カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

文字の大きさ
上 下
264 / 287
ラスト・コンテクスト Part2

プリマキナ・オルソグナス(6)

しおりを挟む
「多分だが……生体に偽装されているからかもしれん」

ムサシの推測に、ツヅキが聞き返す。

「フランシスさんが、言ってしまえばサイボーグの一種だからか? 機械が本体ではあるけれど、ほとんどが生体組織という意味で?」

「ああ。そのような偽装技術が、かつてU.J.Iとキャピタル間で起きた戦いで使われたと聞いた気がする」

「誰から聞いたんだそんな高尚な知識。っつーか人のコトを指して偽装って」

「裏の仕事してりゃあ、そういう“偽装”技術は価値のあるモンなんだよ。わかるだろ?」

横やりを入れてきたフランシスに、ムサシが一部ワードを強調して答えた。
ツヅキがメイに問う。

「なんかないのか? 機械を生体に偽装するような魔術」

「そんな都合良いモノあるワケないでしょ、と言いたいトコロだけれど、あるわ。ただ、私には使えない」

「どうして?」

「私にも使えない魔術くらいあるのよ。こう見えて天才だけれど、まだまだ発展途上だから」

「なるほどね。とにかく、そろそろ森に到着する。態勢を立て直そう」


◇◇◇


目の前の南山城国勢の剣技・舞闘に、ヴェルメロスの一行は目を釘づけにされていた。

「やっぱりスゲえな……」

「ああ。戦おうとしてたんだぜオレたち」

アルマージュの呟きに、オクルスが答える。

「坊やたち、大人の闘いに見とれる気持ちはわかるけれど、私たちに“飛び道具”が使えないなら、今のトコロは森にやはり逃げるべきだわ。南山城国の彼らもそのために戻ってきてくれたはず」

ジュディが皆を現実に戻す。
目が引っ張られるものの、少年たちは踵を返した。

そして走りながら、ララがレインスに問いかける。

「……レインスさん、アレ、私たちもう見たコトある気がしませんか?」

「やっぱりララさんもそう思う? だよね」

「お、気づいたか」

オクルスが会話に入る。
アルマージュも続いた。

「なんだ? どうした?」

「お前は気づいてないみたいだな……レーザーは一番見てると思うんだが」

「あの機械について、何か知ってるのかしら?」

「ああ、ジュディさん。オレたちは北方のヴェルメロス本国から暗黒山脈まで飛んできたが、その道中で妙なモノを見たり、話に聞いたりしたんだ」

「妙なモノ?」

「森の中を巨人の連隊が歩いてるっつー話だの、あとオレたちが見たモノとしては、闇夜に放たれた赤いレーザーだ。多分、アイツの姿だったんだと思う」

「なるほど。キミたちは初対面ではないワケね」

「どうやらそうみたいだ。かと言って何か特別、手があるワケでもないんだが」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

処理中です...