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ラスト・コンテクスト Part2
プリマキナ・オルソグナス(12)
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カップは樹々の破片の中から掘り起こされた。
何とか上体を立て、杖を構える。
「待て待て! あんたボロボロだぞ!」
レインスがカップを制止しようとするが、カップは止まらなかった。
「いえ! 見てください、アレも動こうとしています」
カップは見もせずに、杖に集中しながら言った。
だが、その場の全員に“アレ”のコトはわかった。
蜘蛛の方を向くと、一時的に停止したように先程までは見えていたソレが、ゆっくりと動きだしている。
「今しかないんです」
その科白は、カップ自身に対し放たれているように聞こえた。
レインスと同じように声をかけようとしたオクルスの肩に、ララが手を乗せる。
そして、耳元に口を近づけ言った。
「オクルスさん、彼女の話し方、気づかれましたか」
オクルスはそう言われ、口を結んだ。
カップのどもりが無くなっている。
「今は、集中させてあげましょう」
ジュディもララに賛成した。
カップは杖に小声で語りかけていた詠唱を完了した。
「(Schüttelt die schwere Last ab und steigt auf!)」
青い波動がカップを中心に勢いよく広がる。
一瞬置いて、周囲の樹々が地面から2~3メートルの高さに浮かび上がった。
その下に埋もれていた人々と一緒に。
仲間たちは皆、多かれ少なかれ怪我をしていたが、気を取り戻しつつある者から出血が酷い者まで様々だった。
「レインス! ヤバそうな人から助けるぞ!」
「ええ!」
「ララさん、私が空中から受け止めるから、順番に手当てを!」
「わかりました、ジュディさん!」
まず一番、状態が悪かったのはブレーズだった。
小さな身体のドレスは、ほとんどが赤く染まっている。
「まだ呼吸はしてる。でも胸部からの出血がかなり多いわ。レインスさん、ココを押さえて。オクルスさん、治療道具は持ってる?」
「ああ! 今、展開する」
「ララさんはオクルスさんが道具を展開したら、ブレーズさんに必要な物以外を持って、私の所に来て。私は次の人の所へ向かうわ」
「わかりました!」
ジュディは次にメイの下へ走った。
メイは頭部から血を流しており、その血が地面にポタポタと落ちている。
だが近くまで行くと、メイは声を発した。
「ダメ。私じゃあない」
メイは手を動かし、指し示す。
「……アサヒ君の方がマズいわ。あの子、最後に心を読んだときには息ができなくなっていた」
「わかったわ。でも、とりあえず貴女を下ろす」
ジュディはメイを受け止めて地面に横たえた。
「ララさん! メイさんがココにいるから、頭部の出血を止めてあげて! 私はアサヒ君の所へ向かう」
「はい!」
◇◇◇
「なあ……なあ。おい、おーい」
宙に浮いたまま、意識を取り戻したツヅキが呼びかけていた。
相手はカップだ。
ツヅキは比較的、カップに近い位置にいた。
カップは目を閉じて杖に集中したままだ。
「……なるほど。悪い、そのまま聞いてくれ。オレだけ落としてもらっていいか? 俺の方向や周囲には誰もいないから、この声のする方向は割と広めに魔術の範囲から解放してもらって大丈夫だ」
ツヅキは地面に落下した。
「痛ってぇ……。でも、恩に着るよ、カップ。コレで一人分、いや半人前かな、救護班が増えた」
「……私も、集中していてすみません。……ソチラを解放したお陰で、魔力消費を少し抑えられてます」
話しながら皆を助けに向かおうとしていたツヅキに、カップが詠唱を挿みながらも返した。
お互い背を向けあっていたが、返ってくるとは思わなかったカップの声に、ツヅキは奮い立った。
そしてその気配を感じたカップも、気を新たに強くした。
何とか上体を立て、杖を構える。
「待て待て! あんたボロボロだぞ!」
レインスがカップを制止しようとするが、カップは止まらなかった。
「いえ! 見てください、アレも動こうとしています」
カップは見もせずに、杖に集中しながら言った。
だが、その場の全員に“アレ”のコトはわかった。
蜘蛛の方を向くと、一時的に停止したように先程までは見えていたソレが、ゆっくりと動きだしている。
「今しかないんです」
その科白は、カップ自身に対し放たれているように聞こえた。
レインスと同じように声をかけようとしたオクルスの肩に、ララが手を乗せる。
そして、耳元に口を近づけ言った。
「オクルスさん、彼女の話し方、気づかれましたか」
オクルスはそう言われ、口を結んだ。
カップのどもりが無くなっている。
「今は、集中させてあげましょう」
ジュディもララに賛成した。
カップは杖に小声で語りかけていた詠唱を完了した。
「(Schüttelt die schwere Last ab und steigt auf!)」
青い波動がカップを中心に勢いよく広がる。
一瞬置いて、周囲の樹々が地面から2~3メートルの高さに浮かび上がった。
その下に埋もれていた人々と一緒に。
仲間たちは皆、多かれ少なかれ怪我をしていたが、気を取り戻しつつある者から出血が酷い者まで様々だった。
「レインス! ヤバそうな人から助けるぞ!」
「ええ!」
「ララさん、私が空中から受け止めるから、順番に手当てを!」
「わかりました、ジュディさん!」
まず一番、状態が悪かったのはブレーズだった。
小さな身体のドレスは、ほとんどが赤く染まっている。
「まだ呼吸はしてる。でも胸部からの出血がかなり多いわ。レインスさん、ココを押さえて。オクルスさん、治療道具は持ってる?」
「ああ! 今、展開する」
「ララさんはオクルスさんが道具を展開したら、ブレーズさんに必要な物以外を持って、私の所に来て。私は次の人の所へ向かうわ」
「わかりました!」
ジュディは次にメイの下へ走った。
メイは頭部から血を流しており、その血が地面にポタポタと落ちている。
だが近くまで行くと、メイは声を発した。
「ダメ。私じゃあない」
メイは手を動かし、指し示す。
「……アサヒ君の方がマズいわ。あの子、最後に心を読んだときには息ができなくなっていた」
「わかったわ。でも、とりあえず貴女を下ろす」
ジュディはメイを受け止めて地面に横たえた。
「ララさん! メイさんがココにいるから、頭部の出血を止めてあげて! 私はアサヒ君の所へ向かう」
「はい!」
◇◇◇
「なあ……なあ。おい、おーい」
宙に浮いたまま、意識を取り戻したツヅキが呼びかけていた。
相手はカップだ。
ツヅキは比較的、カップに近い位置にいた。
カップは目を閉じて杖に集中したままだ。
「……なるほど。悪い、そのまま聞いてくれ。オレだけ落としてもらっていいか? 俺の方向や周囲には誰もいないから、この声のする方向は割と広めに魔術の範囲から解放してもらって大丈夫だ」
ツヅキは地面に落下した。
「痛ってぇ……。でも、恩に着るよ、カップ。コレで一人分、いや半人前かな、救護班が増えた」
「……私も、集中していてすみません。……ソチラを解放したお陰で、魔力消費を少し抑えられてます」
話しながら皆を助けに向かおうとしていたツヅキに、カップが詠唱を挿みながらも返した。
お互い背を向けあっていたが、返ってくるとは思わなかったカップの声に、ツヅキは奮い立った。
そしてその気配を感じたカップも、気を新たに強くした。
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