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1章 聖女の意味を知らない国王についていく気はありませんので!

王主催パーティー③

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 「待たせたな。完了だ」
男らしい声がしたと思うと――お父様の私室からお父様が出てきた。(当然)
髪型はいつも通り。
でも服装は気合が入ってるよう。
黒いトレンチコートを開けて着て、シャツが見えているわね。そこに同じ黒のズボンにブーツ。
貴族らしい……。
気合入ってるわね。まあ、入ってないとおかしいのだけれど……。
 「できたわよ~」
お母様の私室からお母様が出てきた。(当然)
 私と同じプリンセスラインドレスで、花柄の水色のドレス。
腰からは上と同じ柄の布が垂れており、あとはレースになっている。
エドワーディアン風の水色の、ふちにレースがついている帽子。
「玉座の間葉で待ち合わせとのことなので、〖テレポーテーション瞬間移動〗で行きましょう」
そう告げ、一家で手をつなぎ――呪文を唱えた。
 「おお! 来たね! どんどん楽しんでね!」
目の前には、満面の笑みを浮かべる陛下。
まわりには、円形のテーブルと料理。
人は――陛下と私達だけ。
私達だけだったかしら……?
 周りを見渡して私は、やっと気づいた。
あら? 玉座の間に行こうと呪文を唱えたのに……会場に来てしまったようだわ。
テレポーテーション瞬間移動〗は、行ったことのある所しか行けないはず。
つまり、行ったことがあるわけ?
この凄く広い部屋は、見覚えが無いわ。
玉座の間と同じくらい広いけど、無いはずの窓があるから、玉座の間ではないけれど。
「おはようございます、陛下。いきなり悪いのですが、ここはどちらでしょうか……?」
いきなり聞いて迷惑がかかると思い、怒られるのは嫌という気持ちが全面に出た、しどろもどろな聞き方になってしまう。
私の言葉を聞くと、綺麗な顔が一瞬でいたずらっ子の笑みになる。
 まるで、なにかいたずらを仕掛けて、誰かが引っかかったみたいに――
 「やったー、気付かれなかった! アンジュ、ここは玉座の間だよ」
陛下は「ドッキリ大成功!」と言わんばかりに声を上げた。子供みたいに。
 ティラー伯爵家、あぜん。
え"っ……?
で、でも、窓がある……。
「パーティー会場にするために、魔法で窓を作ったんだよ」
は、はあ……。
玉座の間と気づかせないために、魔法で窓を作るって……。
魔法の目的、変わってません?
 玉座の間をパーティー会場にするって陛下、子供らしい一面があるんですね。
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