夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ

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第2章

第8話『影の残したもの』

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 夜の戦いが終わり、朝の陽が動物園を包んでいた。
 シマウマたちは穏やかに草を食み、ロイは静かに目を閉じ、檻の奥でゆっくりと体を休めている。

「……やっと、終わったんだね。」

 えまはロイの眠る姿を見つめながら、安堵の息をついた。

「……でも、邪悪な影が現れた理由がまだわからないわ。」

 透子が深く考え込む。

「……そもそも、あの封印がなぜあそこにあったのか……。」

「プレートの封印が壊れたら、"何か"が解き放たれる……」

「……プレートの下にあった骨、あれが関係しているのかな?」

 えまの視線は、檻の奥に残された小さな骨に向けられた。

「……もっと、動物園の記録を調べてみたほうがよさそうね。」


 ---

 ◆【動物園の古い記録室】

「この奥が、記録保管室です。」

 園長の案内で、えまと透子は動物園の資料室へと足を踏み入れた。
 薄暗く、古びた木の棚には、埃をかぶった資料がずらりと並んでいる。

「……この辺りの資料が昔の動物園の記録ですね。」

 えまが手に取った一冊の古びたノート。
 そこには、こんな記述があった。


 ---

『昭和43年、シマウマ1頭の失踪事件が発生。
 付近で奇妙な足跡が見つかるも、原因は不明。
 翌日、飼育員が「白い虎の姿を見た」と報告。
 翌週、動物園内で謎の火災が発生し、シマウマの姿は発見されなかった。』




 ---

「……白い虎?」

「ロイじゃないわよね?」

「……いえ、この記録の年、ロイはまだ生まれていません。」

「じゃあ、ロイの仲間……?」

 えまは次のページをめくった。


 ---

『火災現場の跡地から、シマウマと見られる動物の遺骨が発見される。
 しかし、奇妙なことに、遺骨の近くには虎の足跡が残されていた。』




 ---

「虎の足跡……ロイの檻にあったのと同じ?」

「……それにしても、虎が火災現場にいたなんておかしいわ。」

 透子が眉をひそめる。

「もしかすると……あの“守護者の霊”は、その虎だったのかも。」

「……守護者が、シマウマを守ってた?」

「ええ、たぶん。」


 ---

 ◆【隠された真相】

「ここ、見てください。」

 透子がもう1冊の資料を手にした。


 ---

『昭和43年に死亡した虎の記録。
 名前は「レオン」。
 シマウマの檻の隣で飼育され、群れの子供を気にかけていたという。
 飼育員たちは「レオンは、シマウマを守ろうとしていた」と語っていた。』




 ---

「……シマウマを守る虎……?」

「そのレオンが、火災の中でシマウマを救おうとして……」

「……でも結局、レオンもシマウマも……」

 えまの声が震える。

「だから……"それ"はずっとロイのそばにいて、仲間を守ろうとしていたんだ。」


 ---

 ◆【“邪悪な影”の正体】

「……でも、邪悪な影は何?」

 透子が疑問を口にしたその時。

「もしかして……火災の原因じゃないですか?」

 えまが静かに言った。

「え?」

「“邪悪な影”は火災の時に……シマウマとレオンを襲ったものかもしれません。」

「……もしそうなら、邪悪な影はシマウマを狙ったんじゃなくて、守護者そのものを狙ってたんじゃない?」

「……そうか。」

 えまはロイの檻に目を向けた。

「だからロイが、守るべき存在として選ばれたんだ……。」


 ---

 ◆【動物たちの絆】

 えまと透子は、ロイの檻の前に立った。

「……ロイ、もう大丈夫だよ。」

 えまが優しく声をかけると、ロイは静かに目を開け、のんびりとした目でえまを見つめた。

「グルル……」



 まるで「任務が終わった」とでも言うように、ロイは安心したように身を丸めた。

「……きっと、レオンも今は安心してるね。」

 えまがそっと呟くと、檻の奥の闇がふっと揺れたように見えた。

 それは、まるで「ありがとう」と言っているかのように──。


 ---

 ◆【次回予告】

 第9話『ロイの休息』
 ・長い戦いを終えたロイに訪れる“ある出会い”とは?
 ・動物園の日常が戻り、えまと透子が知る「動物たちの新たな絆」とは?
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