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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(17)

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カップとツヅキを、ムサシの弾丸が襲う。
ソレらをメイは弾いて、先に進んでいく2人を守っていた。

「クソっ、行かれちまうぜ」

「わかってるわ。でも、この壁だってもう長くはもたない」

焦るムサシに、ジュディが話す。
壁はその強度をいよいよ失い始めたのか、虹色に揺らぎだした。

「お嬢さま、そろそろですかね?」

「ええ。持ちこたえてくれてありがとう」

カップとツヅキは何とか、ムサシの弾丸の射程距離からでられたようだった。
弾丸の標的が、改めてメイに変わる。
メイはその弾丸を弾きながら後退し、ウィーと背中合わせの状態になった。

「準備はいい?」

「あいあいさー、ですぅ」

くるりと回転し、背中合わせの二人が入れ替わった。
『100℃弾』のメイが、ウィーの壁に魔力をぶつけた。


◇◇◇


先を行くツヅキとカップの背後から、強風が吹き過ぎた。
思わずツヅキは立ち止まる。カップが口を開いた。

「お、行われたみたいですね」

「……そうみたいだな」

樹々の向こうを振り返るが、その隙間から差し込む眩い光の他は何も見えない。

「メイとウィーが先に追いついてくれるコトを願うよ」


◇◇◇


「ぐぁっ……!」

龍之介は“壁”に吹き飛ばされていた。
いや、壁の向こう側の三ヶ国全員がそうだった。

「ぐっ……! 早くこの壁を破壊しないと!」

童仙が言う。
メイが壁に放った一撃で、壁は移動を開始したのだった。

そして、その壁に押しやられる形で、三ヶ国は後退していた。

「うああっ!」

龍之介が力を振り絞って剣戟を加える。
皆も呼応するかのように壁を攻撃した。

壁の移動が止まり、低音で鳴動したかと思うと、上の方から崩れ始めた。
数秒後には壁は虹色で半透明の瓦礫と化し、消えてなくなった。

三ヶ国全員が息を切らしている。
お互いへの攻撃を始める余裕もなかった。

しかしやがて一人、また一人と、デル・ゾーネの後を追って“鍵”へと歩み、走りだした。


◇◇◇


「やっと追いつけたわね」

ツヅキとカップが振り向く。
ボロボロのメイとウィーがソコにいた。

“壁”を動かすほどの魔力は、彼女らにもソレ相応の代償を強いたのだった。

「メイ!」

「ウィーさん!」

ツヅキらは駆け寄った。

「何してるの。戻らないで、先を急いでくれないと」

「何が『急いでくれないと』だ。自分らも一緒だ」

「そ、そうですよ」

カップがツヅキから降りようとする。

「大丈夫か?」

「え、ええ。み、皆さんと一緒にも、もう歩けます」

「走りますよぉ」

ウィーが傷だらけの顔で、意地悪そうにカップに言う。

「は、走れます!」

「じゃあ、もう少しだけ頑張りましょ。“鍵”まであと少しよ」
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