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プロローグ
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チョークが黒板の上を走る音がする。
黒板には数学の問題がずらり。
はー、退屈。六時間目早く終わってくれないかなあ。
終われば家に帰って小説読めるのに……。
学校やだ!!
小説だけ読んでどこにも行かず生活したい……。
***
ふー、やっと学校終わった……。
さて私は超ダッシュで帰る!!
毎日、小説を求めて走ってたら足が早くなったんだよね。
これが一石二鳥ってやつ!?
「ただいまっ!」
玄関で立ち止まることもなく、ただいまと言いながら自分の部屋に移動。
立ち止まってる時間も惜しい!
ランドセルを乱暴に部屋に放り投げて洗面所に移動。
昨日、「ランドセルは丁寧に扱いなさい!!」ってお母さんに言われたけど、別にいいや。
ランドセルなんて、中学生になったら使わないでしょ? あと一年弱位使えればいい……。
って、あれ? なんか後ろから気配を感じる……。
き、気の所為かな。
でも、感じるのは、殺意……。
恐る恐る、振り返ると……。
そこには、仁王立ちしたお母さんが!!
「ランドセルは丁寧に扱いなさいって言ったでしょ!!!」
「わああ、ごめんなさ~い!!」
ああ……怒られて小説読む時間が減っちゃう!
でも、前にそんなこと言ったら、プラス一時間くらい説教が追加されたからなあ……。
素直に聞くしかないや……。
「はあ~やっと至福の時間……」
私はいま、部屋に寝転がって読書中。
この時間が一番好き!
というか、読書に勝ることを発見したことないか。
さて、次の本を読むかな。隣に置いてあった、買ったばかりの小説を手に取る。
なんていう題名だったかな。
『小説以外何もいらない。そんな私が天使になってゲームみたいに悪魔と戦闘中。』
あれ? こんな題名だったっけ?
まあいいか! 面白ければ何でもいいの。
私が本を開くと。
ピカッ!!
あたりが白い光に覆われて。
なにこれ、眩しい! どうなってるの!?
本って、開くと光るものだっけ?
いや、そんなはずないよね。
「やっと会えましたね」
ふと聞こえた、女の人の綺麗な声。
お母さんじゃない。
というか、お母さんな訳がない。
だって、お母さんとはさっき会ったばかりだもん――。
光が消えると、目の前には女の人が、音もなく立っていた。
綺麗な黄緑色の腰まである長い髪に、ペリドットの様な黄緑色の綺麗な瞳。
着ている白いワンピースには金色の糸で、植物や太陽の刺繍が施されている。
ワンピースの胸元の宝石みたいな石からはベールが伸びていて……よく見たら翼が左右に三つずつ、合計六つ生えている!?
って、この人の容姿を描写してる場合じゃなかった。
誰、この人。翼はえてるけど、コスプレイヤー??
てか、勝手に人の家に上がるな!
そもそも、扉に鍵はかけたはずなのに……。
まさか、鍵を閉めてなかった? それで入ってきた泥棒?
私のせい? 叱られる……!
お金盗られたくないー! 小説の買い過ぎでおこづかいピンチなんだから……!
そう考えていると、その女の人がクスリと笑った。
「ふふふ、泥棒ではないですよ」
え、心を読まれた!?
たしか、心を読める妖怪がいたなあ……覚だっけ。
この人、いったい何なの?
「私は覚や妖怪ではありません。私はシェルジアーヌ――光の女神です」
は? 光の女神? 本気で言ってる?
「あなたにエンジェル・カントリーを救う力があると見込み、やってきました」
エンジェル・カントリー?
安直過ぎない? 訳したら「天使の国」でしょ。
小説でそんなに安直な国の名前、見たことないよ。
「ふふふ。そうやってすぐツッコミを入れるところも、情報通りです」
情報通り? じゃあこの人情報屋?
そもそも、今時情報屋なんているのか?
「情報屋ではないですけれど、あなたのことなら何でも知っていますよ」
ええっ!? 怖っ!
情報漏洩!? なんか怪しいサイトにログインしたっけ?
でも、せっかく個人情報情報を手に入れたのに、わざわざ私に伝えに来るわけないし……。
とりあえず、何でも知っているという私の情報を言ってみてもらおうか。
「ふふふ……。風間レイ11歳。桜丘小学校に通う、小学6年生。小説だけ読んでどこにも行かず生活したいという小説オタク。最近の悩みはお母さんによく叱られて小説を読む時間が減ること。友達はなし!」
あのう、大声で言わないでくださいますか……。なんか恥ずかしいです……。
しかし……むう……こんなにも私のことを知っているとは……何故?
「それでは、エンジェル・カントリーへLet's go!」
え? あの、急過ぎ……。
エンジェル・カントリーに行くってまだ一言も言ってないし……。
「そもそも、私があなたを選んだ時点でこうなることは決まっていたのよ。不可避の未来……運命とでも言うべきかしら。運命からは逃れられないわよ」
なかなかにかっこいい言い回しをされていますが、要するに諦めろって事でしょ!?
あの、女神様なら、私の意見も尊重するべきでは?
女神様って、慈悲深くて、人間のあるべき姿みたいなイメージあるし。
すると突然、目の前が真っ白に。
「移動中はこうなるので慣れてくださいね~」
あれ、もしかして私は誘拐されてるのに等しいのでは!?
お母さん、私がなかなか戻らなかったら心配すると思うけど!?
助けてー!!
しぇるじあーぬさんだっけ? 私、行きたくないです!!
