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ラスト・コンテクスト Part2
プリマキナ・オルソグナス(8)
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「龍之介殿……!」
ミサイルを龍之介よりも一手早く無力化していた童仙は、龍之介の一部始終を見ていたが、カトリーヌとノワールの動きによって少し安心するコトができた。
そして改めて、前方の敵に向き直す。
「カオル殿! 『50℃』でお願いいたします」
「はっ!? 『50℃』!? ……了解です!」
カオルが童仙に『温度弾』を撃ち込む。
童仙は蜘蛛の左前脚に正対して構えた。
蜘蛛がその脚部を大きく持ち上げる。
童仙を踏みつぶそうとする動きだった。
「童仙さん!」
思わずカオルが叫ぶ。
蜘蛛の足が勢いよく叩きつけられ、その風圧で土煙が舞い上がった。
童仙が一時的に見えなくなる。
遠藤も思わず息を吞んだ。
土煙はすぐに晴れ始めた。
童仙は蜘蛛の足の下で、片膝をついていた。
だが押し潰されてはいなかった。
自らの刀を杖のように下に向け、両の手は柄を握り締めている。
刀は地面と蜘蛛の足裏を結ぶ柱のように立ち、微動だにしなかった。
童仙の怪力と魔力が『100℃弾』で更に強化されているコトと、硬い大地が、一人の人間に巨脚を支えさせるコトを可能とせしめたのだった。
童仙は息を吸い込み、力を蓄え、そして放った。
足の裏からその姿が消える。
地面との接触をようやく許された脚は、先程よりも大きな土煙を唸りと共に舞い上げた。
その重みから脱した童仙は、前足先を切りつけると、そのまま脚を昇った。
斬撃を加えながらその脚の頂上まで達する。
周囲の人間からは、その行為は土煙の中で行われ見えず、厚い金属板を切り裂く音だけが聞こえた。
童仙が煙の上へと姿を現すと、一瞬遅れて刀戟の風圧が土煙を吹き飛ばした。
皆の目にもソレが見えた。
蜘蛛の右前脚の装甲が全て、切り裂かれ剝がれ落ちた。
「いやいや、ソレは凄すぎるだろう童仙殿……!」
遠藤が思わず言う。
森へと走っていたレインスも、振り返って声を上げた。
「おい! チャンスじゃあないか!? 今なら私のライフルで脚部の駆動部を撃ち抜けるかもしれない!」
童仙も落下しながら、脚部の関節を次は狙うつもりだった。
だが
蜘蛛との戦闘最初に、その“目”が破壊しても戻ったように、落下した装甲板が戻り始めた。
特に関節部は素早く、その他の部分は外側になればなるほど緩やかに戻っていく。
森の中にいたミサトが疑問を発する。
「アレも“廃都”とやらのオーバーテクノロジー? 無敵じゃん」
ムサシが答える。
「ダメージに対し自己修復・組織化するナノテクノロジーか、もしくは“廃都”自体の『時間が逆流する性質』を利用したモノかもしれん……。チッ、こんなコトならじっくりあの資料を見とくんだったぜ」
「で、でもじゃあどうすれば」
カップが言い終わる前に、鈍く高い衝撃音が場に響いた。
皆が発生源を向く。
童仙が、再生しつつある脚に、落下途中で膝蹴りを食らっていた。
自らとの間に刀の刀身を挟んだモノの、童仙は龍之介のように吹き飛ばされる。
童仙はヴェルメロス一行とジュディの上空を、空を切る音と共に通過すると、皆のいる森の方向へと等速直線運動を続けさせられた。
「マズい! メイ、いけるか!?」
「防御系の魔法はどっちかというと得意じゃあないけどっ……!」
童仙にメイが杖を振る。
強力な風が童仙に放たれ、その勢いを弱めた。
