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ラスト・コンテクスト Part1
大文字の夜に(15)
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デル・ゾーネ以外の国々の全員は、空を駆ける彼らを追って走りだした。
無論、追っている最中に互いの国が少しでも隙を見せたら、その機を逃がすつもりも全員になかったが、かと言って隙を見せるような皆でもない。
よって単純に地上の全員は、空中の三人に戦力の大半を割くことを許されつつ追う形となった。
だが、事態はそう非対称には進まなかった。
それぞれの国の、銃を保有している数名は追いながら弾丸を撃ち込む。しかし
「(最悪だ! 移動が防御を兼ねてやがる!)」
オクルスは弾丸を撃ち込みながらそう思った。
デル・ゾーネの三人が滑っている“台”そのものが、地上からの攻撃を受けつけない。
かと言って、彼らが滑空している高度まで上がる時間はヴェルメロス側にはなかった。
よって今現在、彼らを攻撃できるのは遠隔操作可能な“手”を持つジュディだけだったが
「児戯ね」
メイはそう言いながら、その手を杖から放つ魔力によって叩き落としていた。
たった二本の手を落とすコトなど、彼女にとっては虫を落とすコトよりも容易い。
「見つけた!」
ウィーの魔力が形作る“レーダーヘルメット”を着用したツヅキが言った。
樹に打ちつけられ気を失っているカップを、肉眼でも確認したのだ。
しかしソレは、彼らにとって一つの危機を予感させるコトでもある。
カップへと滑空していた彼らだったが、カップに近づけば近づくほど彼らの地の利、いや空の利である“高度”は落ちつつあった。
まだ、他の国々は後方ではある。だが、ギリギリだった。
カップの直前で、彼らは地面に足を着けた。
「ウィー!」
「わかってます!」
ウィーは“台”と“ヘルメット”を解除すると、全精力でもって“壁”を作り上げた。
他の国々の全員が、その前で立ち止まる。
いや、ヴェルメロスのオクルスは止まれなかった。
パクスのカトリーヌもだ。
二人は壁にめり込むと、勢いよく反動を受けて吹っ飛んだ。
「うわあっ!?」
「うええっ!?」
前者はオクルス、後者はカトリーヌだ。
カトリーヌはグルグルと回転し、枝々をぶち破りながらも地面にはちゃんと着地し、何とか勢いを殺して止まった。
オクルスはその不規則な回転のために熱い蒸気が身体に絡みついてしまい、アズールの出力を停止せざるを得なくなった。
そのため、カトリーヌよりも吹き飛ばされてしまう。
「オクルスさん!」
ララはその姿を追いかけて戻った。
ヴェルメロスはコレで、自ら達を置いていくよう促してその場に残ったレインスとアルマージュも含め、全員がウィーの“壁”から離れてしまった。
「仲間思いね」
ジュディが静かに褒めたたえる。
壁を挟んで、デル・ゾーネと、U.J.I、南山城国、パクスの三ヶ国が対峙した。
無論、追っている最中に互いの国が少しでも隙を見せたら、その機を逃がすつもりも全員になかったが、かと言って隙を見せるような皆でもない。
よって単純に地上の全員は、空中の三人に戦力の大半を割くことを許されつつ追う形となった。
だが、事態はそう非対称には進まなかった。
それぞれの国の、銃を保有している数名は追いながら弾丸を撃ち込む。しかし
「(最悪だ! 移動が防御を兼ねてやがる!)」
オクルスは弾丸を撃ち込みながらそう思った。
デル・ゾーネの三人が滑っている“台”そのものが、地上からの攻撃を受けつけない。
かと言って、彼らが滑空している高度まで上がる時間はヴェルメロス側にはなかった。
よって今現在、彼らを攻撃できるのは遠隔操作可能な“手”を持つジュディだけだったが
「児戯ね」
メイはそう言いながら、その手を杖から放つ魔力によって叩き落としていた。
たった二本の手を落とすコトなど、彼女にとっては虫を落とすコトよりも容易い。
「見つけた!」
ウィーの魔力が形作る“レーダーヘルメット”を着用したツヅキが言った。
樹に打ちつけられ気を失っているカップを、肉眼でも確認したのだ。
しかしソレは、彼らにとって一つの危機を予感させるコトでもある。
カップへと滑空していた彼らだったが、カップに近づけば近づくほど彼らの地の利、いや空の利である“高度”は落ちつつあった。
まだ、他の国々は後方ではある。だが、ギリギリだった。
カップの直前で、彼らは地面に足を着けた。
「ウィー!」
「わかってます!」
ウィーは“台”と“ヘルメット”を解除すると、全精力でもって“壁”を作り上げた。
他の国々の全員が、その前で立ち止まる。
いや、ヴェルメロスのオクルスは止まれなかった。
パクスのカトリーヌもだ。
二人は壁にめり込むと、勢いよく反動を受けて吹っ飛んだ。
「うわあっ!?」
「うええっ!?」
前者はオクルス、後者はカトリーヌだ。
カトリーヌはグルグルと回転し、枝々をぶち破りながらも地面にはちゃんと着地し、何とか勢いを殺して止まった。
オクルスはその不規則な回転のために熱い蒸気が身体に絡みついてしまい、アズールの出力を停止せざるを得なくなった。
そのため、カトリーヌよりも吹き飛ばされてしまう。
「オクルスさん!」
ララはその姿を追いかけて戻った。
ヴェルメロスはコレで、自ら達を置いていくよう促してその場に残ったレインスとアルマージュも含め、全員がウィーの“壁”から離れてしまった。
「仲間思いね」
ジュディが静かに褒めたたえる。
壁を挟んで、デル・ゾーネと、U.J.I、南山城国、パクスの三ヶ国が対峙した。
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