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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(21)

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「ぐああっ!」

ツヅキは樹々の枝々にぶつかり、そして地面を転がりながらも、ようやく“飛行”を終えるコトができた。

「流石に二回めは、キツいな……」

毒づきながらも立ち上がり、先に進もうとする。
前方奥、微かに紫の光が見えた。
“鍵”が放つ光だ。

背後からは走ってくる音が聞こえ始めた。
パクスの三人が迫りつつある。

ツヅキも身体に鞭打ち、走り始めた。
しかし、パクスの足音は無情にもどんどん迫ってくる。

「間に合いそうにない、か」

ツヅキはドコか冷静に、その事実を受け止め始めていた。
“鍵”までもう少しだというのに。

“鍵”は少し開けた場所に落ちていた。
その場所を、ツヅキはボロボロになりながらもソレに近づいていく。

パクスの三人も開けた場所にでた。
ツヅキが振り返る。

追手の速度を落とすために、ツヅキは『50℃弾』を放った。
尤も、当たったトコロでそんなに効果は見込めなかったが。

そして、弾丸が当たるコトもなかった。
ノワールとブレーズは弾丸を避ける。

「ダメか。でも結局、お姉さん優しいじゃん」

ツヅキは“鍵”に向かうのを再開しながら言った。
ミサトは迫ってはきているが、銃を撃つ気配はない。

と、大きな稼働音が突如として出現した。
弾丸がノワールとブレーズに降り注ぐ。

ツヅキも背後を見た。
ヴェルメロスのオクルスとララだった。

パクスの両名は弾丸を叩き落とす。
しかし、オクルスは続けて何かを投げた。

ノワールにはソレに見覚えがあった。
爆弾だ。

パクスの三人は爆風に包まれた。
オクルスが声を上げる。

「よしっ! 後はデル・ゾーネの」

ツヅキが弾丸をオクルスに向けて放っていた。
ツヅキすらも、もう意識が定まらずどの弾丸を放ったかわからなかったが。

「あぶ」

言い終わる前に、オクルスが弾丸を避ける。

「っねぇ!」

オクルスは“鍵”とツヅキの方を見直した。
ツヅキが驚愕の顔でコチラを見ている。

オクルスは気づき、背後のララを見た。
ララの胸に、ツヅキの弾丸が命中していた。

“弾丸”は“依代が茶の存在”には効果を発揮するが、ソレ以外の生物・物体に対しては物理的な弾丸として作用する。
故に『やってしまった!』ツヅキはそう思った、が。

ララは急加速した。

「うわわっ!」

「ちょっ、ララさん!」

ツヅキが放った弾丸は『100℃弾』だった。
そしてソレが“何故か弾丸が効く”ララに命中したのだ。

急に加速させられたララはオクルスと激突した。
二人は墜落し始める。

ツヅキの方に。

ツヅキは先を急いだ。
“鍵”に向かって手を伸ばす。
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