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ラスト・コンテクスト Part2

プリマキナ・オルソグナス(10)

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デル・ゾーネの一行は防御魔法を展開した。
手負いのウィーと、童仙のもとへ向かっていたカップは後方から、それぞれ透明の壁と重力波を発生させる。
その前方で、メイは強力な風圧を相手に向けていた。

U.J.Iの二人――ムサシは“蜘蛛”の複眼を目がけて二丁の銃撃を行い、フランシスは脚の関節部に成人男性の頭よりも少し大きなサイズの岩を投擲していた。

ムサシの銃撃は複眼を破壊していたが、ソレらはすぐに再生する。
しかし絶えず破壊するコトで、敵の視界を妨害はできていたようだった。
その証拠に敵は蜘蛛の頭部を動かし弾丸の雨を避けようとするが、ムサシの弾幕はソレを許さない。

フランシスの投擲はその頭部よりも激しく動く脚部のため、なかなか命中はしなかったが、徐々にそのエイムは正確になってきていた。
超高性能頭脳がそのフィードバックした計算結果を、人間の肉体へと素早く電気信号を介して伝達する。
何投擲めかの一撃が、蜘蛛の左前脚の第一関節にヒットした。

「入った!」

フランシスが力強く命中を宣言する。
蜘蛛はバランスを崩し、大きく左脚側に傾いた。
右中脚などは地面から離れつつある。

「コケろッ……!」

ツヅキが願う。
しかし地面を滑りながらも蜘蛛は一瞬体勢だけを静止して、左前脚を引きずり右中脚は掲げたまま、云わばその二本への対応を放棄して疾走を続けようとした。

「させるか。ね、ブレーズちゃん」

ブレーズはミサトにコクリと頷くと、その“声”を発した。
超高密度に圧縮された音波が、音速で敵へと向かう。
一直線に、その掲げられた右中脚に向かって。

音波が炸裂する。
敵は再度バランスを崩し、更に大きく掲げることになった右中脚にその巨体を引っ張られた。
右後ろ脚も地面を離れる。

もはや相手には転倒するか、姿勢を保つために右前脚とその他の脚部で静止するしかないように見えた。

しかし次の瞬間、相手は右中脚を自ら“捨てた”。
分離され、その衝撃のみを慣性の力で一人抱え、回転しながら右中脚が吹っ飛んでいく。

「ウソだろ……!?」

ムサシが言う。
敵はむしろ身体を軽くし、より加速した。
バランスの崩れはあるが、その速度を弱めるコトはない。

「アレが機械の動きですか……?」

皆の後方でアサヒに支えられて何とか座っている童仙が呟く。
その直後、敵はウィーの透明の壁に激突し、そして皆のいる森へと激突した。
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