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第1話 こぶしの花におかえりなさい その4

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しばらく後、
「ねえ、子供の頃の話をしましょうよ♪」比呂乃は提案した。その言葉を皮切りに、話がどんどん広がっていった。

…休み時間って何してた?
お手玉?
私、ゴム飛びよ。
ねえ、あのアイドル好きだった?
私もよ。
なにになりたかったの?
素敵!
得意だったことはなんだった?
素敵ね…。

「ねえ、鼓笛隊ってあったでしょ。
私ね、ベルリラがしたかったのよ。でもあれって、お金持ちの子か頭がいい子か綺麗な子がするって、一人で決め込んでてさ。
だから、私ベルリラを諦めて、ピアニカに立候補したのよ。でも体が少し大きかったから、全体の話し合いでシンバルになっちゃったの。結局やって本当に良かったんだけどね。
ベルリラからシンバルよ、見た目が違うじゃん!少女の私からしたら一大事よ!あの頃の自分には違和感あったわー。」と二人で笑った。
「麻ちゃんは?」
「私、指揮者。指揮者が各クラス1名ずついるんだけど、さらにその中の指揮者。」
「へー、すごい!」
「それがさ、すべてのマーチ演奏が終わると行進も止まるでしょ。その後、最後の見せ場としてね。」
「うん。」
「指揮者がね。」
「うんうん。」
「指揮棒を後ろにポーンと投げるの。」
「えっ?」
「それを後ろの下級生がさっと受け止めるのよ。」
「えーっ!」
「嘘みたいでしょ?でもホントなの。
こうやって後ろにポーンと投げて。
下級生が、さっと受け取る。」
「ブーケトスみたい!」
「おかしいよね。」
「おかしいわよ。」
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