童仙は樹々の上部の枝々に当たりつつも、ようやく停止した。
森の一行の後ろで、童仙が地面に落ちる音が聞こえた。
ミサイルを龍之介よりも一手早く無力化していた童仙は、龍之介の一部始終を見ていたが、カトリーヌとノワールの動きによって少し安心するコトができた。
そして改めて、前方の敵に向き直す。
「カオル殿! 『50℃』でお願いいたします」
「はっ!? 『50℃』!? ……了解です!」
カオルが童仙に『温度弾』を撃ち込む。
童仙は蜘蛛の左前脚に正対して構えた。
蜘蛛がその脚部を大きく持ち上げる。
童仙を踏みつぶそうとする動きだった。
「童仙さん!」
思わずカオルが叫ぶ。
蜘蛛の足が勢いよく叩きつけられ、その風圧で土煙が舞い上がった。
童仙が一時的に見えなくなる。
遠藤も思わず息を吞んだ。
土煙はすぐに晴れ始めた。
童仙は蜘蛛の足の下で、片膝をついていた。
だが押し潰されてはいなかった。
自らの刀を杖のように下に向け、両の手は柄を握り締めている。
刀は地面と蜘蛛の足裏を結ぶ柱のように立ち、微動だにしなかった。
童仙の怪力と魔力が『100℃弾』で更に強化されているコトと、硬い大地が、一人の人間に巨脚を支えさせるコトを可能とせしめたのだった。
童仙は息を吸い込み、力を蓄え、そして放った。
足の裏からその姿が消える。
地面との接触をようやく許された脚は、先程よりも大きな土煙を唸りと共に舞い上げた。
その重みから脱した童仙は、前足先を切りつけると、そのまま脚を昇った。
斬撃を加えながらその脚の頂上まで達する。
周囲の人間からは、その行為は土煙の中で行われ見えず、厚い金属板を切り裂く音だけが聞こえた。
童仙が煙の上へと姿を現すと、一瞬遅れて刀戟の風圧が土煙を吹き飛ばした。
皆の目にもソレが見えた。
蜘蛛の右前脚の装甲が全て、切り裂かれ剝がれ落ちた。
「いやいや、ソレは凄すぎるだろう童仙殿……!」
遠藤が思わず言う。
森へと走っていたレインスも、振り返って声を上げた。
「おい! チャンスじゃあないか!? 今なら私のライフルで脚部の駆動部を撃ち抜けるかもしれない!」
童仙も落下しながら、脚部の関節を次は狙うつもりだった。
だが
蜘蛛との戦闘最初に、その“目”が破壊しても戻ったように、落下した装甲板が戻り始めた。
特に関節部は素早く、その他の部分は外側になればなるほど緩やかに戻っていく。
森の中にいたミサトが疑問を発する。
「アレも“廃都”とやらのオーバーテクノロジー? 無敵じゃん」
ムサシが答える。
「ダメージに対し自己修復・組織化するナノテクノロジーか、もしくは“廃都”自体の『時間が逆流する性質』を利用したモノかもしれん……。チッ、こんなコトならじっくりあの資料を見とくんだったぜ」
「で、でもじゃあどうすれば」
カップが言い終わる前に、鈍く高い衝撃音が場に響いた。
皆が発生源を向く。
童仙が、再生しつつある脚に、落下途中で膝蹴りを食らっていた。
自らとの間に刀の刀身を挟んだモノの、童仙は龍之介のように吹き飛ばされる。
童仙はヴェルメロス一行とジュディの上空を、空を切る音と共に通過すると、皆のいる森の方向へと等速直線運動を続けさせられた。
「マズい! メイ、いけるか!?」
「防御系の魔法はどっちかというと得意じゃあないけどっ……!」
童仙にメイが杖を振る。
強力な風が童仙に放たれ、その勢いを弱めた。
童仙は樹々の上部の枝々に当たりつつも、ようやく停止した。
森の一行の後ろで、童仙が地面に落ちる音が聞こえた。
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