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ラスト・コンテクスト Part1
大文字の夜に(1)
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「さて、貴女には言葉は不要よね。メイ・ペイルンオーリンさん」
祭壇の炎を挟んで、ジュディが声をかけた。
「ええ、全員の心が読めるからね。でも今は、貴女の名前を読むだけで終わりにしておくわ、ジュディ・ホロフェルネスさん。これから“問答”の時間でしょう? 私だけ皆の頭の中が覗けるのは、フェアじゃあないものね」
メイは杖茶杓で、トントンと自らの頭を叩いた。
「じゃあ、オレから口火を切らせてもらおうかな」
オクルスが片手を振り、話しだす。
「まず、綺麗なお姉さんだけの、アンタら。パクスの皆さん」
炎の向こうで、先頭のカトリーヌが頬を押さえて恥ずかしがる素振りをする。
「もう♪ 年下は対象外ですよ♪」
「……。この前は“ゲート”まで逃げられちまったけど、こうして正面切って戦うなら『審査弾』で全員の“内質”を把握してるオレたちの方が優位だぜ」
カトリーヌの顔色が変わった。
「ソレと、アンタらにも言っとくよソレは。ソチラの御一行さまも“茶”は把握済みだ」
オクルスはU.J.Iの一行を指さして言う。
「ソコで相談だが、残りの二ヶ国の皆さん。まずはオレたちと協力して、パクスとU.J.Iの二ヶ国にご退場願わないか? 特に、デル・ゾーネの皆さんには悪い条件じゃあないハズだろ? アンタらはオレたちを“飲んでる”んだから、後でゆっくりオレたちを仕留めりゃあいい」
「“ゲーム理論”の始まりね」
メイが答えた。
「もし貴方の思惑通りになったとして、あなた方は南山城国と協力して私たちと相対するでしょう? いくら私たちが貴方たちの内質を把握していたとしても、二ヶ国でこられたら難しいわね。そして、この流れに南山城国は反対する理由はない。どう?」
「おっと待ちな」
ムサシが口を挟む。
「その坊や(オクルス)の肩を持つワケじゃあないが、いや坊や、残念だな。おまえさんの考えはこのお嬢さん(メイ)曰くムリらしい。ソコでだ、少し話を戻そう。
いいか。俺たちはコッチの“綺麗なお姉さんだけ”の“茶”を幾らか知ってる。だからだ。まずは全員でパクスのご一行にご退場願わないか?」
ムサシはパクスの一行の方を向いた。
「アンタらも、“召喚”は本来なかった国だろ? なんでココにいるのかわからないが」
「んもぅ酷ーい♪ 皆で寄ってたかってイジメるんですかぁ?」
そう言いながら、カトリーヌはムサシの思惑を読もうとしていた。
何故、私たちの茶を『幾らか』知っていると言ったのか。
彼らが知っているのは“私だけ”のハズだ。
ノワールもそう思っていた。
わざわざ他の国に『幾らか』知っていると言う理由。ソレは、他の国に味方につくフリをして、その実、まずは共通の脅威であるヴェルメロスをいち早く排除しようというコトではないか。
つまり、この言葉の裏にある意味はパクスとU.J.I間での同盟か?
「はいはーい。ちゅうもーく」
南山城国、カオルが挙手している。
「ちょっと私たちだけ、蚊帳の外なんですけどー。ウチの人たちは腕の立つ寡黙なお侍さんばっかだから(遠藤さんはちょっと違うけど)、私が代わりに言いますね」
カオルはニッコリと笑うと、一行の先頭にでた。
「私たちは誰の『審査』もしてないし、誰にも『審査』されてません。でもそもそも、国同士の相性って、ありますよね? 例えば、以前に戦った感想ですけど、ヴェルメロスの皆さんは空中戦得意そうだし、デル・ゾーネの皆さんは魔法使いでしょ。
でも残りの二ヶ国の皆さんについてはまだ詳しく知りません。でもでも、ヴェルメロスの皆さんは残りの二ヶ国についてよくご存知なんですよね? じゃあやっぱり、ごちゃごちゃ言わずにU.J.Iさんパクスさん対私たちの方が良くないですか? その代わり……」
カオルは一行の先頭にでただけではなく、炎を回り込むように歩きだした。
そして、メイの隣に立った。
「私は、デル・ゾーネさんの傍にいます。コレで、デル・ゾーネさんも安心するでしょ? 残り三ヶ国になった時に、私は貴女方の人質だから、私たち対ヴェルメロスさんです」
その場の全員が驚いた顔になる。特に南山城国の皆はそうだった。
童仙は思わず声をだしそうになったが、考えた。
カオル殿は持ち前の胆力があるが、ソレと同等の魔力を実は持っている。
私のふるさとを長年の呪縛から解放したほどだ。
となると、何らかの勝算があるのではないか?
