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ラスト・コンテクスト Part1
大文字の夜に(5)
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上空の「大」を構成している篝火の一つ一つに照らされている森の中に、マズルフラッシュや魔力の閃光が、時に蒸気に乱反射しながら煌いていた。
U.J.I、ジュディは木々の間を駆けながら、拳銃を持った両腕を分離してリーチを伸ばし、U.J.I一行の両サイドを疾走しているパクスとヴェルメロスの一行を迎撃している。
基本的には全員『100℃弾』でスピードを強化しているが、適切なタイミングで『50℃弾』その他の弾丸を混じえるコトで、戦局を覆そうとしていた。
具体的には、例えばジュディの場合、腕のリーチが伸びて敵に弾丸を撃ち込む際には
「100、いや『90℃弾』を!」
「はい!」
アサヒがジュディの胴体に弾丸を撃ち込む。
迎撃が一時的に終わると改めて『100℃弾』を撃ち込み、腕が装弾のためにジュディに戻ってくる。
左手はパクスのカトリーヌを主に狙っていたが、この攻撃は有効だった。
カトリーヌは弾丸を弾き返しつつも、その走りを邪魔される。
「ちっ、鬱陶しいですねっ!」
しかし
「どうした! 俺とは相性が悪いんじゃあねえか? U.J.Iの機械のお姉さん!」
アルマージュには押されていた。
『審査弾』で完全に読まれた上での戦闘を強いられている。
「玉露寄りのかぶせ茶なのはいいけど、煎茶寄りの俺とパワー比べは良くないぜっ! 品種の相性も良くないんじゃあねえか?」
アルマージュは他の国にジュディの“茶”がハッキリとわからないよう、しかし相手を挑発する。
「アルマージュ、挑発するヒマがあったら早く仕留めてよね」
アルマージュの下にしがみついているレインスが言った。
アルマージュは『80℃弾』で強化した状態を保っていた。
そのせいでいくらか落ちたスピードを、レインスがアルマージュにしがみつき飛行を援助するコトによって、補っている。
つまり、ヴェルメロスは戦力である3人のうち1人、レインスが動けない状態のため、U.J.Iとしてはヴェルメロス迎撃に残りの全戦力を傾けたいトコロだったが
「クソっ、相変わらずしつこいなあ!」
「貴方とは決着をつけないといけませんので」
「ソレお前だけの都合だろぉ!?」
ムサシはノワールに対し防戦一方だった。
ノワールは残像を残すかのスピードでムサシに迫ると、拳と蹴りを繰りだす。
ムサシはソレを、以前にもそうだったように超至近距離にて弾丸で応戦する。
“逆流弾”も駆使してはいたが、相変わらずの効果だ。
「考えるより感じる」ヤツには“逆流弾”が通じにくいコトを、ムサシは悟った。
ノワールは一連の攻撃を行うと、一時的に自らの一行の元へ戻り、呼吸を整えまたも攻めてくる。
もはや『審査弾』がなくとも、ムサシとノワールの相性が悪いコトは明白だった。
また、フランシスとブレーズも、ムサシとノワールほどではないにしろ同様だった。
ブレーズの声による攻撃に、フランシスは走りながらもサイドスローで投石し応戦するが
「走りながら投げるってぇのは、プロのメジャーリーガーでも難儀だぞ」
一人愚痴る。
パクスはわかった上で応戦していた。
U.J.Iにはヴェルメロスに対する“盾”になってもらう。
あわよくば、共倒れしてほしい。
その戦闘の合間を縫って、ミサトが『審査弾』をU.J.Iに放つ。
U.J.Iはすんでのトコロでソレを回避できていたが、ミサトにとってU.J.Iはオマケだ。
本当に狙っているのは、その向こうのヴェルメロスだった。
ソレに対し、オクルスとララのコンビが、ジュディとアサヒのように応戦している。
ララによる『温度弾』の助けがあるとは言え、戦闘向きではないオクルスはミサトからの『審査弾』を拳銃の弾丸で弾くのに精一杯だ。
つまりこの時点で、三ヶ国の力はほぼ拮抗していた。
いや正確には時間の問題で、U.J.Iはやや押され気味、ヴェルメロスが勝利するか、そのどちらもをパクスが食ってしまうかという状態だった。
