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ラスト・コンテクスト Part1
大文字の夜に(23)
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ウィーは草むらに寝転び、空を見上げていた。
木々の隙間から見える空には、篝火が煌々と燃えている。
「負けちゃった……」
ウィーは顔や視線を動かすコトもなく、迫ってくる足音をただ聞いていた。
◇◇◇
ウィーの能力は、そのトリッキーさ故に大抵の相手に通用したが、ムサシの“逆流銃”だけは天敵だった。
特に今回の、ウィーの戦法にとっては。
自らを不可視のカーテンで覆うコトによって、透明化したウィー。
ソレにより、ジュディの尋常ならざる角度からの攻撃や、フランシスの投擲、アサヒの銃弾もウィーは無効化できた。
何せ、そもそも姿が見えないのだ。
しかし、ムサシの“銃”は違った。
結果から原因に逆流するその銃の弾丸は、透明のウィーに着弾しようとするトコロから起こる。
つまり、ウィーの位置をその弾丸は知らせてくれた。
その一撃めは弾ける。続いて、ウィーの位置に気づいた面々からの攻撃も辛うじて弾けた。だが。
ムサシの“逆流した弾丸をリロードして放つ”二撃め、コレは弾けても、確実にウィーにダメージを残した。
この流れが重なるにつれ、ウィーのダメージと疲労は蓄積されていき、そして、遂には……。
◇◇◇
ウィーにはもう魔力はほとんど残っていない。
倒れる寸前に審査弾も撃ち込まれ、もう打つ手なしだった。
ウィーの視界に、ジュディが入ってきた。
ジュディは冷たい目でウィーを見下ろしている。
ウィーは目をつむった。
「……早く掴んでくれるかしら」
「……」
ウィーは恐る恐る目を開ける。
ジュディが右手を差しだしていた。
ムサシの声が聞こえる。
「お疲れさん。キミのせいで、もう俺たちはたっぷり時間を浪費したよ」
「おいムサシ、煙草オレにもよこせよ」
ウィーが首を傾けると、煙草をふかしながら、フランシスにもう一本を手渡すムサシがいた。
「そういうコト。お疲れ様」
「お疲れ様です」
ウィーの視界に、アサヒも入ってきた。
ウィーは困惑しながらも腕を伸ばし、ジュディの手を掴む。
「ちょっと、風下で吸ってくれるかしら」
ジュディが二人に言う。
ウィーは残り少ない僅かな魔力を行使した。
二人の煙が、透明の筒に包まれ上にのみ昇っていく。
「お、サンキュー」
◇◇◇
「流石ですねぇ♪ マトモにやり合ったら私の方が絶対的に強いハズなのにっ!」
メイがカトリーヌの上段蹴りを、杖を振って防御する。
「速度では私の方が勝ってますねえ♪ 私の心を読んで、一瞬早く動けてるお陰で防御できてるんでしょうけど」
カトリーヌがまたも一気に距離を詰めてくる。
溜めを作った右拳が、メイのレバー目がけて放たれる。
間一髪でメイはソレを防御する。
しかしその“圧”を逃がしきれず、当っていない拳がメイの脇腹にめり込む。
「……っ!」
「残念ながら、身体を動かすってのは身体があったまればあったまるほど無意識なんですよねえ♪ ドコまで読めますかねぇ」
「……今、この瞬間までよ」
カトリーヌの遠く背後で、緑の閃光が空に放たれた。
「うっそ……! えーマジですかあ!?」
「大マジ。いてて、良いパンチだったわよ」
「ありがとうございますぅ……あーあ、残念♪」
◇◇◇
ララ、オクルス、そしてツヅキはひと固まりに倒れていた。
ララは気を失っており、オクルスは目覚めたばかりで痛みに顔をしかめている。
ツヅキも痛みに顔は歪んでいたが、意識はしっかりと保っていた。
そして、混乱した状況をいち早く把握し、笑った。
右手には確かな感覚がある。
