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テラ・ドス・ヴェルメロス(14)

暗黒山脈(42)

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「いでっ! ……でもとりあえずサンキューな、アサヒ」

「ええ。フランシスさんよりは……大丈夫ですね」

「ああ。味なマネしやがったからな、アイツ。なあ?」

ムサシがフランシスに話しかける。
フランシスは二本めの煙草に火を点けていた。

「おう。貸しにはしないでやるよ」

「そりゃあ気前がいい。煙草1カートンにリボン付けてやるよ」

「ムサシさん。フランシスさん、何をされたんですか?」

「ヴェルメロスのヤツらがな、急にきて爆弾置いていきやがったんだよ」

「ええ、ソレはなんとなく」

「ちょっとスマン。オイ、俺にも」

ムサシがフランシスに、指で煙草を示す。
フランシスは煙草をダーツのように持つと、ムサシに投げた。
その投擲能力通り、ムサシの口へと煙草が吸い込まれる。

「アサヒ、貸しにしてやれ」

フランシスはライターもアサヒに投げた。

「だ、そうです」

「わかった。大きな貸しだ、ありがとう」

ムサシの煙草に火を点ける。
アサヒは自らの手際の良さに、少し嫌気がさした。
慌てて過去の幻影を振り払う。

「フランシスが一番、爆弾に近かったんだがな。アイツ、久しぶりにCPUをフル回転して、自分へのダメージを極力抑えつつも、そのデカい図体が俺たち全員の盾になるコトを最優先して、身を張ってくれやがったんだよ」

「やめとけ、恥ずかしい。貸しになるぞ」

「なるほど。流石ですね、フランシスさん」

「だが、そのせいでお前たち全員のお荷物になりそうだがな」

「いや、そうはならんよ。フランシス」

ムサシが紫煙を吐きだす。

「まあ、ジュディさんもほぼ動けない状態ですし……」

「いや、そういう意味じゃあない。アサヒ」

ムサシは歩きだした。

「木の上からは、よく見えたんだよ」

その歩みは、大きく地面が凹んでできた穴の縁、爆心地が見下ろせる場所で止まった。
アサヒが駆け寄る。

爆心地の穴の底、奇妙な形に組まれた木材が姿を現し、輝いていた。

「アレは何ですか? 木……なら爆風で木っ端微塵でもおかしくないハズ……。というか、何故あんなモノがココに?」

「頭の良いお前にしてはらしくないな、アサヒ。旅への出発前のブリーフィングで、副局長……じゃあねえや、局長代行のアンナが言ってただろ。“鳥居”だよ」

「“鳥居”ですか? アレが?」

「まあ、地面に埋まった上の部分しか今は見えてねえしな。ソレに、アイツの説明不足だが、ありゃあ“三柱鳥居”だ。三本足の鳥居なんだよ」
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