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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(9)

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カップが重力を解放した。
場の重さが通常に戻ったコトにより、ソレまで抑えつけられていた樹々などが勢いよく反発する。

組み伏せられていた面々も、一斉に動きだした。
ヴェルメロスとパクスの一行は、カップの射程範囲である“円”の外にでようとする。
ソコを、先程まで戦っていたU.J.Iの面々が分かれて追撃した。

「クソっ! 今度はコッチが追いかけるコトになんのか!」

「追いかけられてたっつーか、防戦一方で攻められてたのはお前だけだろ」

「うっせえ、フランシス!」

ムサシは文句を言いつつも、円の外にでようとするパクス一行に銃を向ける。
右手には通常の銃、左手には“逆流”銃だ。

「でもまあ、この状況には感謝かな」

攻勢も完全に逆流していた。
近距離戦が得意なパクス(特にノワール)に対して相性の悪いムサシだったが、逃げる彼女らを追う際には、その二つの銃から放たれる弾丸は抜群の効果を発揮した。
前と後ろから飛来する弾丸を弾くのに精一杯で、パクスの面々はなかなか“円”の外にでられない。

ブレーズが声でムサシを攻撃しようとするが、振り向いたトコロに、フランシスの投擲した大きな石が向かってきた。
声で弾道を曲げきれないまでに近づいたソレを、カトリーヌが肘打ちで破壊する。
防御してくれたカトリーヌに当たってしまうため、ブレーズは声をだせなかった。

「良いスローだ、フランシス」

「今更わかったコトじゃあねえだろ」

ヴェルメロスにはジュディとアサヒが向かう。
ヴェルメロス側には数の利があると思われた、が。

一番最初に行おうとしたコトが、“円の外への脱出”だったコトが問題になった。
『100℃弾』のジュディが、先程までは片手しか使っていなかったヴェルメロスに対し、両手を用いた。

しかも、その狙いは彼ら自身ではなく、彼らが背中を向けたコトで遥かに狙いやすくなった、飛行装置“アズール”だった。

「ヤバっ……!」

分離したジュディの右手の銃はレインスの、左手の銃はアルマージュのアズールに、弾丸を命中させる。
二人は落下した。

オクルスとララが振り返る。
もう少しで円の外にでられるトコロだったが、そうはいかなくなってしまった。

だが、その方が良かったのかもしれなかった。
彼らには気づく余裕がなかったが、円の外周に沿って龍之介がその俊足で接近しつつあった。

パクス側も、追い詰められつつもU.J.Iの二人との距離は縮まり、いよいよその相互射程距離からくる優勢さが逆転しようとしていた。
もちろん、一定以上にはU.J.Iの二人は近づくつもりはなかったが、その彼ら彼女らにも異様なスピードで接近する影が二つある。

一つは既に刀を抜こうとする童仙、そして今一つは、ソレより少し遅れてカオルを背負って走る童仙だった。
その二つの影も、円の外周に沿って移動している。

カップは、遠藤と対峙しながら迷っていた。
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