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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(7)

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「こ、コレは一体……」

急に開けた場所にでた、童仙は言った。
眼前には、樹々が全てひしゃげ崩れた円形の空き地が出現していた。

「ぐううっ……!」

視界の右方奥にて、オクルスが呻き声を上げる。
いや、オクルスだけではなく、右方ではヴェルメロス、中央ではU.J.I、左方ではパクスの一行が皆、地面に倒れ、磔にされながら呻いていた。

三ヶ国は童仙たちに気づいたが、できるコトは睨みつけるコトしかない。
童仙の隣で、龍之介が刀を抜こうとした。

「待って龍之介くん!」

童仙に背負われていたカオルが言った。
カオルは童仙に耳打ちすると、その背中から降ろしてもらった。

「大丈夫ですか? カオル殿」

「うん、だいぶ回復してきたみたい。まだちょっとフラつくけど」

カオルは小石を拾うと、円形の空き地に投げ入れた。
小石は空き地の領空に入ると、勢いよく地面に衝突した。
そのまま地面にずぶりと、めり込んでいく。

「コレは?」

「龍之介くん、キミが刀を抜いていたら、その切先は地面に衝突していたと思う。恐らく、二人の目には見えていないと思うけど……物凄い、何て言うのかな、重力魔法?の影響内に、この円形の広場はある」


◇◇◇


まだ童仙たちは気づいていないが、彼らから遠く離れた場所――円の反対側で、他の三ヶ国の面々と同じく、カップと遠藤が重力に磔にされていた。
そして遠藤とカップは、遠くに立つ童仙たちに気づいていた。

「(マズい……! 童仙殿たちが“先”か!)」

遠藤は重い首を動かし、カップを見る。
カップの目には驚きが浮かんでいた。

「(この、自らすらも影響領域内に供えた、最大出力の重力魔法は美事だった。全員の動きを封じるコトに成功した。だけど、やっぱり彼女も心のドコかでは自分の旅の一行が先にココに辿り着くコトを期待していたらしい。ソレが、僕らの国の方だった……)」

カップは自らの重力に抵抗しながらゆっくりと、杖茶杓を動かし始めた。

「(やっぱり……! このままだとマズい! 彼女はこの空間を解放するつもりだ。ココに先に辿り着いたのが南山城国の方だったから、当然彼女はそうするだろう。そしてそうなると、ココは誰にも想像できない混戦状態に陥る!)」

遠藤は童仙たちの方を見た。
今すぐ現状を伝えたいが、押しつぶされた肺からは呻き声しかでない。

「(先にきてくれたのは嬉しいが……どうしてキミたちの方が先だったんだ!?)」
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