しかしU.J.Iにも勝算がないワケではない。
前方を行く遠藤とカップに、三ヶ国は肉迫しつつあった。
U.J.I、ジュディは木々の間を駆けながら、拳銃を持った両腕を分離してリーチを伸ばし、U.J.I一行の両サイドを疾走しているパクスとヴェルメロスの一行を迎撃している。
基本的には全員『100℃弾』でスピードを強化しているが、適切なタイミングで『50℃弾』その他の弾丸を混じえるコトで、戦局を覆そうとしていた。
具体的には、例えばジュディの場合、腕のリーチが伸びて敵に弾丸を撃ち込む際には
「100、いや『90℃弾』を!」
「はい!」
アサヒがジュディの胴体に弾丸を撃ち込む。
迎撃が一時的に終わると改めて『100℃弾』を撃ち込み、腕が装弾のためにジュディに戻ってくる。
左手はパクスのカトリーヌを主に狙っていたが、この攻撃は有効だった。
カトリーヌは弾丸を弾き返しつつも、その走りを邪魔される。
「ちっ、鬱陶しいですねっ!」
しかし
「どうした! 俺とは相性が悪いんじゃあねえか? U.J.Iの機械のお姉さん!」
アルマージュには押されていた。
『審査弾』で完全に読まれた上での戦闘を強いられている。
「玉露寄りのかぶせ茶なのはいいけど、煎茶寄りの俺とパワー比べは良くないぜっ! 品種の相性も良くないんじゃあねえか?」
アルマージュは他の国にジュディの“茶”がハッキリとわからないよう、しかし相手を挑発する。
「アルマージュ、挑発するヒマがあったら早く仕留めてよね」
アルマージュの下にしがみついているレインスが言った。
アルマージュは『80℃弾』で強化した状態を保っていた。
そのせいでいくらか落ちたスピードを、レインスがアルマージュにしがみつき飛行を援助するコトによって、補っている。
つまり、ヴェルメロスは戦力である3人のうち1人、レインスが動けない状態のため、U.J.Iとしてはヴェルメロス迎撃に残りの全戦力を傾けたいトコロだったが
「クソっ、相変わらずしつこいなあ!」
「貴方とは決着をつけないといけませんので」
「ソレお前だけの都合だろぉ!?」
ムサシはノワールに対し防戦一方だった。
ノワールは残像を残すかのスピードでムサシに迫ると、拳と蹴りを繰りだす。
ムサシはソレを、以前にもそうだったように超至近距離にて弾丸で応戦する。
“逆流弾”も駆使してはいたが、相変わらずの効果だ。
「考えるより感じる」ヤツには“逆流弾”が通じにくいコトを、ムサシは悟った。
ノワールは一連の攻撃を行うと、一時的に自らの一行の元へ戻り、呼吸を整えまたも攻めてくる。
もはや『審査弾』がなくとも、ムサシとノワールの相性が悪いコトは明白だった。
また、フランシスとブレーズも、ムサシとノワールほどではないにしろ同様だった。
ブレーズの声による攻撃に、フランシスは走りながらもサイドスローで投石し応戦するが
「走りながら投げるってぇのは、プロのメジャーリーガーでも難儀だぞ」
一人愚痴る。
パクスはわかった上で応戦していた。
U.J.Iにはヴェルメロスに対する“盾”になってもらう。
あわよくば、共倒れしてほしい。
その戦闘の合間を縫って、ミサトが『審査弾』をU.J.Iに放つ。
U.J.Iはすんでのトコロでソレを回避できていたが、ミサトにとってU.J.Iはオマケだ。
本当に狙っているのは、その向こうのヴェルメロスだった。
ソレに対し、オクルスとララのコンビが、ジュディとアサヒのように応戦している。
ララによる『温度弾』の助けがあるとは言え、戦闘向きではないオクルスはミサトからの『審査弾』を拳銃の弾丸で弾くのに精一杯だ。
つまりこの時点で、三ヶ国の力はほぼ拮抗していた。
いや正確には時間の問題で、U.J.Iはやや押され気味、ヴェルメロスが勝利するか、そのどちらもをパクスが食ってしまうかという状態だった。
しかしU.J.Iにも勝算がないワケではない。
前方を行く遠藤とカップに、三ヶ国は肉迫しつつあった。
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