バー木蓮 比呂乃ママと一杯いかが?

くうちゃん

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第3部 木蓮 チャクラとレインボーカラー

第3部 第5話 黄色いチャクラ ピクニック 前半

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 こんな陽気だから、ピクニックに行かないはずがない。私はおむすびを竹の皮で包み、バナナと一緒にバスケットに入れた。思ったより早く準備が整って、さらに上機嫌になった。

 今日は、「木蓮」のお客様と三人でピクニックに出かける日だ。木蓮はわたし比呂乃が営業しているカフェバーである。

 ピクニックと言っても、店のある曙橋から歩いて30分もかからない新宿御苑でお弁当を広げて団欒するという、ゆるゆるした企画である。こんな穏やかな日は、のんびりしましょうよ。

 雨なら店で宴会ねと話していたけれど、晴れて良かった。こんな上天気に中止かどうか迷う人はいないから、朝から特に連絡も取り合う必要もなく、安心して弁当作りができた。

 出発時間に近づきケンちゃんが、約束通り店まで来てくれて、荷物を分担し御苑まで来た。残る一人、順子とは苑内で適宜待ち合わせとしている。

 苑内では、グループやカップル、家族連れが、思い思いの場所にシートを広げ、晩秋の暖かい陽射しを愉しんでいた。

 紅葉が一葉ずつ枝を離れ、風にのり、宙を緩やかに舞っている。
 芝生は緑が枯れ始めて乾いており、歩くとフワフワして良いクッションだ。ところどころで、カサコソと足元で落ち葉が音がたて、踏みしめると豊かな柔らかさを伝えてくれる。母親に連れられた子供が夢中で、落ち葉の感触を楽しみ、キャッキャッと声を上げている。

 それぞれのグループが広げるシートの上にには、グループの個性あふれるランチが広げられている。

「うちのもすごいんですのよ。」

 私は気取って独りごち、遊んだ。今日の為に、ケンちゃんが事業所と相談して、新米を格安で提供してくれたので、梅干しと昆布のおむすびを作ってきた。
(ぐふふ、新米食べたいと甘えた甲斐があったわ。)

 そのおむすびを昔の味わいを出すために、竹の皮でくるんだ。竹の皮は、わざわざ百貨店で10枚800円を出して買ってきたものだ。割り勘だから迷ったんだけれど。これはひと昔前なら、自然の中からそのまま頂けていたわけで、そういう意味で、あの頃はとても豊かだったということになる。

 割り勘でなく、店の経費で買うとしたら結構考えるよね。私だって経営者のはしくれだもの、意外と原価は気にしてる。「木蓮」はちゃんと根っこ張ってないとね。今、私上手いこと言ったよね。

 おむすびだけでなく、卵焼きと沢庵を添えた。楽道楽の私としては、簡単で楽しくがいい。おやつにはやっぱりバナナを持ってきた。
 御苑で合流した順子が持ってきてくれたのと重なった。でも、これは全く想定内!

順子「お疲れー!バナナはおやつに入りますかー?」

私「あはは。やっぱり持ってくるよね。おやつと言ったらバナナでしょ。」

ケン「バナナと言ったら黄色!」
(突然始める?)

順子「黄色と言ったら、パイナップル!」
(そしてノル?)

ケン「パイナップルと言ったら、ペンパイナポ…」
(二人して踊るなー!私まで踊りたくなる笑)

 初対面なのに二人はいきなりすんなり打ち解けてくれて、小学校の同級生のようだ。

順子「ケンちゃんて、面白い人ね。人気者だったでしょう?」

ケン「いやいや臆病な子だった。思春期に胃潰瘍になったくらい!」

順子「えっ!そうなんだ。
まあ、男の子は胃腸系弱い子、結構居るのよね。」


 順子は夜勤明けの体でパワフルだ。
 私はケンちゃんに
「この子は蛍なの。」と笑いながら話した。
 順子がプールで赤いキャップをかぶるを見て、名付けたのだと冷やかした。

順子「だからー、蛍はお尻が赤いんでしょうが。」

ケン「違うよ。お尻は黄色とか黄緑に光るよ。」

順子「えっ!」

比呂乃「ほら、やっぱり首のところが赤いのよ。」

順子「あらやだ。うっそ!」

順子の周りはいつも賑やかだ。
私は、順子こそ人気者だっただろうなと思った。

 お天道様の光を一杯に浴び、暖かさをひとしきり味わって、おしゃべりしていたら、お腹が空いてきた。

 みんな、子どものように、お腹がすくと不機嫌になってしまうから、食事の時間となった。

順子「すんごく美味しいわ。」

私「ね。ケンちゃんのお米。」

ケン「事業所で仲間が作った稲だよ。」

順子「ありがとね。」

ケン「こちらこそ有難いよ。仲間と作ったお米を、人様に美味しいといって食べて貰えてさ。ほんと有難いよ。」

  後半につづく
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