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第4話 渚のダイダラぼっち その2

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比呂乃はふと思いついたことを口にした。
「私、あの日のきわこさんに嫉妬してたのかしら?」
「そう。一瞬芽生えた感情を、模倣という形で昇華したかったのかもしれないわね。」
ふたりは困ったわけでもないけれど頬杖をして黙り込んだとき、
「それでよっかんだよ。」
と、ケンちゃんの声がした。
桜の木の下から、突然ケンちゃんとHIROが現れた。

「ケンちゃん!」
比呂乃は泣き出しそうになった。
「どったのよー。ずっといたよー。」
ケンちゃんはいつもの調子で受け止めてくれている。
「そうね、そうなのよね。」
比呂乃はあふれだした涙をぬぐいもせず、皆の手を握り、腕をさすり、存在を確かめていった。
そうしていると電燈の灯りが遠のき、辺りがぼんやり広がって、宙に浮かんでいるような感覚に囚われた。

「ここは?」比呂乃が尋ねると、
「また忘れたのね。」
「護持の元町だよ」
と声が聞こえた。

貴和子「嫉妬が嫉妬を招くから…」
ケンちゃん「そう、そういうこと。それを感じたくなかったんだよね。」
ひろ「嫉妬やおそれの感情に支配されると、その感情に追いかけられるように、同じ波動のものを引き寄せて支配され続けてしまう。」
貴和子「それ込みで四次元というものですもの。」
ケンちゃん「貴和ちゃんは、「心の貝合わせ」でそれを書いたんだろ?」
貴和子「そうよ。想い出の湖畔にある、あの日の心の浜辺に貝殻を並べてみたつもりだった。そしたらきっと気づくだろうって。」
比呂乃「結果的に成功したってわけ?参るわね。
でも本当にみんなに会えて嬉しい。今日はたくさんお話ししましょう。まずは乾杯ね!」
ケンちゃん「アタシ、お酒は苦手だわ。」ケンちゃんが皆を笑わせてくれて、
比呂乃は心底思った。
「久しぶりに聞いたー!ケンちゃんのオネエ言葉、超ホッコリする。」
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