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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(29)

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焚き火の前でジュディ、カトリーヌ、童仙、そしてメイが座っている。
メイを除く3人は、酒を飲み交わしていた。
メイは場に集まったありとあらゆる茶を、片っ端から飲んでいる。

「ワイワイガヤガヤとやかましいと思ったら、ココは酒飲み……じゃあないや、パワー系の皆さんの巣になってるじゃん」

レインスが輪に加わる。

「ほい、さっきの話のヤツ」

「あら、悪いわね」

レインスはメイに茶葉を手渡した。
ヴェルメロスの“ごこう”の玉露だ。
ヴェルメロスの中でも特に冬は雪深い産地で作られたソレは、濃緑色によく染まっている。

「アナタもだいぶ飲み散らかしてるね」

「お酒が飲めないから、茶酔いするしかなくってね」

「バチバチの露地か、ガッチガチの覆い下で自分たちの茶園を育てないからですよお♪」

カトリーヌが人差し指を立て、片目を閉じて笑いながら二人に言う。

「アンタ、何杯飲んでんの? 変わらないっていうか、普段から酔ってるみたいっていうか」

「数えてないですねえ♪ 『ほろ酔いで夢見れば 想い出は美しく 時はすべてを許し やさしさに変えてゆく』ってね♪ 素面でも酔ってなきゃあ、人生やってけないですよお♪」

「……意外と酔ってるな、音符多いし。ところでメイさん、この人の喋り方、アンタんトコのメイドさんとキャラ被ってない?」

「確かにそうかもね」

「戦闘狂なトコもソックリよ。でもパワー系のココにはいないね」

「ウィー殿でしたら、調理係ですね。ほら、アチラで」

童仙が指し示す。
ウィーがくしゃみをした。

「童仙さんは粛々と飲んでますねえ♪ 次の“サケ”は美味しいですかあ?」

「ええ。どうですか、コチラもまずは御一献」

「いいですねえ♪」

童仙が注いだソレを、カトリーヌは一息に飲み込む。

「ぷっはー! 粛々と~♪と言えばジュディさんも。どうですか、まずは御一献♪」

「いただくわ」

「とくとくとく……おっとと」

カトリーヌが注いだソレを、ジュディも一息に飲み込んだ。

「うん、淡旨ね」

「うんうん淡旨淡旨♪」

「やっぱ酒飲みの巣でもあったみたいね……」

レインスがポツリと言う。

「まあ、見てて楽しいけどね」

「メイさん、私にも“ごこう”くれない? 口寂しくなっちゃった」

「はい。結構温度低めで2分半」

「完璧」

カトリーヌは何が面白かったのか、童仙の背中をバンバンと叩きだした。

「ちょっ、かなり痛いですよカトリーヌ殿。この前戦った時よりも痛いです」

「へえ~? コレは“酔拳”っていうんですよお♪」

そんな二人を見て微笑みながら、ジュディが“サケ”をもう一口運ぶ。
と、お猪口を持っていない左手が接続を外れ、とさりと落ちた。

「ん、失礼」

メイとレインスにそう言って、左手を拾い上げる。

「結構あの人も酔ってるのかな?」

レインスがメイに聞いた。

「みたいね。思考も錯乱してる」

「こういう時の心読みは楽しそうじゃん」

「あ、バレた」

「やっぱり。メイさんがココにいる理由がなんとなくわかったわ。実況頼める?」
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