞いたんだけど、それって本当なのかなぁ?」
「あぁ。実際に見たわけじゃないが、噂によるとそうらしい」
「そうなんだ……でもどうしてアタシのことをつけてたんだろう?」
「わからない。ただ、俺が思うにストーカーという可能性はあると思う」
「やっぱりそうかなぁ~……」
「一応警察に通報しておいた方がいいんじゃないか?」
「それに関しては、しているし」
「そうか」
「ねぇ?佐々木っちは何か心当たりはないの?」
「あるにはあるけど、この前店で騒いでた店長の知り合い、アイツらが一番怪しいよな」
「あっ、わかる気がする~!」
「後は、白濱が抜けすぎ」
俺の言葉を聞き頬を膨らまし上目遣いに
「私そんなに抜けてないもん!」
「拗ねるなって。冗談だ」
「むぅ~!今度言ったら怒るからね!」
「わかったよ。それにしても、こんな時間までいていいのか?」
時刻は既に夜の10時過ぎだった。
「うん。親には友達の家に泊まるって言ってあるから」
「何処に?まさか俺の家とは言わないよな?」
「それはもちろん」
「おい……」
「あっ、心配しないで。ちゃんと帰るつもりだから週1で!」
「ちょい待て、住むき満々?」
「もちろん!」
「はぁー……。まぁいいや。とりあえず風呂に入ってこいよ。着替えは貸すから」
「ありがと~♪」
白濱は嬉しそうにお礼を言うと、浴室へと向かっていった。
(はぁ~……どうなる、地味に侵略されてるな俺って.......
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