話の流れ上、今思いついたコトだろうし、事前に相談をしてほしかったと言ったトコロで、ムリだったろうが……。
敵を騙すならまず味方から、だ。
童仙は、カオルが先程、“問答”に割って入った時もそうしたように、カオルを信じるコトにした。
祭壇の炎を挟んで、ジュディが声をかけた。
「ええ、全員の心が読めるからね。でも今は、貴女の名前を読むだけで終わりにしておくわ、ジュディ・ホロフェルネスさん。これから“問答”の時間でしょう? 私だけ皆の頭の中が覗けるのは、フェアじゃあないものね」
メイは杖茶杓で、トントンと自らの頭を叩いた。
「じゃあ、オレから口火を切らせてもらおうかな」
オクルスが片手を振り、話しだす。
「まず、綺麗なお姉さんだけの、アンタら。パクスの皆さん」
炎の向こうで、先頭のカトリーヌが頬を押さえて恥ずかしがる素振りをする。
「もう♪ 年下は対象外ですよ♪」
「……。この前は“ゲート”まで逃げられちまったけど、こうして正面切って戦うなら『審査弾』で全員の“内質”を把握してるオレたちの方が優位だぜ」
カトリーヌの顔色が変わった。
「ソレと、アンタらにも言っとくよソレは。ソチラの御一行さまも“茶”は把握済みだ」
オクルスはU.J.Iの一行を指さして言う。
「ソコで相談だが、残りの二ヶ国の皆さん。まずはオレたちと協力して、パクスとU.J.Iの二ヶ国にご退場願わないか? 特に、デル・ゾーネの皆さんには悪い条件じゃあないハズだろ? アンタらはオレたちを“飲んでる”んだから、後でゆっくりオレたちを仕留めりゃあいい」
「“ゲーム理論”の始まりね」
メイが答えた。
「もし貴方の思惑通りになったとして、あなた方は南山城国と協力して私たちと相対するでしょう? いくら私たちが貴方たちの内質を把握していたとしても、二ヶ国でこられたら難しいわね。そして、この流れに南山城国は反対する理由はない。どう?」
「おっと待ちな」
ムサシが口を挟む。
「その坊や(オクルス)の肩を持つワケじゃあないが、いや坊や、残念だな。おまえさんの考えはこのお嬢さん(メイ)曰くムリらしい。ソコでだ、少し話を戻そう。
いいか。俺たちはコッチの“綺麗なお姉さんだけ”の“茶”を幾らか知ってる。だからだ。まずは全員でパクスのご一行にご退場願わないか?」
ムサシはパクスの一行の方を向いた。
「アンタらも、“召喚”は本来なかった国だろ? なんでココにいるのかわからないが」
「んもぅ酷ーい♪ 皆で寄ってたかってイジメるんですかぁ?」
そう言いながら、カトリーヌはムサシの思惑を読もうとしていた。
何故、私たちの茶を『幾らか』知っていると言ったのか。
彼らが知っているのは“私だけ”のハズだ。
ノワールもそう思っていた。
わざわざ他の国に『幾らか』知っていると言う理由。ソレは、他の国に味方につくフリをして、その実、まずは共通の脅威であるヴェルメロスをいち早く排除しようというコトではないか。
つまり、この言葉の裏にある意味はパクスとU.J.I間での同盟か?
「はいはーい。ちゅうもーく」
南山城国、カオルが挙手している。
「ちょっと私たちだけ、蚊帳の外なんですけどー。ウチの人たちは腕の立つ寡黙なお侍さんばっかだから(遠藤さんはちょっと違うけど)、私が代わりに言いますね」
カオルはニッコリと笑うと、一行の先頭にでた。
「私たちは誰の『審査』もしてないし、誰にも『審査』されてません。でもそもそも、国同士の相性って、ありますよね? 例えば、以前に戦った感想ですけど、ヴェルメロスの皆さんは空中戦得意そうだし、デル・ゾーネの皆さんは魔法使いでしょ。
でも残りの二ヶ国の皆さんについてはまだ詳しく知りません。でもでも、ヴェルメロスの皆さんは残りの二ヶ国についてよくご存知なんですよね? じゃあやっぱり、ごちゃごちゃ言わずにU.J.Iさんパクスさん対私たちの方が良くないですか? その代わり……」
カオルは一行の先頭にでただけではなく、炎を回り込むように歩きだした。
そして、メイの隣に立った。
「私は、デル・ゾーネさんの傍にいます。コレで、デル・ゾーネさんも安心するでしょ? 残り三ヶ国になった時に、私は貴女方の人質だから、私たち対ヴェルメロスさんです」
その場の全員が驚いた顔になる。特に南山城国の皆はそうだった。
童仙は思わず声をだしそうになったが、考えた。
カオル殿は持ち前の胆力があるが、ソレと同等の魔力を実は持っている。
私のふるさとを長年の呪縛から解放したほどだ。
となると、何らかの勝算があるのではないか?
話の流れ上、今思いついたコトだろうし、事前に相談をしてほしかったと言ったトコロで、ムリだったろうが……。
敵を騙すならまず味方から、だ。
童仙は、カオルが先程、“問答”に割って入った時もそうしたように、カオルを信じるコトにした。
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