そして、その右手首は中腹の境界線を“越境”していた。
“鍵”の所有権は、シュロッス・イン・デル・ゾーネに確定された。
木々の隙間から見える空には、篝火が煌々と燃えている。
「負けちゃった……」
ウィーは顔や視線を動かすコトもなく、迫ってくる足音をただ聞いていた。
◇◇◇
ウィーの能力は、そのトリッキーさ故に大抵の相手に通用したが、ムサシの“逆流銃”だけは天敵だった。
特に今回の、ウィーの戦法にとっては。
自らを不可視のカーテンで覆うコトによって、透明化したウィー。
ソレにより、ジュディの尋常ならざる角度からの攻撃や、フランシスの投擲、アサヒの銃弾もウィーは無効化できた。
何せ、そもそも姿が見えないのだ。
しかし、ムサシの“銃”は違った。
結果から原因に逆流するその銃の弾丸は、透明のウィーに着弾しようとするトコロから起こる。
つまり、ウィーの位置をその弾丸は知らせてくれた。
その一撃めは弾ける。続いて、ウィーの位置に気づいた面々からの攻撃も辛うじて弾けた。だが。
ムサシの“逆流した弾丸をリロードして放つ”二撃め、コレは弾けても、確実にウィーにダメージを残した。
この流れが重なるにつれ、ウィーのダメージと疲労は蓄積されていき、そして、遂には……。
◇◇◇
ウィーにはもう魔力はほとんど残っていない。
倒れる寸前に審査弾も撃ち込まれ、もう打つ手なしだった。
ウィーの視界に、ジュディが入ってきた。
ジュディは冷たい目でウィーを見下ろしている。
ウィーは目をつむった。
「……早く掴んでくれるかしら」
「……」
ウィーは恐る恐る目を開ける。
ジュディが右手を差しだしていた。
ムサシの声が聞こえる。
「お疲れさん。キミのせいで、もう俺たちはたっぷり時間を浪費したよ」
「おいムサシ、煙草オレにもよこせよ」
ウィーが首を傾けると、煙草をふかしながら、フランシスにもう一本を手渡すムサシがいた。
「そういうコト。お疲れ様」
「お疲れ様です」
ウィーの視界に、アサヒも入ってきた。
ウィーは困惑しながらも腕を伸ばし、ジュディの手を掴む。
「ちょっと、風下で吸ってくれるかしら」
ジュディが二人に言う。
ウィーは残り少ない僅かな魔力を行使した。
二人の煙が、透明の筒に包まれ上にのみ昇っていく。
「お、サンキュー」
◇◇◇
「流石ですねぇ♪ マトモにやり合ったら私の方が絶対的に強いハズなのにっ!」
メイがカトリーヌの上段蹴りを、杖を振って防御する。
「速度では私の方が勝ってますねえ♪ 私の心を読んで、一瞬早く動けてるお陰で防御できてるんでしょうけど」
カトリーヌがまたも一気に距離を詰めてくる。
溜めを作った右拳が、メイのレバー目がけて放たれる。
間一髪でメイはソレを防御する。
しかしその“圧”を逃がしきれず、当っていない拳がメイの脇腹にめり込む。
「……っ!」
「残念ながら、身体を動かすってのは身体があったまればあったまるほど無意識なんですよねえ♪ ドコまで読めますかねぇ」
「……今、この瞬間までよ」
カトリーヌの遠く背後で、緑の閃光が空に放たれた。
「うっそ……! えーマジですかあ!?」
「大マジ。いてて、良いパンチだったわよ」
「ありがとうございますぅ……あーあ、残念♪」
◇◇◇
ララ、オクルス、そしてツヅキはひと固まりに倒れていた。
ララは気を失っており、オクルスは目覚めたばかりで痛みに顔をしかめている。
ツヅキも痛みに顔は歪んでいたが、意識はしっかりと保っていた。
そして、混乱した状況をいち早く把握し、笑った。
右手には確かな感覚がある。
そして、その右手首は中腹の境界線を“越境”していた。
“鍵”の所有権は、シュロッス・イン・デル・ゾーネに確定された。
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