【番外編ちょくちょく更新中】女子力ゼロの11歳が異世界で貴族に拾われ、令嬢になりました。

番外編Ⅱ 心温と魔法勝負!?

いざ、魔法勝負

　「そんなことはどうでもいいの！　さっそくだけど――和泉心温。あなたに魔法勝負を申し込むわ」
ええっ!?　魔法勝負？
まず何それ？
「それって何？　あと、おつかい頼まれてるから――」
「それならすぐさま買って渡しなさい。そうしたらここに戻ってくること」
あっさり……。
これを理由に断ろうとしたのに……。
分かりました……。
　「【ワープ】」
【ワープ】で戻ってくると、
「さあ、腕につかまりなさい」
と声をかけられた。
腕につかまる？　あ、【ワープ】は体にくっつけば一緒に移動できるんだっけ。
あたしは言われるがまま、ヴァイオレットちゃんの細くて白い腕につかまる。
「【ワープ】‼」
　ん？　ここどこ？
地面はテニスコートみたいで。ネットとか無いけど……。
「ここが試合会場よ。あなたの右下に置いてあるベルトに着いた風船を壊した方が勝ち。あなたがベルトを着けたらスタートよ」
ん？　ベルト？
あ、本当だ。
下にベルトが置いてある。
「【ウェアリング】」
下に置いてあったベルトが、あたしの腰にまかれる。
ヴァイオレットちゃんが目を見開いた気がしたけど、気のせいかな。
「スタート！」
ヴァイオレットちゃんの合図で呪文を放つ体制を取る。
先手必勝！　たぶん。
「【ウォーターアロー】」
「【バリア】」
あたしが水の矢を放つと、ヴァイオレットちゃんの出した半円のバリアに止められる。
でも、これも想定内……。
水の矢を放っている方とは逆の左手も出し、人差し指をクイッとこちら側に動かす。
そうすると――あらかじめ後ろに用意してあった・・・・・・・・・・【ウォーターアロー】がヴァイオレットちゃんめがけて発進。
細いそれは、バリアとヴァイオレットちゃんの腰のすき間に入り――風船を破壊する。
割れた音を聞いて、
「やったー！」
あたしは歓喜の声を上げる。
作戦成功だあ！
「……やっぱり魔法は得意なようね。次は魔法兵器を使っての対決よ」