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ラスト・コンテクスト Part2
プリマキナ・オルソグナス(9)
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「童仙さん!」
カップとブレーズ、アサヒが童仙の落下した方へと走っていった。
「くそっ! だがとにかく、俺たちの内ほとんどは森まで到達したぞ! おーい急げ!」
フランシスが広場の中央、まだコチラに向かって走ってきている途中のジュディとヴェルメロス一行に叫ぶ。
その向こうで“蜘蛛”は、遠藤とカオルに相対しながらも、何かコレまでにない体勢を取りつつあった。
「あ……マズいかも」
ツヅキは真っ先に、ソレを見てポツリと呟いた。
◇◇◇
カオルは吹き飛ばされた童仙の名を呼び、振り向いたままの状態だった。
遠藤は相手から目を離すコトなく、しかし背後のカオルに言う。
「カオルちゃん、とりあえずだが、ミサイルも迎撃したコトだし僕の武器だけではアレに対抗できそうにない。僕らもどの方向でもいいが、森の中にもう逃げるべきじゃああるまいか」
「そ、そうですね。賛成。賛成です」
カオルが前を向き直す。
目の前の巨体が、前脚を伸ばして後ろ足を曲げ始めた。
(「えっと、何て言うんだっけコレ。この猫みたいなポーズ、ヨガで……。あ、そのまんま『猫のポーズ』だ」)
そのような状況ではないが、そんなコトがカオルの脳裏によぎった。
次の瞬間には、風が強く吹き、蜘蛛の姿はなかった。
「え? ……え!?」
カオルが一瞬前の記憶を呼び戻す。
ソレが戻ってくる前に、遠藤は今の記憶を反芻していた。
蜘蛛は自分たちを飛び越えていった。
遠藤とカオルが最後に見たのは、遥か頭上の蜘蛛の腹のみだった。
◇◇◇
蜘蛛から見て右方向真横の森の縁にいたノワール、龍之介、カトリーヌはその姿をまともに見ていた。
「ちょっとちょっと……アレはマズいんじゃあないですかねぇ……!」
カトリーヌの声にも、いつもの余裕はない。
ノワールと龍之介は固唾を呑んでその光景を見つめるしかなかった。
◇◇◇
森へと走っているヴェルメロスの一行とジュディは、前方で待ち受ける皆の顔色が変わるのを見た。
「どうした?」
思わずオクルスが走りながら言う。
次の瞬間、突風が背後から吹き抜けた。
一瞬、空も暗くなる。
「何!?」
レインスは疑問を呈しながら振り向く。
ララも続いた。
後方にいたはずの蜘蛛がいない。
慌てて前方を向き直した。
◇◇◇
視界の中の蜘蛛がどんどん大きくなってくる。
森の中にいた大勢は、その現実感のない光景から目が覚めるまで少しの間を要した。
そしてソレは、彼らの次の一手を遅らせるのに充分だった。
巨大な蜘蛛が、自らの六本脚の角度を獣の走る時のソレのように変えて突っ込んでくる。
あと数秒で。
「ミサトさん! アサヒくんも聞こえるか! 全員に『50℃弾』だッ!」
「防御ができる人は全員防御魔法を! ソレ以外の人は攻撃して!」
ツヅキとメイが叫ぶ。
皆はそれぞれの役割に急いだ。
敵は自らの最高速度に到達し、森ごと皆に激突する態勢を取った。
カップとブレーズ、アサヒが童仙の落下した方へと走っていった。
「くそっ! だがとにかく、俺たちの内ほとんどは森まで到達したぞ! おーい急げ!」
フランシスが広場の中央、まだコチラに向かって走ってきている途中のジュディとヴェルメロス一行に叫ぶ。
その向こうで“蜘蛛”は、遠藤とカオルに相対しながらも、何かコレまでにない体勢を取りつつあった。
「あ……マズいかも」
ツヅキは真っ先に、ソレを見てポツリと呟いた。
◇◇◇
カオルは吹き飛ばされた童仙の名を呼び、振り向いたままの状態だった。
遠藤は相手から目を離すコトなく、しかし背後のカオルに言う。
「カオルちゃん、とりあえずだが、ミサイルも迎撃したコトだし僕の武器だけではアレに対抗できそうにない。僕らもどの方向でもいいが、森の中にもう逃げるべきじゃああるまいか」
「そ、そうですね。賛成。賛成です」
カオルが前を向き直す。
目の前の巨体が、前脚を伸ばして後ろ足を曲げ始めた。
(「えっと、何て言うんだっけコレ。この猫みたいなポーズ、ヨガで……。あ、そのまんま『猫のポーズ』だ」)
そのような状況ではないが、そんなコトがカオルの脳裏によぎった。
次の瞬間には、風が強く吹き、蜘蛛の姿はなかった。
「え? ……え!?」
カオルが一瞬前の記憶を呼び戻す。
ソレが戻ってくる前に、遠藤は今の記憶を反芻していた。
蜘蛛は自分たちを飛び越えていった。
遠藤とカオルが最後に見たのは、遥か頭上の蜘蛛の腹のみだった。
◇◇◇
蜘蛛から見て右方向真横の森の縁にいたノワール、龍之介、カトリーヌはその姿をまともに見ていた。
「ちょっとちょっと……アレはマズいんじゃあないですかねぇ……!」
カトリーヌの声にも、いつもの余裕はない。
ノワールと龍之介は固唾を呑んでその光景を見つめるしかなかった。
◇◇◇
森へと走っているヴェルメロスの一行とジュディは、前方で待ち受ける皆の顔色が変わるのを見た。
「どうした?」
思わずオクルスが走りながら言う。
次の瞬間、突風が背後から吹き抜けた。
一瞬、空も暗くなる。
「何!?」
レインスは疑問を呈しながら振り向く。
ララも続いた。
後方にいたはずの蜘蛛がいない。
慌てて前方を向き直した。
◇◇◇
視界の中の蜘蛛がどんどん大きくなってくる。
森の中にいた大勢は、その現実感のない光景から目が覚めるまで少しの間を要した。
そしてソレは、彼らの次の一手を遅らせるのに充分だった。
巨大な蜘蛛が、自らの六本脚の角度を獣の走る時のソレのように変えて突っ込んでくる。
あと数秒で。
「ミサトさん! アサヒくんも聞こえるか! 全員に『50℃弾』だッ!」
「防御ができる人は全員防御魔法を! ソレ以外の人は攻撃して!」
ツヅキとメイが叫ぶ。
皆はそれぞれの役割に急いだ。
敵は自らの最高速度に到達し、森ごと皆に激突する態勢を取った。
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