黒板には数学の問題がずらり。
はー、退屈。六時間目早く終わってくれないかなあ。
終われば家に帰って小説読めるのに……。
学校やだ!!
小説だけ読んでどこにも行かず生活したい……。
***
ふー、やっと学校終わった……。
さて私は超ダッシュで帰る!!
毎日、小説を求めて走ってたら足が早くなったんだよね。
これが一石二鳥ってやつ!?
「ただいまっ!」
玄関で立ち止まることもなく、ただいまと言いながら自分の部屋に移動。
立ち止まってる時間も惜しい!
ランドセルを乱暴に部屋に放り投げて洗面所に移動。
昨日、「ランドセルは丁寧に扱いなさい!!」ってお母さんに言われたけど、別にいいや。
ランドセルなんて、中学生になったら使わないでしょ? あと一年弱位使えればいい……。
って、あれ? なんか後ろから気配を感じる……。
き、気の所為かな。
でも、感じるのは、殺意……。
恐る恐る、振り返ると……。
そこには、仁王立ちしたお母さんが!!
「ランドセルは丁寧に扱いなさいって言ったでしょ!!!」
「わああ、ごめんなさ~い!!」
ああ……怒られて小説読む時間が減っちゃう!
でも、前にそんなこと言ったら、プラス一時間くらい説教が追加されたからなあ……。
素直に聞くしかないや……。
「はあ~やっと至福の時間……」
私はいま、部屋に寝転がって読書中。
この時間が一番好き!
というか、読書に勝ることを発見したことないか。
さて、次の本を読むかな。隣に置いてあった、買ったばかりの小説を手に取る。
なんていう題名だったかな。
『小説以外何もいらない。そんな私が天使になってゲームみたいに悪魔と戦闘中。』
あれ? こんな題名だったっけ?
まあいいか! 面白ければ何でもいいの。
私が本を開くと。
ピカッ!!
あたりが白い光に覆われて。
なにこれ、眩しい! どうなってるの!?
本って、開くと光るものだっけ?
いや、そんなはずないよね。
「やっと会えましたね」
ふと聞こえた、女の人の綺麗な声。
お母さんじゃない。
というか、お母さんな訳がない。
だって、お母さんとはさっき会ったばかりだもん――。
光が消えると、目の前には女の人が、音もなく立っていた。
綺麗な黄緑色の腰まである長い髪に、ペリドットの様な黄緑色の綺麗な瞳。
着ている白いワンピースには金色の糸で、植物や太陽の刺繍が施されている。
ワンピースの胸元の宝石みたいな石からはベールが伸びていて……よく見たら翼が左右に三つずつ、合計六つ生えている!?
って、この人の容姿を描写してる場合じゃなかった。
誰、この人。翼はえてるけど、コスプレイヤー??
てか、勝手に人の家に上がるな!
そもそも、扉に鍵はかけたはずなのに……。
まさか、鍵を閉めてなかった? それで入ってきた泥棒?
私のせい? 叱られる……!
お金盗られたくないー! 小説の買い過ぎでおこづかいピンチなんだから……!
そう考えていると、その女の人がクスリと笑った。
「ふふふ、泥棒ではないですよ」
え、心を読まれた!?
たしか、心を読める妖怪がいたなあ……覚だっけ。
この人、いったい何なの?
「私は覚や妖怪ではありません。私はシェルジアーヌ――光の女神です」
は? 光の女神? 本気で言ってる?
「あなたにエンジェル・カントリーを救う力があると見込み、やってきました」
エンジェル・カントリー?
安直過ぎない? 訳したら「天使の国」でしょ。
小説でそんなに安直な国の名前、見たことないよ。
「ふふふ。そうやってすぐツッコミを入れるところも、情報通りです」
情報通り? じゃあこの人情報屋?
そもそも、今時情報屋なんているのか?
「情報屋ではないですけれど、あなたのことなら何でも知っていますよ」
ええっ!? 怖っ!
情報漏洩!? なんか怪しいサイトにログインしたっけ?
でも、せっかく個人情報情報を手に入れたのに、わざわざ私に伝えに来るわけないし……。
とりあえず、何でも知っているという私の情報を言ってみてもらおうか。
「ふふふ……。風間レイ11歳。桜丘小学校に通う、小学6年生。小説だけ読んでどこにも行かず生活したいという小説オタク。最近の悩みはお母さんによく叱られて小説を読む時間が減ること。友達はなし!」
あのう、大声で言わないでくださいますか……。なんか恥ずかしいです……。
しかし……むう……こんなにも私のことを知っているとは……何故?
「それでは、エンジェル・カントリーへLet's go!」
え? あの、急過ぎ……。
エンジェル・カントリーに行くってまだ一言も言ってないし……。
「そもそも、私があなたを選んだ時点でこうなることは決まっていたのよ。不可避の未来……運命とでも言うべきかしら。運命からは逃れられないわよ」
なかなかにかっこいい言い回しをされていますが、要するに諦めろって事でしょ!?
あの、女神様なら、私の意見も尊重するべきでは?
女神様って、慈悲深くて、人間のあるべき姿みたいなイメージあるし。
すると突然、目の前が真っ白に。
「移動中はこうなるので慣れてくださいね~」
あれ、もしかして私は誘拐されてるのに等しいのでは!?
お母さん、私がなかなか戻らなかったら心配すると思うけど!?
助けてー!!
しぇるじあーぬさんだっけ? 私、行きたくないです!!
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