262 / 287
ラスト・コンテクスト Part2
プリマキナ・オルソグナス(4)
しおりを挟む
「ソレでは、殲滅戦の開始ですな」
メストールがそう言うと、全員が踵を返して走りだした。
ツヅキが走りながらメイに話しかける。
「コレ(とりあえず逃げる)で良かったのか?」
「貴方、私の心読みに頼りすぎてない? 答えはイエスよ。まず、ヤツらの一番の狙いは所有権者の貴方。ソレに」
「ソレに、アレと戦うにしてもこんな広場では不利でしょうしね」
「そういうコト」
ツヅキの、メイと反対側の隣を走っていたノワールが、メイの言葉の先を言う。
広場の中心から彼らは、森に向かって走っていた。
森との境界線には、ウィーとアルマージュがいる。
「ウィー、何とか立ち上がれはするみたいだな。良かった」
「でも、妙な顔してますね。横の、アルマージュさんも」
メイの横に並んで走っているアサヒが言った。
メイとツヅキが答える。
「確かに。『ちょっと待て』って困惑してるわね」
「ああ、ソレは心を読まなくてもわかるよ」
背後で轟音が響いた。
首を回して見ると、“蜘蛛”が立ち上がり、雄叫びを上げているのがわかった。
そして、その背中から何かが射出された。
追尾ミサイルだ。
「クソッ。森まで逃げられるか?」
ミサトが呟く。
そしてどうやらその答えはノーだった。
「俺たちに任せろ!」
オクルス、レインス、ララが立ち止まり振り返る。
そして飛行装置“アズール”の始動部を掴んだ。
「ああいうデカブツには空中戦だ!」
「坊やたちだけには任せておけないわね」
ジュディも三人の前に進む。
「私も、“一部だけなら”飛べるわ」
「心強いよお姉さん!」
レインスが言う。
皆が迫りくるミサイルにそれぞれ身構えた。が
何も動かない。
ララの疑問が口にでた。
「あ、アレ……?」
ジュディも、自らの身体が分離できなかった。
一部始終を見ていたムサシが何かに気づく。
「さっきの、ヤツの“青い波紋”といい、もしかして……。やっぱりそうなのか!? おいお前ら、機械類は多分しばらく動かせねえぞ! 戻れ!」
ムサシは、臨戦態勢のままの四人に呼びかける。
だが、ミサイルは無情にももう近すぎた。
「では、私たちが殿を務めた方が良さそうですね」
童仙がそう言い、南山城国の面々が勢いよく四人のもとに戻る。
そして、抜刀の構えに入った。
遠藤も口を開く。
「幸い、僕の銃も刀ほどじゃあないけど、機械と言うには単純すぎるからね」
「私の“急須”もソレは同じですよ。遠藤さんは中央、童仙さんと龍之介くんはそれぞれ右と左ですかね?」
「ええ、『90℃弾』でいきましょう。コレは私より龍之介殿の方が遥かに得意そうです」
「そんなコトはありませんよ」
龍之介は優しく微笑みながら遠慮気味にそう言ったが、その微かに見える瞳と刀に添えられた手は、静かな戦闘意欲を剥きだしにしつつあった。
メストールがそう言うと、全員が踵を返して走りだした。
ツヅキが走りながらメイに話しかける。
「コレ(とりあえず逃げる)で良かったのか?」
「貴方、私の心読みに頼りすぎてない? 答えはイエスよ。まず、ヤツらの一番の狙いは所有権者の貴方。ソレに」
「ソレに、アレと戦うにしてもこんな広場では不利でしょうしね」
「そういうコト」
ツヅキの、メイと反対側の隣を走っていたノワールが、メイの言葉の先を言う。
広場の中心から彼らは、森に向かって走っていた。
森との境界線には、ウィーとアルマージュがいる。
「ウィー、何とか立ち上がれはするみたいだな。良かった」
「でも、妙な顔してますね。横の、アルマージュさんも」
メイの横に並んで走っているアサヒが言った。
メイとツヅキが答える。
「確かに。『ちょっと待て』って困惑してるわね」
「ああ、ソレは心を読まなくてもわかるよ」
背後で轟音が響いた。
首を回して見ると、“蜘蛛”が立ち上がり、雄叫びを上げているのがわかった。
そして、その背中から何かが射出された。
追尾ミサイルだ。
「クソッ。森まで逃げられるか?」
ミサトが呟く。
そしてどうやらその答えはノーだった。
「俺たちに任せろ!」
オクルス、レインス、ララが立ち止まり振り返る。
そして飛行装置“アズール”の始動部を掴んだ。
「ああいうデカブツには空中戦だ!」
「坊やたちだけには任せておけないわね」
ジュディも三人の前に進む。
「私も、“一部だけなら”飛べるわ」
「心強いよお姉さん!」
レインスが言う。
皆が迫りくるミサイルにそれぞれ身構えた。が
何も動かない。
ララの疑問が口にでた。
「あ、アレ……?」
ジュディも、自らの身体が分離できなかった。
一部始終を見ていたムサシが何かに気づく。
「さっきの、ヤツの“青い波紋”といい、もしかして……。やっぱりそうなのか!? おいお前ら、機械類は多分しばらく動かせねえぞ! 戻れ!」
ムサシは、臨戦態勢のままの四人に呼びかける。
だが、ミサイルは無情にももう近すぎた。
「では、私たちが殿を務めた方が良さそうですね」
童仙がそう言い、南山城国の面々が勢いよく四人のもとに戻る。
そして、抜刀の構えに入った。
遠藤も口を開く。
「幸い、僕の銃も刀ほどじゃあないけど、機械と言うには単純すぎるからね」
「私の“急須”もソレは同じですよ。遠藤さんは中央、童仙さんと龍之介くんはそれぞれ右と左ですかね?」
「ええ、『90℃弾』でいきましょう。コレは私より龍之介殿の方が遥かに得意そうです」
「そんなコトはありませんよ」
龍之介は優しく微笑みながら遠慮気味にそう言ったが、その微かに見える瞳と刀に添えられた手は、静かな戦闘意欲を剥きだしにしつつあった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる