カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(24)

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「ツヅキ君!」

カトリーヌとの闘いを終え、中腹の広場にいち早く戻った、メイが駆け寄る。
ツヅキは座っていたが、右手で“巻物”を掲げてみせた。

「やったやった! 私たちが“所有者”ね」

メイにしては、無邪気で子供らしい喜びの表現だった。
心底からのモノだろう。

ツヅキの傍らには、まだ気を失っているララと座り込んでいるオクルスがいた。
メイはソチラにも問いかけた。

「大丈夫?」

「ああ。ララさんは気を失ってるけど、ソレだけだよ。おめでとさん」

「ありがとう。ギリギリだったようね」

「ベストは尽くしたよ。今は休憩。ソレよりも……」

オクルスが“鍵”をチラリと見やる。

「中身、見るんだろ?」

「ええ、もちろん」

メイも鍵に目を移したのち、オクルスを見て言った。

「もちろん、私たちが先だけれど」

「そりゃあそうさ。でも今んトコ俺たちの他には鍵の近くには誰もいないし、次には見せてもらえるかな……と」

「ま、二等賞の特権ね」

「やりぃ」

ツヅキはメイに鍵を差しだす。

「ほれ、読んじゃって」

「一緒に読みましょ」

メイは鍵を手に取ると、ツヅキの横に座った。
巻物の帯を解き、展開する。

その反応は、オクルスが思ったモノとは違っていた。

メイとツヅキの顔が曇っていく。
メイが言った。

「……何よコレ。コレが南蛮への対抗策である“鍵”なの?」


◇◇◇


夜はまだ明けていない。

彼らの“争奪戦”は陽が沈んですぐに始まった。
戦いは決して短くはなかったが、終わった頃には、まだ夜は更けていく一方の時間帯だった。

戦いの間中は、天空の“大文字”の無数の篝火がその戦場を煌々と照らしていたため、昼間同然の明るさが確保されていた。
しかし、中腹を少し下がったトコロのこの場所は既に真っ暗だった。

ソコで彼らは、焚き火を囲んでいた。

「ソレで? ソレが“鍵”の内容だってのか?」

ムサシが問う。
メイが答えた。

「そうよ。自分の目で見る?」

メイは巻物をU.S.Jの一行の方に投げて渡した。
ジュディが腕を“延ばして”受け取る。
思わず、ムサシがメイに言った。

「オイオイ。“鍵”だぞ」

「内容を見れば、こんな扱いも当然よ」

「もう全員見たのか?」

フランシスがそう言い、皆を見渡した。
アルマージュが答える。

「ああ、見たよ。俺たちはな」

「私たち、南山城国はまだだけど……内容については聞いたわ」

アサヒが巻物を開く。

「でも内容通りだとしたら……“所有者”のデル・ゾーネさんたちはどうするんですか?」

ノワールが問いかける。
二度の爆発を、魔力で強化しているとはいえ生身で凌いだパクスの一行を、オクルスは今だに不思議に思っていた。

「さあね。個人的には破壊したいトコロだけれど、“所有権”が確定した“鍵”を破壊するってのは、前例がないしね。できるのか、わからないわ」

「破壊、私も賛成ですぅ」

「まあそもそも、破壊していいのかわからないけどね」

メイが肩をすくめる。
U.S.Jの一行は、巻物の内容を読み進めていた。
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